新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

オリンピックが始まってしまった

2021-07-22 09:02:32 | コラム
女子サッカーの対カナダの第1戦を観戦して:

どうしても、あの10年前のことになってしまった、W杯で優勝したときの顔ぶれの、あの抜群のサッカーの質の高さと、各人の上手さが忘れられないので、昨夜のように強豪のカナダを相手にして善戦健闘で引分けに持って行ってくれても、不満が残るし欠陥が長所を消し去ってしまう感が残るのが残念だった。

女子のサッカー代表(戦争中に「大和撫子」と言っていたことの記憶が残っているので、「ナデシコ」というニックネームにはどうしても拒否感しかない)のサッカーには、あの澤穂希率いる優れた個人技を基調にした精密なパス回しと、今や何処に消えてしまったのかと惜しんでいる宮間あやの男子でいえば遠藤保仁のような精度が高いキック力や、近賀、熊谷、石清水、鮫島と並んだバックス、忽然として出て来て大活躍した川澄、他にも澤さんが頼りにしたという阪口に加えるに永里、安藤等々を懐かしく思い出して、ついつい比較してしまう。

他の団体種目においても屡々起きてきた現象であるが、我が国の代表テイームが身体能力や体格の不利な状態(「ハンディキャップ」か)を補うべく編み出した戦法と戦術が功を奏するや、身体能力に優れた諸国がそれを模倣して追いかけてくるのだった。例えば、あの優勝メンバーのサッカーでは、ペナルティーエリア付近にまで攻め込まれた際にボールを取り戻したときなどでは、一気にクリヤーしようと蹴り出すのではなく、ある解説者が「そこから回すのか」と驚嘆したように躊躇せずにパス交換で攻め上がっていくという、当時としては「離れ業」をやって見せていた。そのサッカーは直ぐに模倣された。

私には未だにそのサッカーの残像が残っているので、昨夜の善戦健闘と言った試合運びでは「粗さ」というか緻密さに欠けているパスの組み立てが目立ってしまったのだった。それは、当時のように澤さんや宮間がいる訳ではないのでか、高倉監督が育てようとしなかったのか、ゲームメーカーとでも言うべき中心的な選手が不在なのだった。いや、技術的には全員横並び一線で傑出した者がいなかったというのか、相対的に水準が上がったので抜きん出た存在の選手が出る余地がなくなったかの、何れかではないのかな。

良かった点を挙げれば、小柄であるという不利な点を背負いながら岩淵を中心にして何とかオフェンスの形を作れていたことがあるだろう。あの長谷川からだったかの相手のデイフェンスの裏を取った縦パスなどは見事なもので、それを決めきった岩淵は立派に点取り役の責任を果たしたと褒めてあげたい。それまでは散々裏を狙っていたが、カナダの選手たちの身長と足の長さに阻まれていたのだったが、一度でも成功すれば、それで十分なのだ。足の長さに阻まれてしまうことは、余程彼らとのサッカーに馴れていないと「何でそこに足が出てくるの」となってしまうものだ。

全体的にカナダと比較して私流に表現すれば「技巧派対身体能力派」の争いだったのだ。私が見た限りではカナダには細かい点に気を配ったサッカーが出来ている訳ではないが、身体能力と体格の有利さを十分に活かしていた。その優位さである足の長さと身長の差で、我が方のパスを何度もインターセプションに持っていくか、蹴り返してしまっていた。更に非常に出足が良くて、素早く寄せてくるので、我が方は折角パスが入っても前を向くことも更なる展開を試みることが十分に出来ていなかった。また、バスケットボールで言う「リバウンド」を攻守共に取れていなかった。

私が他に気になったのが、シュート力の弱さと不正確さだった。これは相手のカナダとの身体能力戦に負けていたために目立ったことなのかも知れない。乃至はこのテイームは基本的にキック力が不十分なのではないのかと感じていた。その点が明らかだったのはパスに十分な強弱が付け切れていなかった辺りに明らかだった。もしかすると、体幹を強化するトレーニングが不足しているのではないかと感じていた。と言うよりも、サッカー界ではこの点の強化が等閑にされているという意見を屡々聞くので気になった次第だ。

正直なところ、カナダのレジェンドとか言われているシンクレアに先取点を取られたときに来た「閃き」では「十中八九」ではなく「七八は負け」となっていた。それに加えるに田中がPKを外した時にはほぼ諦めていた。それにも拘わらず、後半の39分に岩淵が決めきった精神力は立派なものだったと感動していた。次にはイングランドが相手だとあるが、そのイングランドにはスコットランドの選手が入っているとアナウンサーが言っていたのは、奇っ怪なことだと思って聞いた。それならば英連合王国代表だから。

そう言えば、ソフトボールの試合がこの前にあった事は失念していた。失礼致しました。彼女たちのこれから先の健闘を期待して終わる。


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