新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

10月1日 その2 カタカナ語と造語が日本語を混乱させている

2023-10-01 10:50:41 | コラム
カタカナ語には誤った使い方や意味をなしていない例が多い:

 私が宜しくないと思うことは、これらのおかしなカタカナ語の多くはそのまま日本語として定着している現象なのだ。多くの方はそれらが「本当の英語」だと信じておられるだけでなく、英語ではどうなっているのかと、英語としては通用ないとはご存じないのではないかと考えている。

厳しいことを言えば、「カタカナ語を見たら間違っていると思っても誤りではない」ほど、間違っているか、英語としては意味を為さないカタカナ語が遍く普及してしまっている。そこで、思いつくままにそういう怪しげなカタカナ語の例を取り上げていこう。

*コンセント、outlet または socket、
解説)完全なカタカナ語であり、英語にはこういう意味はない。 “consent”とは英語では「同意、承諾」の意味である。英連邦ではsocketが使われているようだ。

*キャリーバッグ(ケース)、
解説)如何にもそれらしく出来ているし、そのまま広く通用しているのも困った現象だと思ってみている。英語ではtrolley caseなのだ。多分、このトローリーという単語が難しかったので使いこなせなかったのだろうと疑っている。

*ヘルメット、hard hat またはhelmet、
解説)意外に厄介なカタカナ語なのだ。工事の現場等で作業する場合に着用するのはhard hatというようで、スポーツ選手や警察官が着用するとヘルメットと呼ばれるようなのだ。

*電子レンジ microwave oven、
解説)合成語だが、これも如何にもそれらしいカタカナ語になっている。どうやら、アメリカで使われているrange、即ちelectric cookerのcookerと混同してしまったのではなかろうか。

*リニューアルオープン opening or open after renovation or refurbishing、
解説)これに相当する適切な英語を見付けるのは困難だった。それは "renew" にはパチンコ店などが掲げる看板のような意味がないのだから。即ち、店内改装の後の営業再開の意味ではないからだ。一見英語風だが、どう考えてもおかしい。"renew" はWebster には”to make new again”とあり、Oxfordには”to change ~ that is old or damaged and replace it with ~ new of the same kind”とある。即ち、「新装」ではなく元の新しさに戻すと解釈する方が無難なのだ。同じような看板に「グランドオープン」というものあるが、おかしい。少なくとも "open" という動詞形ではなく "opening" になりはしないか。寧ろ言葉の誤用に入れるべきだったか。

*バトンタッチ baton passing、
解説)これは物理的に考えてもおかしい。私は長い間この言葉を「タッチだけではバトンを渡していないではないか」と揶揄してきた。野球における言葉の誤用である「タッチ」の応用か。あれは "touch" ではなく "tag" =「付ける」なのだ。「タッチアウト」は"tagged out" となる。

*テープカット ribbon cutting、
解説)これも面白くておかしい。テレビでしかこの儀式を見たことがないが、カットされているのは何時も「リボン」= "ribbon" であるのに。トラック競技でも1着の人が切っていくのはどう見ても幅が広い「リボン」に見えるが「テープ」と言っている。ここでも"cut"と、動詞が原形のままであるのが造語の特徴。

*キャプテンシー captainship、
解説)もしも記憶に誤りがなければ最初にこう言いだしたのはサッカー解説の松木安太郎だった。(松木さん、間違ったら御免) "captaincy" の誤用だろう。その後はアナウンサーも解説者も一様に「キャプテンシーを主将としての統率力や指導力を表す時」に使っている。だが、"cy" の語尾は地位ないしは役目を表す語尾である。正しくは "captainship" =「キャプテンシップ」。言うまでもないが、"leadercy" 等という言葉はなく "leadership" である。因みに、大統領の地位は "presidency" である。

*スリッピー slippery、
解説)これもサッカー解説から出た言葉だろう。ピッチかグラウンドが濡れていて「滑りやすい」という意味で使われている。上記同様にアナウンサーと解説者は誤りとは知らずに使っている。もしかして "slippery" は言いにくかったのか。Oxfordには "slippy"など という言葉は載っていないが "slippery" なら載っている。
 
*サングラス  sunglasses、
解説)正直に言えば、揚げ足取りである。英語とは理屈っぽいと再三指摘してきた。眼鏡は両眼用だから複数にして扱うようなのだ。ズボンもtrousers、靴下はa pair of socks、双眼鏡もa pair of binocularsというように皆複数扱いなのだ。

*ランニングコスト operating cost、
解説)これも屡々使われるが、私は長い間これを "operating cost" の誤りであると思っていた。おかしな点は「コスト」は走れないことにある。営業経費か運用費のことだ。我が国の英和辞典には "running cost" は出てくるが、Oxfordには採用されていない。なお、初期費用は"initial cost" である。

*ビジネスライク businesslike、
解説)実はこれは立派な英語なのだ。カタカナ語として使われる場合の「冷淡な」という響きはなく、効率的や能率的にか「きびきびした」という意味である。案外にそう理解している人が多いか。そうならば結構だが。

