まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

Q.男はなぜ長々と世間話をしないのか?

2010-12-17 18:17:36 | 性愛の倫理学
ブログ読者のぴょんぴょんさんからコメントのなかで質問を頂戴しました。

> 最近、「(大半の)男性はどうして、長々と世間話をしないのだろう?」 と、
> 友人と延々話していたのですが、結局結論は出ず・・。
> どう思われますか?

せっかく頂戴したご質問なので考えてみました。
が、この質問自体がすでに男の私にはなんか笑える質問でした。
最初から 「長々と」 という副詞がついているのがツボです。
世間話って 「長々と」 するものだというのが前提なんですね。
その話題を 「友人と延々と」 話していて、しかも 「結論は出ず」 というのですから、
男にとってはミステリアスな世界としか言いようがありません。

まずはいつものように、考え始める前に言葉の定義を確定しておくことにしましょう。
今まで 「世間話」 を辞書で引いたことはありませんでしたが、
ウィキペディアを見てみると、「世間話」 って私が思っていたのとはまったく違う意味があったようです。

ウィキペディア 「世間話」

いやあビックリしました。
いちおう調べてみるもんですね。
しかし、この1番の 「民話、口承文学」 という意味の 「世間話」 が問題になっているとは思えないので、
2番めの 「雑談」 という意味で理解していくことにいたします。
いちおう 「雑談」 もチェックしておくことにしましょう。

ウィキペディア 「雑談」

・特にテーマを定めない
・当たり障りのない内容
・日常的な自分や相手の身近な話題
・気楽な会話

といったところが 「雑談」 としての 「世間話」 の特徴と言えるでしょうか。
「長々とする」 ということは雑談の構成要素にはなっていないようなので、
やはりそれは女性が世間話をするときの特徴 (お約束?) なのでしょう。

さて、心理学者であれば、男や女は世間話 (=雑談) にどれくらい時間をかけるのかを、
実証的に調べるところから始めるのでしょうが、
そこのところは自分の経験知で独断的に話を進めていくことにいたしましょう。
たしかに男は長々と世間話をしたりしないように思います。
自分もできればそんなことしたくありません。
それはなぜなんでしょうか?

まったくの仮説にすぎませんが、私はこう考えております。
男性にとって会話というのは基本的に、ある目的のための手段なんではないかと思うのです。
以前に、「情報収集」 という言い方をしたことがありますが、
男女で会話する場合、
男は女性に何かを教えてあげるために相手のことを知ろうと情報収集を行っているわけです。
したがって、その目的が消失してしまえば会話をする必要はなくなります。
その話を敷衍すると、男の会話は常に何らかの目的を達成するために行われている、
ということになるだろうと思うのです。
そして、世間話というのはまさに目的のない会話であるわけで、
そりゃあ男にとっては必要度がかなり低いものと言わざるをえないでしょう。
たしかに初対面の人とは世間話をしたりもします、というかしないわけにはいかないでしょう。
でもそれは打ち解けるという目的のためにしているのです。
打ち解けてしまえばもう世間話をする必要はありませんので、
商談とか合意形成などの本題に早く入っていきたいわけです。
世間話すら打ち解けるという目的のために利用しているのですね。
だから、世間話を長々とする必要はないのです。

それに対して、女性の場合は会話自体が自己目的となっているような気がします。
つまり、世間話をすること自体が目的であるというか。
もちろん、ウィキペディアにあるように、世間話によって、
「相互の親密度を高め、高次の人間関係を築く」 という目的が背後にあるのかもしれませんが、
そこで目指されている目的はけっきょく、世間話を長々とすることができる関係の形成ですから、
世間話の次により高次の段階の会話に進むという類のものではないように思うのです。

男女双方にとって会話とはどのようなものであるか、
というのを比喩的に表現するならばこうなるのではないでしょうか。

「女は世間話、男は作戦会議」

あるいは卓球にたとえるならば、女性の場合はできるだけ長くラリーを続けるための温泉卓球、
男性の場合は、スマッシュを決めてポイントを競う試合。
というわけでまとめるとこうなります。

A.男が会話をするのは何らかの目的を達成するためなので、
  目的もなく長々と世間話をすることに意味を見出せないからです。

たぶん、ぴょんぴょんさんたちが 「(大半の) 男性はどうして、長々と世間話をしないのだろう?」
と話し合っているところに私が参加していたとしたら、
私はその問いに結論を出すという目的のために一直線に考え話し続け、
お2人がどんどん連想ゲームのようにあんな話やこんな話に飛んでしまうのを、
「いや、今それは関係ないから」 と制して話を元に引き戻し、
できるだけ短時間でみんなが納得のいく結論を出すことに邁進していたことでしょう。
延々と話して結論が出ないなんてとても耐えられません。
でも逆にお2人はパパッと答えを出されても、なんだかイヤな気分になっていたでしょうね。
深くて暗い河だぁ。


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10 コメント

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なるほど (元ゼミ生)
2010-12-17 19:50:00
女性のメールに比べて男性のメールが短いのを私も気になっていました。
男性は基本的に用件を短く送る、というか「わかった」だけのときもありますからね。
私は… (すずめ)
2010-12-18 11:23:44
うわっ 私は男だ…

さすが明解な分析でした。
この前のぴょんぴょんさんの質問、私も気になっていました。
ただし、私の疑問は
「なぜ多くの女性は世間話を長々とするのか(できるのか)」
でしたけれども(^_^;)
すみません、訂正です (すずめ)
2010-12-18 12:03:37
先ほどのコメントのなかで、言葉の使い方を間違えてしまいました。
申し訳ありません。

