えくぼ

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読売歌壇年間賞①

2014-01-08 14:50:41 | 歌う

          「読売歌壇年間賞①」

 1月6日に岡野弘彦選者と小池光選者の年間賞が発表された。

岡野弘彦選 「評」 国の草創期以来の伝承を伝える吉野山は日本の代表的な異境で、しかも春は全山が山桜でつつまれる。西行が「吉野山こずゑの花を見し日より心は身にも添はずなりにき」と熱く呼びかけて歌ったように、魂も宙にあそぶ心に誘われる。西行の熱気には及ばないが、この歌にも花の名残のあわれがある。

★ 異界よりもどれるごとしみ吉野の桜吹雪をくぐりきたれり  枚方市  鍵山奈美江

※ 鍵山奈美江さま 「年間賞」おめでとうございます。吉野山の山桜は葉まで花のように紅く
華やかですね。満開のときはくれないの桜のシンホ二―、見渡すかぎりのさくらさくらのなかに体が溶けてしまうような、私が私ではなくなるような、わたしが見た桜のNO、1です。
 
小池光選 「評」 座席のない新幹線は本当につらいもの。まして泣く子を抱いて。時間がなかなか進まない。そのとき不意に車窓に富士山が姿をあらわした。あっと思った。勇気づけられる思いである。思わず見とれる。太宰治は富士には月見草が似合うと言ったけれど、現代では新幹線が似合うのかも知れない。

★泣く子抱き新幹線で立ち尽くす私の前に不意に富士山  大津市  山本 望

※ 山本望さま 「年間賞」おめでとうございます。座席のない新幹線で泣く子を抱いてイライラしている時に、車窓に富士山、ほんものの富士山が思いがけなく迫ってきた。わかります、その時のあなたの感動、だらだら歩きながら見る富士山とは違う富士山、束の間の富士山。

 ♠ 暖かくなっても白いその帽子脱がないほうがいいよ富士山  松井多絵子 1月8日