→ 火星を探る人間たち →
無数の星のなかで一際目立つ火星、アメリカは30年代に有人火星探査を計画しているらしい。年内にも火星の上空30キロから試作機を飛ばす。宇宙飛行士の着陸点の地図づくりなどに役立てるらしい。火星の大気圧は地球の1%未満、地表に下りるまでの約30キロの範囲を高速で飛び回り、効率よく詳細な地形データを集められるという。
わたしの火星 六首 松井多絵子
火星は今ふきげんだろう人工の光の街を見下ろしながら
信号の赤と火星と私が作る途方もない三角形を
「連休は月の砂漠へボクは行く」「わたしは火星のアレス渓谷」
この朱が火星の大地の色なのか色褪せた鳥居に手のひら触れる
「火星には雨が降らないそうですね」「地球には不幸が降るそうですね」
夢の出口に来てふりむけば彼方には青ひと色の火星の夕やけ
昨夜の夢は火星の夕やけだった。紺青の夕焼けのなかを私は独りさまよっていた。誰か
を探していた、が誰だかおもいだせない。色褪せた赤土の上を右往左往していた。目がさめたとき私は赤土色の毛布のなかに。 今日は待ちこがれた雨が降り、木々も喜んでいる。
8月17日 松井多絵子