ジャズピアニストのジャズ批評

プロの耳で聞いたジャズをミュージシャン流に批評。

Oleo

2010-06-04 23:27:27 | Weblog
リズムチェンジといわれる曲の代表だろう。ソニーロリンズが若い時に書いた。多分20代前半?1954年にはもう録音している。リズムチェンジというのはジョージガーシュインの「I Got Rhythm」とほぼ同じコード進行の曲全般を指す言い方で、ジャズミュージシャンの間の隠語だ。ほかにもとにかく曲はいっぱいある。この「Oleo」はなんといってもメロディーのリズムパターンが独特でビバップの特徴がよくでている。ソニーロリンズはビバップの創成期にはかかわっていない。年代が違う。でも20代の前半から注目される天才だったから、バドパウエルやモンクとも競演している。当然その頃影響をうける音楽はビバップだ。その後成熟してからは新しいモダンジャズのスタイルを作り上げた紛れもない「Jazz Giant」だ。このリズムチェンジという曲の種類を作り出したのはモダンジャズだ。インプロヴィゼーションの素材を求めてさまよっていたミュージシャンが探り当てたのがこの曲、というかこのコード進行なのだ。自由な中に適度の縛りがある。アドリブの腕を磨くのに絶好の素材。今でも世界中のセッションでやられているのはこのリズムチェンジとブルースだ。まあ確かに面白い。コードのことなんかをあれこれ考えているうちはどうにもならないけど・・・。リズムチェンジというのはどう考えてどんなコードでやるんですか?ボク自身もかつて先輩に質問したことがあった。ひとから聞かれたこともたびたびある。この質問に答えるときにジャズインプロヴィゼーションの難しさが集約される。バリーハリスがこの曲について解説していたことがある。インプロヴィゼーションについてはこう言っていた。「Anything OK」