「若草山の山焼き」
古い手帳を繰っていたら2003年1月12日に、私は若草山の山焼きを見ている。クラブツーリズムのツアーで奈良のホテルに1泊、ホテルの屋上から山焼きを眺めた。燃え盛る炎を見ながら寒さに震えた夜を思いだす。奈良の若草山は標高342m、山焼きの行事は山麓の神社で祭礼の後、午後6時に一斉点火、山全体を燃やしてしまう、古都奈良の新年を飾る炎の祭典である。
現在は1月の第4土曜日に行われる。昨夜は雨の予報だったのが、降らず風もなく無事に行われたらしい。よかったですね。11年前の山焼きの歌を歌集『えくぼ』から4首抄出。
色のなき山 松井多絵子
あの冬の記憶を焼けと急かすごと若草山に火の手があがる
おおいなる炎の蛇がのたうちて我を絡めることなく消える
山焼きの後には春が来るのなら我の作品焼かねばならぬ
昨の夜焼かれし山が八階の窓に入りくる、色のなき山
前日の夜は怒り狂っていた若草山が翌朝は何事もなかったような無色の山に、あの山は或る気ままな男みたいでした。 1月26日 松井多絵子
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