まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

『きいろいゾウ』 小説&映画

2014-05-20 18:23:38 | 幸せの倫理学
『きいろいゾウ』 という小説を読み、その後DVDも見ました。



まず小説のほうですが、ちょっと読むのに苦労しました。
この小説は去年、看護学校の学生さんに勧められました。
キリンに乗った私の絵を描いてくれた学生さんです。
せっかくご紹介いただいたのでさっそく買って読み始めてみたんですが、
ちょっと世界観が合わないというか、最初のうちなんだか意味わかんなくて、
なかなか読み進めることができませんでした。
主人公の女性が犬やクモや木と話すことができるんですよ。
全体的にファンタジーという感じではないにも関わらず、自然と会話しちゃうんですよ。
舞台も自然に囲まれた田舎だし、ちょっと自然ギライの私には向かない感じの本でした。
なので最初の数10ページを読んだところで止まってしまって、
ベッドサイドテーブルに置いたまま別の本を読み始めちゃったりしてました。
そのまま数ヶ月放置したところで、新しく読む本もなくなり久しぶりに手にしてみて、
ちょうど大地君との絡みが活発になってきたあたりから一気に読み進めることができました。

読み終わってみて、うーん、まあ大絶賛というほどではありませんでしたが、
なかなか興味深く読んだというか、こういう世界が好きな女性は多いんだろうなあと、
自分とは異質な世界を垣間見せていただいた感じでした。
主人公の夫婦がいるんですが、お互いにあまり言語化せず、心の読み合いというか、
それぞれ感じ取るところはありつつもそれを直接ぶつけ合わないんですね。
いや、日々の生活の中でけっこう言葉は交わしているのですが、肝心なことは話さないんです。
それでちょっとしたすれ違いとか、けっこう大きな溝が発生したりするのですが、
言語コミュニケーション優位の私としては、そこがけっこうまどろっこしく感じました。
しかしながら、非言語コミュニケーションのほうが得意な人たちもいるわけですから、
これはこれでありなんだと思います。
実際ふたりはものすごく強い絆で結ばれているわけですし。
そして思い返してみると大地君とのエピソード、アレチさん夫妻のエピソード、足利さんのエピソード、
つよしよわしのエピソード、夏目夫妻とのエピソード等、どれも巧みに効いていて心に残るものでした。

というわけで小説を読み終わった勢いでDVDも借りて見たんですよ。



主人公の夫婦を宮あおいと向井理が演じていて、
その他のキャスティングもよかったですし、
映像的にはいい感じに原作世界を再現しているように思いました。
ただストーリー的にはまったく納得いきませんでした。
なんでこういう脚本にしてしまったんでしょう。
尺的にすべてを映像化できないのはわかっていますが、
どうしてこういう取捨選択になってしまったのかまったく理解できませんでした。
この小説のなかで大地君をめぐるエピソードはいろんな意味で要だったのだと思うのですが、
それがものすごーく薄められてしまっていたのが大きな敗因ではないかと思います。
ツマ、ムコ、大地、洋子の4角関係も深められていませんでしたし、
つよしよわしのエピソードは完全に削除だし、
何より肝心な 『きいろいゾウ』 の絵本をめぐるムコと大地のやりとりもあっさり流されていました。
夫婦のすれ違いを克服するにも最も重要なエピソードだったと思うのですが、
なんでそれがああいう扱いになってしまったのでしょうか。
また小説ではエンディングに位置づけられていたアレチさんの幽霊エピソードも完全カットでした。
あれをカットするにしても、だったらそれに代わるピソードを配置すべきだったのではないでしょうか。

ただでさえ小説優位派で、原作読んだあとで映画を見るのに反対の私にとって、
この映画は本当にダメでした。
では小説読む前に映画を見ていればもう少し満足できたでしょうか?
うーん、どうもそうは思えません。
映画だけ見た人ってあれで意味わかったんでしょうか?
なんだか、なかなか読み進められなかった小説の最初のほうだけを映像化して、
延々と130分見させられたという印象が否めません。
原作の面白いところが全部カットされて、ダルな不思議ちゃんの部分だけ残した感じです。
まあ私は原作と比べながらどうブログに書こうか考えながら見ていたので、
なんとか最後まで付いていくことができましたが、これを映画だけ見るのはツライんじゃないかなあ?
というわけで 『きいろいゾウ』 に関しては小説のみの一点押しとさせていただきます。

P.S.
小説のほうでは最後まで謎のまま残されていた (と思う) ツマは日記を読んでるのか問題。
映画ではあっさりと読んでいるほうの結論に落ち着いていましたが、
原作の解釈として本当にあれでよかったんでしょうか?
これに関しては小説と映画、両方見た方にご意見をおうかがいしたいところです。


最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
映画だけ観ました (さと)
2014-05-21 00:26:30
映画だけ観ましたよ。
映画館に観に行ったんですが、あんまり意味がわからなくて期待はずれだなって思ったのを思い出しました。

小説読んでみようと思います!
返信する
追伸追加 (まさおさま)
2014-05-21 02:35:32
書こうと思っていたのに書き忘れたことがあったので、追伸を追加させていただきました。
返信する
案の定 (まさおさま)
2014-05-21 02:38:18
さとさん、コメントありがとうございました。
やはりわかりませんでしたか。
そうですよね、あれじゃ何のことかわけわかりませんよね。
小説ぜひ読んでみてください。
たぶん1万倍くらい楽しめると思います。
それからぜひ、追伸に書き足したことに関してどう思ったかまた教えてください。
返信する
日記の謎 (ゴンピン)
2017-06-04 00:59:16
小説を読んだ感想ですが、
私もツマが日記を見たかどうかは謎のままだと思いました。
日記に挟まっているものを見てムコさんが一方的に読まれていると感じただけで、ミシンが勝手に動いたり、幽霊などが出てくるこの小説の世界だと、ツマ以外の何か他の要因を考えさせられます。
返信する
日記問題 (まさおさま)
2017-06-05 15:26:50
ゴンピンさん、コメントありがとうございました。
やはり日記問題は決着ついていないと思われましたか。
どうもありがとうございます。
自分と同じ解釈の人がいてくれて嬉しいです。
読んでるか読んでないかわからないところが、
この小説のこの小説らしい部分ですよね。
返信する

コメントを投稿