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とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

『春風亭昇太独演会』に行きました。

2019-07-16 17:23:02 | 落語
 少し前になりますが、7月12日に山形市中央公民館ホールで開催された春風亭昇太独演会に行きました。結婚発表直後だったので、さらに落語芸術協会会長にも就任したこともあり、会場も盛り上がり「祝賀落語会」という雰囲気になりました。

 昇太師匠は分かりやすさを意識しています。いいことですが、逆にそれによってマイナスになっていることもあるように感じました。

 1席目は「そば清」です。テンポよく進む話術はさすがです。「そば清」のサゲは隣の部屋でそば清が薬を飲み、蕎麦が羽織を羽織っている状態になったいることをしめすことです。この話を最初に聞いた人はこの意味がすぐにはわかりません。しかし蕎麦が羽織を着ているという映像が滑稽でおどろおどろしくとても印象的なのです。昇太師匠はこのサゲで薬が人間を消すのだと先に説明してしまっています。わかりやすくはなっています。しかし一方では映像的な印象が後退していまいます。

 2席目は「伊代吉幽霊」という新作落語。親子の人情を主軸にした幽霊噺。
そしてトリは「火焔太鼓」。わかりやすく軽い感じで進んでいきます。昇太師匠は軽くわかりやすく語ります。しかしその分、ひっかかりがなく印象がどうしても薄い。

 昇太師匠は落語を広めることを考えている方なのだと思います。自身の明るいキャラクターを落語普及につとめようとしているように思えます。しかし逆に自分を抑えてしまっている部分もあるのではないかと心配してしまいます。しかしこれは私の勝手な心配だと怒られそうです。見ず知らずの人間に言われる筋合いのことではありません。

 いずれにしても落語家としてはこれからが本領の発揮する時期です。昇太師匠の落語がこれからどう進化していくのか楽しみです。
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『骨と十字架』を見ました。

2019-07-16 06:21:00 | 演劇
 新国立劇場で『骨と十字架』を見た。

 作:野木萌葱
 演出:小川絵梨子
 出演:神農直隆、小林隆、伊達暁、佐藤祐基、近藤芳正

 進化論を否定するキリスト教の教えに従いながら、古生物学者として世界の注目を浴びることとなった神父ピエール・テイヤール・ド・シャルダンを描く作品である。

 宗教というと日本人はバカにしがちだ。神なんか実在するはずがないからだ。しかし絶対的にただしい「真理」こそが神であると考えれば、宗教は人間の営みそのものである。ガリレオもコペルニクスも、アインシュタインも優れた科学者は神を信じていた。神の作った世界は筋道の通った完璧な世界だと信じていたのだ。だからキリスト教の力が強かったヨーロッパで合理主義が発達したのだ。宗教を信じるものの少ない日本人は回りに流され、正義をつらぬくよりもご機嫌取りをしてしまう。強いものが正義。それが日本なのだ。

 テイヤールは真の宗教家であったからこそ、真実にまっすぐに向かうしかない。まわりの人たちはテイヤールを認めないが、次第にその姿に心を動かされていく。

 謙虚に、しかし信念を持って真実に迫らなくてはいけない。そう思わせる純粋な作品であった。
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