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団塊世代おじさんの日常生活

夏 日本で二番目に気温が高く、陶器と虎渓山と修道院で知られる多治見市の出身です。

不器用な夫は今、息子の遺(のこ)した衣類を身に着けることで、精いっぱいの供養をしている。

2023-03-22 02:25:10 | 日記
 中日新聞の「くらしの作文」に「繕(つくろ)う」というタイトルで、74歳の女性が投稿されていました。


 「穴のあいた靴下を縫ってほしい」と差し出す夫に「もう十分はいたから、さよならしようよ」と返事した。

 すると「暖かいから頼む。それにこれもお願い」と、虫食いのセーターまで持ってきた。

 そんなことをしなくても、たくさん着るものはあるのにと思いながら、私は針と糸を用意した。

 それらは、二十年ほど前に息子が着ていたものである。

 当時夫は、入院中の息子に会うのを極力、避けていた。

 親より先に逝ってしまう子に、口下手で掛ける言葉を持ち合わせていなかった彼は、現実を受け止めることができなかったのであろう。

 私には分かる。

 不器用な夫は今、息子の遺(のこ)した衣類を身に着けることで、精いっぱいの供養をしている。

 「お願いだから、これ着て外へ出ないでね」と冗談ぽく念を押すと「うん」と空返事で上着を羽織って墓参りに出かけていった。

 心の中で生きている息子に「お父さんも円くなったわ。好々爺(や)よ」と呟き、私は靴下の穴を繕う。

 息子の衣類を着尽くすまで、夫には長生きしてもらいたい。

 もうすぐ桜の花が咲く。

 みんな揃って、またあなたの話をしますよ。

 今年は一七回忌である。

 以上です。

>「穴のあいた靴下を縫ってほしい」と差し出す夫に「もう十分はいたから、さよならしようよ」と返事した。

 最初のここを読んで、「このおじさん何を考えているんだ!
 奥さんが大変じゃないか」と言ったら、かみさんが「最後まで読んだら」と言いました。

>不器用な夫は今、息子の遺(のこ)した衣類を身に着けることで、精いっぱいの供養をしている。

 そうなんだ、ご子息の衣類を身に着けることで供養されているんだ。

 納得しました。


 最後まで読んで納得しました。

>当時夫は、入院中の息子に会うのを極力、避けていた。
 親より先に逝ってしまう子に、口下手で掛ける言葉を持ち合わせていなかった彼は、現実を受け止めることができなかったのであろう。
 私には分かる。

 理解ある奥様を持たれて良かった。
 普通なら冷たすぎると思ってしまうのに。







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