正しくは「明快な分析」でした。


ツボでしたか (ぴょんぴょん)
2010-12-18 21:34:01
 更新ありがとうございました。
なるほど、と思うのですが、ご回答に対して更に「それは何故ですか?」と聞きたくなってしまいました(こんな事を言ってるから、話が長くなるんですね・・(笑))
 例えば、男性は社会的にこういう役割を担わなければいけない(と無意識のうちに考えている)からだとか、こういうふうに育てられるからだとか。

>すずめさま

 性別で一般化してしまってすみません(>_<)

半分納得 (ぢゅん)
2010-12-19 00:07:29
僕は男性より女性と話しているほうが長続きするし、楽しいです。
なぜか。
たぶん、会話自体が目的になっているからでしょう。
その意味で半分は納得。
けれど、男性でも会話自体が目的となって話せる人もいます。
その違いはなんでしょう?
たぶん、女性の方が話題を自分の関心以外にも広げて話せる能力はからではないでしょうか。
男性は自分の範疇外の話題には「アホか」と相手にしないか、あるいは対応できない人が多いように経験的に思います。
たまたまその利害が一致すれば長続きしますが、基本的にどんな話題にも対応できる(知っているという意味ではない)能力が弱いのが男性なのではないでしょうか。
あくまで経験論ですが。
あまりジェンダーの問題に還元したくはありませんが、なんで男性が手段化した会話しかできないのかについては、とても興味深い問題です。
ダラダラ話して話題から逸れても許容できるのって、ジェンダーというか、なんか現代のい文化にも関係するような気がします。
さらになぜ (まさおさま)
2010-12-20 19:06:11
さらになぜそうなのかに対しては、答えは共有されているのかなと勝手に思っていました。
長い進化の過程のなかで、性別役割分業が多くの文化で採用され、
それに適したように男女がそれぞれの脳を進化させてきたからなのではないでしょうか。
最近の男性脳と女性脳に関する研究の成果 (『話を聞けない男、地図が読めない女』など) を読むと、
男は狩りを成功させる方向で脳を発達させ、
女は男を家族のもとにとどめ、家族のために働かせるようにするという方向で脳を発達させた、
みたいなことが書いてあったように思います (ものすごくテキトーなまとめですが)。
それが会話に対する違いを生んでいるのだろうと思います。

とはいえ、そういう性別役割分業はもう過去のものとなりつつありますので、
男女の脳は今後均質化の方向に進んでいくでしょうし、
すでにもう環境的には (後天的には) 均質化はある程度進んでいて、
だから、質問者も私も 「大半の」 という限定をつけていたように、
みんながみんなそうというわけではなくて、個人差というか例外はいくらでもあるのでしょう。
今度は (ぴょんぴょん)
2010-12-20 23:06:12
納得です。

>男性脳と女性脳

 これって、脳に先天的な違いがある、というような恐ろしい話じゃなかったんですね。なぜかてっきりそう思い込んでいて、雑誌などで見かけるたびひとりでむっとしてました・・恥ずかしい。

 私はだらだら世間話をするのが好きなので、それを変える気は全然ないんですが、場面によってちゃんと切り替えて、「スマッシュを決め」る会話も上手になりたいなと思います。
先天的 (まさおさま)
2010-12-21 13:44:22
男性脳と女性脳の話は、脳に先天的な違いがあるという話なんです。
「男女の脳は今後均質化の方向に進んでいくでしょう」 と書きましたが、
それは、今後ジェンダーフリーな考え方が定着して、
男女が同じような脳の使い方をずっと続けていくならば、
何千年、何万年という単位で男女の脳の先天的構造が変わっていくだろうという意味でした。男性脳、女性脳の話は私もあまり好きではないんですが、生殖器の先天的性差に比べると、
脳の先天的性差というのはあることはあるけど大したことない、と私は理解しています。
脳のある部分が障害を受けると、別の箇所が代替するようになるなど、
脳って後天的な可塑性の高い臓器なので、やはり生まれついてどうこうというよりは、
環境や教育によって後天的にどう使われるかに大きな影響を受けるのだと思います。
今度こそ、 (ぴょんぴょん)
2010-12-21 17:59:26
納得です。

>やはり生まれついてどうこうというよりは、
環境や教育によって後天的にどう使われるかに大きな影響を受けるのだと思います

そうですね、そうであって欲しいです。
私は性別による違い自体が何かマイナスのものであるとは思わないし、むしろ違ってて面白いなあとか不思議だなあと思えるのですが(まさおさまが日傘をさすか迷ったり、ネイルに挑戦したりしてる記事をにやにやしながら読みました)、「脳」と言われるとちょっとピクッと反応してしまいますね・・。

 自分が論理的に話せない、まとまった話し方が出来ないことを指導教員に愚痴ったときにこんな会話をしました。↓

私「自分はど田舎で育ったし、女だし、論理的に考えて話す訓練を人よりもしてきてない気がする。」
教「じゃあずっとそう言ってれば。」
私「違う、だから人より訓練しなきゃいけないんです。」
教「その考えは論理的だと思うよ。」

 ニクいなぁ、と思いました(笑)
 

 

 

 
あの方 (まさおさま)
2010-12-21 18:29:05
指導教員の先生というのは、私の知ってるあの方ですね。
いかにも彼らしい発言です。
彼は理性至上主義者、論理至上主義者なので、典型的な男性脳の持ち主な気がします。
世間話とか全然しないんじゃありません?
先生は長々と世間話をする訓練をしたほうがいいんじゃないですか、と言ってみてあげてください。
(そんなことを言う勇気があれば)
たぶん、そんなことをする必要なんかまったくないということを論理的に語ってくれるでしょう。

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