えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

若草山の山焼き

2014-01-26 14:36:05 | 歌う

        「若草山の山焼き」

 古い手帳を繰っていたら2003年1月12日に、私は若草山の山焼きを見ている。クラブツーリズムのツアーで奈良のホテルに1泊、ホテルの屋上から山焼きを眺めた。燃え盛る炎を見ながら寒さに震えた夜を思いだす。奈良の若草山は標高342m、山焼きの行事は山麓の神社で祭礼の後、午後6時に一斉点火、山全体を燃やしてしまう、古都奈良の新年を飾る炎の祭典である。

 現在は1月の第4土曜日に行われる。昨夜は雨の予報だったのが、降らず風もなく無事に行われたらしい。よかったですね。11年前の山焼きの歌を歌集『えくぼ』から4首抄出。

           色のなき山    松井多絵子

あの冬の記憶を焼けと急かすごと若草山に火の手があがる

おおいなる炎の蛇がのたうちて我を絡めることなく消える

山焼きの後には春が来るのなら我の作品焼かねばならぬ

昨の夜焼かれし山が八階の窓に入りくる、色のなき山 

 前日の夜は怒り狂っていた若草山が翌朝は何事もなかったような無色の山に、あの山は或る気ままな男みたいでした。  1月26日  松井多絵子


いびつな絆

2014-01-25 14:36:31 | 歌う

             「いびつな絆」

❤たわやすく絆、絆という人の絆に我はなりかねており  松井多絵子

 土曜の朝刊は本の広告が目立つ。その片隅のスリムな広告「いびつな絆」、16万部突破、超話題作が待望の文庫化。「著者の工藤明男サマ、ごめんなさい。私はこの本のことを知りませんでした。でも3・11の後から「絆」という言葉は乱用されてますね。友人の美文字老女A子から先日こんな話を聞きました。美文字のおかげで玉の輿に乗り豪邸に暮らしている老女のA子は。

 以前通っていた着付け教室の仲間のD子から電話。「あなたの好きな白蓮の苗木が手に入ったの。早く植えたいから、これからお宅に行くわ」。間もなく車を運転したD子がシャベル持参で現れ、庭に植えた。着付け教室で同じクラス、同じ区内に住んでいる、とはいえ親しくしていたわけではない。A子が着ていたキモノを素敵だとほめてくれたことがあった。そのときA子は「白蓮はわたしの好きな花」と言ったのを憶えていたとのこと。A子は感謝して居間で彼女に珈琲とケーキを、帰りにベルギーのチョコレートまでさし上げた。その後D子は度々A子の家にやってきて
白蓮の木に肥料をやる。或るとき「あなたのお隣の家はボロボロだわね。建て替えた方がいい。これを渡してね」。大きな封筒の中には某住宅会社のハウスプランの資料がどっさり。

 A子は着付け教室の仲間のK子に電話をした。「わたしはマンション暮らしなので、珈琲の木の鉢植えを持って来たわ。枯れそうになったと言ったら、時々D子が木のケアーにやって来るのよ。ついでに高級化粧品の押し売り」

 美文字老女A子の庭の白蓮の木は順調に育っているらしい。いずれ花が咲くだろう。汚れた白い白蓮の花が。    1月25日  松井多絵子 


マネー川柳入賞作

2014-01-24 14:12:17 | 歌う

          「マネー川柳入賞作」

 オリックスは23日、お金にまつわる「マネー川柳」の入賞句27句を発表した。全国から寄せられた約88000句から大賞に選ばれた作品は

★ ゲゲゲからじぇじぇじぇになって 好景気 (東京・40代男性)

★ マンションの チラシに踊る『今でしょう』 (静岡・50代男性)

★ お小遣い ママノミクスで 緩和して    (埼玉・30代男性)

★ ベア実施 リニアに乗って 早く来い    (神奈川県・70代男性)

★ 倍返し 誓う感謝の 義援金         (岩手・40代男性)

★ 八五三 すくすく育つ 消費税        (静岡・40代女性)
   ㊟気づけば8%まで上る消費税率

 以上、大賞6句のうち女性は1人だけである。新聞の投稿でも女性の入選は0の場合が多い
のはなぜか。政治・経済に疎い女が多いからだろうか。私が利用している区立図書館の新聞コーナーはほとんど男性。しかも政治や経済の頁を読んでいる。真冬でも暖かい図書館。午後が特に混んでいる。朝刊を読みながら、4時過ぎに並ぶ夕刊を待っているのだ、オッサンたちは。女たちの多くは雑誌のコーナー、ファッション誌や週刊誌などを見ている、わたしもその一人だ。都知事選に立候補したのは全て男性である。85歳まで街頭での舌戦。それを聞いているのも男が多いのではないか。男は辛いですね。

 「男と女は違う生きものだ」と言ったあの男、どこでどうしているか、もうすぐ2月。

                       1月24日  松井多絵子    

 


皺皺でも美女

2014-01-23 14:35:16 | 歌う

            「皺皺でも美女」

 今朝の朝日新聞一面のトップ記事はケネディ駐日大使インタビュー。昨年11月に着任した駐日米国大使キャロライン・ケネディ氏は◆緊張が高まる日本と韓国や中国との関係を、和解によって改善するよう促した。ハガキ大の写真の彼女の額も頬にも深い皺が刻まれている、55歳。

 ◆失望越えて<日米前進> この見出しは 3頁。全く皺のないケネディ駐日大使の写真は30前後の女優に見える。阿部首相靖国参拝で日米間のギクシャク、沖縄のことも頭痛のタネだが。

 そして 8頁。「週刊新潮」の広告に~日本を軽んじる「キャロライン・ケネディ」のお遊び優先。
「ニセコでスキー」「京都観光」「Perfumeのライブ」 これは厳しいですね。お遊びのようでも日本の現状を視察しているのかも。昨年11月に第29代駐日米国大使として赴任して以来、ごあいさつまわり、視察などなど、女は装うのも仕事。われわれ老女は彼女の髪型や服、アクセサリーに注目して、スカーフの結わえ方なんかマネをして。彼女はファッションリーダーでもあり、まだ就任して2か月、とやかく言うのは早すぎますよ。よく遊び、そしてよい大使に、、、。

  やわらかく自己主張するこそよけれ、あの浮雲への距離をおもうな

                 1月23日  松井多絵子


小島ゆかり&中沢直人

2014-01-22 14:17:06 | 歌う

          「小島ゆかり&中沢直人」

 「未来1月号」の★今月の歌は小島ゆかり、歌壇の明星である。大切な客人の五首。

     ☀☀☀  歌集『純白光』より五首     小島ゆかり

チーターとしてめざめたる夢覚めてしろいひかりのなかにまたたく

出てゆきし娘の部屋の掃除してしばらくすわる娘の椅子に

こめかみに力をあつめ腹筋の運動をする夫を見てをり

捕まえた蝉ふところに隠すときわが猫は宝船のごとし

曇天に絮が飛ぶなり霜月のからださびしく行く犬と人

※作者と読者により短歌が生まれることが多いような気がする。よい読者はよい歌を生むのではないか。小島ゆかりの五首を中沢直人は次のように鑑賞している。

 一月二日の朝、めざめるとチーターになっていた。それももちろん夢だった。豪快な初夢から覚めた作者を白い光が包む。娘たちの自立、全国を飛び回る忙しい日々のなか、夫と猫をいとおしむ歌があたたかい。身近な人々や動植物に注がれる優しいまなざしが印象的な歌集。  
                                         (中沢直人)

 目覚めたら白い光に包まれてみたい真冬の私  1月22日 松井多絵子