まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

Q.『アルジャーノンに花束を』 の見どころは?

2015-04-18 15:04:43 | 生老病死の倫理学


相馬の看護学校の第1回目の授業の翌日から、
TBSドラマ 『アルジャーノンに花束を』 がちょうど始まるところだったので、
特に深い意味もなく日常茶飯事の一例として口に出してしまったために、
このような質問をいただくことになってしまいました。
ダニエル・キイスの原作はめちゃくちゃ感動の名作なんですよ。
何度読み返し、そのたびに何度涙したことか数えきれないくらいです。
その名作を山Pが演じるというので、期待というよりはむしろ不安に包まれていました。
『ドS刑事』 の黒井マヤを多部未華子が演じるというのよりもさらに危険な感じがします。
そんな関心を抱いていたため、特に授業の内容と関係もないのについ口に出てしまったのでしょう。
そういう流れで、今回のような質問をいただくことになったわけです。
せっかくご質問いただいたのでお答えすることにすると、
ドラマであれ映画であれ 『アルジャーノンに花束を』 を映像化するという場合、
その見どころは何と言っても以下に尽きるでしょう。

A-1.『アルジャーノンに花束を』 の見どころは、
    知的障がいをもつ主人公が手術によってものすごい天才に変貌していくそのプロセスや、
    それに伴う喜怒哀楽、人間関係の変化等をどこまでリアルに描けるか、にあるでしょう。

ですので、まずはスタート時点において主人公の知的障がいがきちんと描かれなければなりません。
そこにリアリティがなければ、この物語はすべて崩壊してしまうでしょう。
はたしてそれを山下智久が上手く演じることができるのか。
それが何よりの不安材料でした。
天才に変貌したあとの主人公はいくらでも想像できるんですよ。
知能がムチャクチャ高いイヤミなヤツをきっと山Pは上手く演じてくれるでしょう。
しかし、知的障がいをきちんと演じきることができるのか?
あまり、というかほとんど期待せずにおそるおそる初回放送を見てみたわけです。

見てみた感想はと言いますと、まったく期待していなかったのがよかったのでしょうか、
そんなに違和感なく見ることができました。
もちろん 『レインマン』 のダスティン・ホフマンや、
『アイ・アム・サム』 のショーン・ペンなんかとは比ぶべくもありませんが、
『ピュア』 の和久井映見に迫るくらいの演技ではあったのではないでしょうか。
多部未華子=黒井マヤには心底ガッカリさせられただけに、
(これは多部未華子のせいというより脚本やキャスティングのせい)
山Pの健闘がよけいに光りました。
第2回目の放送では初回よりもさらに板に付いてきているように感じました。
巷の噂では視聴率はそれほどよくなかったらしいですが、
視聴率なんて関係なく、いいドラマ (=記憶に残るドラマ) になりそうな予感です。

もうひとつの見どころは今回、映画ではなくドラマだということです。
原作は中編小説ですので、内容的に映画1本分強くらいのストーリーしかありません。
それを11~2回分の連続ドラマに仕立てなければいけないわけですから、
原作にないエピソードなどをいろいろと付け加えなければなりません。
しかも舞台を現代日本に置き換えて映像化するためには、
細部に至るまで具体的な作り込みが要求されます。
これまで2回見たかぎり、登場人物が相当増やされていますし、
それぞれの家族やら背景も描かれていて、原作に縛られることなく、
自由な群像劇として再構成されているようでした。
というわけで、もうひとつの見どころは以下です。

A-2.ダニエル・キイスの名作を、野島伸司がどのようにふくらませ、
    現代日本を舞台とする連続ドラマへと作り替えていくのか、
    そのお手並みを拝見するのが、『アルジャーノンに花束を』 のもうひとつの見どころです。

知りませんでしたが、『アルジャーノンに花束を』 は2002年に、
ユースケ・サンタマリアを主人公としてドラマ化されていたようです。
そのときははたしてどんな脚本だったのでしょうか?
それと比べて今回はどう展開していくのでしょうか?
正直ドラマを見ている場合ではないんですが、どうやら目を離せなくなりそうです。
原作をまだ読んだことのない人は、ドラマが終わってからでもいいですし、
今のうちでもかまいませんので、ぜひ読んでみてください。
ドラマを2倍以上楽しめること、まちがいなしですっ

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