新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

大雪の被害に思う

2014-02-19 10:05:05 | コラム
全ての対策が後追いになるのは仕方がないでは済ませられない:

2週続いて大雪が降って方々で大きな問題が起きている。私はこの困難な状態が生じたことを問題視する前に、そもそもあれほどの大豪雪があることを予期ないしは予見して我が国のインフラが構成されていなかったのではないかと考えている。

この状態に関連して思うことがある。それは我が国は高速道路上だけではなく方々で交通渋滞が発生するのは、自動車が今日ほど大量に普及することを見込んで我が国の道路が建設されていなかっただけのことだと思っている。東京の宮城を中心にして放射線状に道路が細かく出ているのは江戸時代の名残であって、その状態は歩行者と敵の侵入を防ぐためのものだったと聞く。

そこに戦後の復旧と復興と更に発展のために「マイカー」なる和製語が示すように自動車が激増して交通が渋滞するようになったのだ。誰もその状態が来ることを予測していなかったのではないか。空襲で焼け野原になった後で名古屋のように幅が広い道路を導入すれば良かったとの意見もあったが、何を言っても今となっては後追いの議論である。私は外国から帰ってきて都内に入ってからの信号の多さに苛立ったものだった。道路の整備は後追いだった。

しかし、交通渋滞が各所に発生する状態が出現した陰にはトヨタ、日産、ホンダ等の我が国の世界に冠たる自動車産業の発展があった。我が国の経済大国への成長への牽引車だったし、現在でもその地位は揺らいでいないだろう。嘗て私が外資に転進する切っ掛けを作ってくれた言わば恩人の日系カナダ人のGN氏は、

「松下幸之助を礼賛する人が多いがそれが正しいのかどうか疑問に思う。彼は多くの家庭電化製品をこの世に送り出して電化を促進した。しかしその裏にあった事は、本当に必要なのかどうかも不明な電機製品を時代に遅れてはならないと収入を考えずに月賦で買った結果、生活が苦しくなった多くの人が出てきた。自動車産業だって割賦販売でも金利で大きな利益を挙げている。誰もその点を批判しないのは何故か」と言っていた。

松下電産(当時の社名)については本稿の主旨と些か離れてはいるが、自動車の普及を考えれば、我が国では道路の整備が後追いだったことは否定出来ないと思っている。産業の成長・発展とそれに伴う物流の増加は必須であって高速道路が建設されては来たが、都内の交通渋滞解消への整備は完全に後追いだったが、徐々に後追いで解消の方向にある。

私は今回の豪雪も同じような感覚で捉えている。孤立の止むなきに至った集落への既設の道路は恐らくそこまでの豪雪に対応可能なように設計されていない歩行者専用時代のものではなかったのだろうか。そこに発生した困難な事態を克服するのは、報道されているように容易ではないだろう。しかし、今後は異常とも言いたい気象状況が再発することを考慮に入れて対処せねばならないかも知れない。しかも、住民の高齢化は何もそういう集落だけに起きているものではないのも問題ではないか。

この孤立した集落の事態への対応も、結局は後追いとならざるを得ないのではないか。また、仮令後追いでも対応するためには予算が必要となるだろう。その予算を高速道路の新設や新幹線の類いと何れを優先するべきかを考えるのが政治の役目で、然るべき対応しているなどという答弁で済む事態ではあるまい。今回は確かに大雪の気象予測は正確に近かったとは思う。だが、そう聞かされても、何処でも急場で満足な事前の対応は出来なかった。

自然現象との戦いはそれほど難しいものだと痛感させられている。ではあっても、政府は対応出来るよう全力を挙げて貰いたい。余談だが、当方は14日に何とかお台場まで行って購入しておいた食料品のお陰で、アパート前の道路の雪かきが出来ておらず閉じ込められても2日間は買い物に出られずとも何とかなった。


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