新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

英語の取り組み方

2020-01-06 14:21:43 | コラム
英語で書き且つ語れるようになる為には:

今回は昨年12月19日に採り上げた「私と英語の関係」の続編のつもりである。

私はこれまでに繰り返して、戦後間もなくGHQの日系人の秘書の方に「英語で話せるようになる為には英語だけで考えるように努力して、英語で話す時にはこれから言おうとすることを日本語で考えて、それを訳そうというようなことはしてはならない」と厳しく教えられたのだった。だが、旧制中学の1年生になったばかりで、それまで見たことも聞いたこともなかった英語を学校で教えられるようになっただけの子供には言わば無理難題だったのだ。だが、結果としては何とか付いて行けるようにはなったのだった。

言うまでもないことだが、あの頃でも今でも我が国の学校教育の英語ではこのような教え方はしていないと断じて誤りではあるまい。飽くまでも「科学としての英語」を恰も数学のように教え、その成果を5段階で評価して生徒たちに優劣の差をつけているのだと思っている。もう一度言うまでもないことを言えば、この教えて方では言葉としての実用性はほぼ無視されており、そもそも「会話が出来るようになることは配慮して教えていない」と、肝腎のある高校の英語教師の女性が認められていたのだった。

私は中学から高校の間では秘書の方から話せるようになる訓練を受けていたと同時に、学校では英文和訳や解釈、英作文、英文法、単語重視の教育をも受けていた。だが、その面倒くささに飽きて勝手に、反省を籠めて言えば、手抜きで「音読・暗記・暗唱」だけしか自習しない勉強法でお茶を濁していた。だが、幸か不幸かこの勉強法で大学の教養課程の2年間まで、英語の試験で90点以下になったことは2回しかなかった。しかも言い訳をすれば、大学で90点を切った時はアルバイトのし過ぎで、不注意にも試験の範囲を誤っていた為だったのだ。

しかし、高校になり大学受験が迫ってきた頃に試験も兎も角「英語の力が最も良く現れるのは英作文である」と悟って、偶々その存在を知った佐々木高政教授の名作「英文構成法」で「如何にして英語で書くか」に取り組むようになった。今この歳になってあらためて英文構成法を読み返してみれば、非常に高次元で難しい本であると良く解るし、善くぞ高校生の私が取り組んだものだと、寧ろ呆れているほど高度な英文の書き方の素晴らしい参考書であると思う。外国人の中に入っても遜色ない英語を書こうと思う方は、試してご覧になる価値がある名著だと思う。

この本でも良く読めば強調されている点は「文章はなるべく易しい(言うなれば中学1~2年程度)の言葉を使って短く、細部にわたって誰にでも解りやすいように書くことが肝腎で、思考体系が違う外国人を相手する以上、ここは書かなくとも(言及しなくとも)察してくれるとか解ってくれるだろうというような類いの、手抜きをしてはならない」点なのである。佐々木教授は触れておられなかったと記憶するが、我々とアメリカと英連合王国の人たちは思考体系が異なることも無視してはならないのである。

「この易しい言葉を使い細部にわたって」という点はWeyerhaeuserに移ってからワシントン大学のMBAである美文家の日系人に、非常に厳しく指導された。しかも、彼は「文章は短いのに越したことはない。仮令単調になっても構わないから短い文章を連ねても良い。更に、言葉の使い方をケチってはならない。アメリカ人たちは決して行間を読むとか、使ってある表現の裏側を読むようなことはしてくれないのだから、言うべき事は残さず全て盛り込むように」と繰り返して教え込まれた。

その指導の教訓の中には「偶にアメリカ人が使うような気取った表現を知ったからといって貴方には未だ早い。その理由は、それでは木に竹を接いだようになってしまって日本人が書く(話す)文章としては不自然だから」というのまであった。この例は“the real McCoy”(=本物だ)という言い方を知って、早速報告書に使ってみた結果で忠告されたのだった。時期尚早だという意味だった。

「易しい言葉で表現する」と一口に言って漠然としていると思うので、思いつく例を挙げてみよう。何度か採り上げたと思うが「我々(我が社)も何時かはその次元まで到達してみせる」と言えば、難しい単語ばかり思いつくかも知れないが、“We will be sure to get there.”で十分に(前後の関係もあるが)表現できるのだ。「その仕事は必ずやり遂げてみせる」というのも“We will be sure to get the job done.”で事足りるのだ。「本当か」と疑いたくもなられるだろうが、アメリカ人の中に入って見れば、こういう表現と言葉が当たり前のように使われる。

これも何度か例に挙げたことだが、“That’s the way things happen.”で「世の中とはこういうものだ」になるのだ。これは英文構成法でも採り上げられていたが、英語で話すか書く場合にこのような発想が出来るようになればしめたもので、“there”であるとか“get”が使いこなせるようになるのだ。これも既に採り上げたが「そこのタオルを取ってくれ」は“Get me the towel over there for me. Thanks.”のような英文がスラスラと出てくるものだ。再度確認しておけば「英語だけで考えて表現できるようになることを目標に定めて進んで行こう」なのである。



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