*リピーター repeater?
解説)困ったことにテレビのお陰で定着してしまった言葉だ。常連客ならば "regular customer" で、「屡々訪れてくる客」のことを言いたければ "frequenter" ということ言葉があるとする和英辞書もある。Oxfordには「連射可能なガン」とあり、ジーニアスには「常習犯」もある。すると、我が国のマスコミご愛用にこの言葉は何のこと?何でも語尾に "er" をつければ良いってもんじゃない。シャネラーで味をしめたのか?こういう造語をでっち上げる才能を褒めるべきか、貶すべきか。

*ボリューミー ???
 解説)典型的な造語で、volumyなどという英語の単語はない。何でも良いから、単語の語尾に”y“と付ければ形容詞形になると考えたのだろう。そもそもvolumeには容積、容量、体積、音量の意味があるので、大きさの意味で使えると解釈したのか。テレビに登場する連中が使い始めたから広まったのだろう。

*フライイング(フライング) flying、
解説)これなどは造語のおかしさと面白さの最たるものだ。カタカナ語として使われている場合の正しい英語は "false start" である。だが、"flying start" というスタートの方法はある。それはスタートラインの前から助走をつけてスタートすることである。それと合図以前にスタートすることを混同して、「フライング」だけを残したと解釈している。因みに "flying" にはどこを探しても「フライング」の意味はない。

*コンプレックス inferiority complex、
解説)「劣等感」のことなのだが、何故か "inferiority" が省かれてしまった。思うに「インフェリオラティ」という "r" が多すぎる綴りの発音が難しくて、仮名書きにできなかったと疑っている。"complex" だけでは劣等感にはならないのは言うまでもない。因みに、「優越感」は "sense of superiority" になるようだ。

*フリップ chart or flip chart、
解説)これも困った言葉だ。"flip" とは「めくる」という意味だ。それを間違ってテレビで屡々使われているために、国会でも使う議員が続出。笑っていられない事態だ。そもそも「綴じてある紙をめくりながら話をし、何か書いて行くためのもの」なのだ。だが、何処でどう間違われたのか「チャート」の意味で堂々と使われ、誰一人として疑わないのが凄いと思う。これは造語の部類に入れてもおかしくないかも知れない。学識経験豊かなはずのゲストまでが「フリップ」と言われるのを聞いて悲しい思いをしているのは私だけか。

余談だが、12年間コメンテーターを務めたラジオ局のプロデユーサーさんは「うちではそんな間違った言葉を使わない。チャンとチャートと呼んでいる」と言われた。素晴らしいじゃないか。

*ダンプカー dump truck or dumper、
解説)これも面白い。何故、どう見てもトラックなのに乗用車を表す "car" になったのだろう?

*オープンカー convertible または open-top car
解説)恐らく「オープントップカー」を省略してオープンカーにしたのだろうが、オープンカーだと開けっぱなしの車のように聞こえないかな。

*コーナー  bend or curve、
解説)競馬の中継などで「第4コーナーを回って」等という時の「コーナー」である。"corner"=コーナーは角であり、また端でもある。曲がってはいない。そうすると、テレビ番組などで「読者からのお葉書のコーナー」等と言っているあれは何だろう。

*アイドリングストッ no idling or idling reduction、
 解説)初めてバスの中でこのアナウンスを聞いた瞬間には意味が解らず、「アイドリングしながら停車」のことかと思ってしまった。だが、何とか「アイドリングをストップ」ということかと推理し、「停車時エンジン停止」だと認識出来た。因みに、私は自動車の運転を知らず、免許を取ろうとしたこともないので、この関係の事には疎いのだ。

マスコミの報道の姿勢は偏っていないか

2023-10-01 06:37:47 | コラム
彼らは何故立教大学総長の自宅に押しかけないのか?

立教大学の野球部で、上級生が1年生の部員を傷つける暴行をしたことが問題にされている。その件で、野球部長と広報課長だけの記者会見を開いて「謝罪した」と殆どのテレビ局が報じた。だが、私が見ていても具体的な内容に乏しく、ただ単に形式的に記者会見をしただけという印象だった。日大の場合には学連にお伺いを立てて、リーグ戦出場を控えたが、立大の場合は4年生の部員がリーグ戦出場を控えただけに止めた。

日本大学のアメリカンフットボール部の一件とは事の内容が異なるとは言え、日本大学は記者会見に理事長も学長も副学長も出席したのに、立教大学はお二方だけだった。私はこのことを問題にしようとは考えていない。疑問に感じたことはといえば、報道機関の姿勢である。日大の場合には日常的な実務に携わっておられるとは思えない林真理子理事長の自宅にまで取材に押しかけたのにも拘わらず、ここではそういう突っ込んだ取材はしていないのだ。

しかも、わが国のスポーツ界を代表するような競技である野球でのことなのに、未だに遺憾ながらマイナースポーツの域に止まっているアメリカンフットボール部の事件だと各社はあの総力取材であり、連日の報道である。彼らは立教大学野球部出身の名選手の名前など幾らでも挙げられるだろうが、日大フェニックスの過去の名QBの名前を5名でも上げられたら拍手喝采してやりたい。

それでも、彼らは何故か日本大学関連の事案だと、小説家として有名な林理事長を自宅にまで出かけて取材して「何も知らなかったのは無責任だ」というように報道する。会社組織で考えて見よ。実務の現場での案件を細大漏らさず社長に報告するかと。彼らテレビ局の者たちだって同様だろう。この辺りの姿勢を評して、私は彼らが偏向していると非難するのだ。彼らの反省を求めるのは誤りだろうか。