新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

我々の World Cup は終わった

2014-06-25 12:07:52 | コラム
私には悲しく惨めな敗戦だった:

理論的には「FIFAのランクでコロンビアよりも下位の2ヶ国との試合が終わって1引き分け1敗だったのだから、それらの国よりも上位にあるコロンビアに勝てない」ということになる。しかも、既に指摘したことで、心なきテレビ局か解説者が「コロンビアは既に勝ち抜けが決まっているので、メンバーを落としてくるかも知れず、その際には勝機があるかも」等と言っていたのは大きな誤りだった。即ち、それは両国の代表に対して非礼であるのだ。

我が国の代表は相手が二軍ならば勝てるかも知れないと言ったのと同じで侮辱的であるし、コロンビアを挑発したのと同様ではないのか。私には限りなく情けないことに思えたのだった。

ところで、コロンビアが如何なる手を打ってきたのかが、本日の最大の問題だった。彼等は恐らく綿密に計算したのだろうが、我が国与しやすしと見たのか何と8人も落として言わば二軍のような布陣で臨んできたのだった。私は「だから言ったじゃないか」の情けない気分で試合開始を待っていた。

我が代表のメンバーは昨夜のうちに知らされていたので驚きはなかったので、選手たちの立ち上がりの時点での表情の観察から入った。これまでの2試合とは違って目に輝きがあり、「やってやろう」という気迫も見えていた。だが、正直に言えば「勝てる」という予測は閃かなかったのだ。換言すれば「このやる気が何処まで続いてくれるか」なのだった。

そして試合が始まった。選手たちのやる気は相当なもので、私の目にもハッキリと見えてきたし、攻め込む勢いもこれまでにはなかった迫力があった。しかし私には「そこまでやって見せるのだったら、何でこれまでにやってくれなかったのか」と感じさせてくれた。試合の流れはコートジボアールの時と同じで「相手はバラバラで形が整っていないし、普段合わせていない者同士だから、今のうちに何点でも取っておいてくれ」という思いだった。

前半はその流れの中でPKで先取された1点を、46分目に本田のパスを岡崎が彼ならではのへディングで見事にねじ込んで同点にして終わった。その時の偽らざる感想を言えば「後半にコートジボアールがドログバを入れてきた途端にティームを一変させたようにコロンビアが正選手を投入してきた時に我が方が何処まで耐えられるかであり、最悪の場合は”前半を楽しませてくれてご苦労様”になりはしないかとの懸念があった」だった。

結果的には10番を付けた James Rodriguez なるものが加わってきてティームが変わってしまい、後はご覧の通りの無残な結果となった。一言で片付ければ「遺憾ながら実力の差が敗因だった」となってしまう。しかし、これでは何ら建設的な分析ではないので、私見を述べてみよう。余談を語っている場合ではないが、スペイン語では James が「ハメス」になってしまうのに、ロドリゲスは背中に James と書いていたのが面白かった。

順序不同で敗因を分析してみる。先ずは「体力と持久力不足」を挙げたい。次が「当たれ弱い」と言うか「直ぐに倒されてしまうこと」を指摘したい。あるフットボールのコーチは「ウエイトトレーニングが不適切かまたは不足では」と指摘する。この点は嘗て私が通っていたジムのトレーナーでフットボールのXリーグの一部に所属するティームのトレーナーでもあった人物もこの点を指摘していた。私も同感なのだ。

彼等は一様に身体が細すぎるように見えて仕方がない。その相対的な弱さがありながら走り回って当たり当たられて倒れている間に体力が消耗されていく者なのだ。

しかも、本日の中継を担当したテレ朝のアナウンサーは恰も審判であるかのように、誰かが倒れると「倒されましたがノーファウル」などと絶叫する。判定は笛が吹かれて初めて決まるので、アナウンサーが主観を入れて放送するのはおかしい。今日の審判は一度今野のエリア内のファウルでPKを取ったので、あれ以上の激しい反則でなければもう吹けなかったのではなかったか。

技術面でもう一つ挙げれば「シュートの不正確さ」だろう。これもアナウンサーも解説の松木も「惜しい」だの「決定的だったのに」を連発したのは聞き辛かった。惜しいシュートなど不要である。キチンと「2.44メートルx7.32メートルの枠内に入るシュートを蹴ってナンボではないか。3試合やって足で蹴って入った得点は本田の第一戦目の1本だけだった。今日だって何本蹴っていたか。根本的な問題である。

矢張り監督の選手起用にも再び疑問を呈したい。何故に遠藤を最後まで使わずに終わったのか。本田が何本のFKをミスったのか考えてみて欲しい。CKでも本田に蹴らせては中で待っているものに易しくないキックしか出来ず、ほとんどをショートコーナーに逃げた。あそこに遠藤がいればと残念に思った。確かに初めて出てきた青山は善戦健闘だった。私は遠藤と長谷部を並べて使いたかった。本田は強くはあるが遠藤ほどの組み立ては出来ず、香川を最後まで使わないのも疑問だ。

今日も強敵を相手に豪快な?縦一発を数多く蹴り込んで無為に終わった。今まで主たるゲームプランだったパス回しを避けていた。これも監督の方針だったのだろうが、負けてしまったのでは無意味だった。後ろへの消極的パスは減っていたが、未だ未だ自分で入れてやろうという積極性が不足だと見えた。実はキックオフの直後に相手陣内に入りながら、本田が選択したパスは右側の後方にいたサイドバックへのものだった。極論だが、私は「今日はこれで終わった」と思った。

これで言わば本戦での予選敗退だが、一刻も早く後任の監督を決めて代表ティームの再建というか作り直しを図らねばなるまい。それには言わば世界の二部のようなアジアで勝ってW杯に出ることを目標に置くことなく世界水準の体力と技術を磨くことではないか。Jリーグの水準で良い選手だからと言って選んだ者がどれほど世界で機能しているかを考え直すことではないか。

最後に選手たちの全力を振り絞った健闘と真剣さを讃えて終わる。格上の相手に全力を出し切ったひたむきさに感動した。君たちが将来に向けての基礎を築き上げた努力は立派だった。まだやりたい者は残って、後は後進に託そう。


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