●織機の綜絖吊り滑車
製作地 カンボジア南部
製作年代(推定) 19世紀末~20世紀前期
カンボジアの古い織機の部品であった綜絖(そうこう)を上げ下げする糸吊りの滑車。布を織る道具の小さなパーツに、ここまでの意匠が凝らされていたことに心を動かされます。
糸作り、染料作り、染め織りのすべてが手仕事であった時代、織物の出来上がりは作り手の意思や技量のみで決まるものではなく、祈り(神仏)の力が必要であったことに思い至ります。
織られる布の一枚一枚が異なる表情・生命を有していた時代の織機... 織機やその部品自体も世界に一つのものとして、職人が祈りとともに手掛けていたのでしょう。
(写真 カンボジア・タケオ県にて)
●本記事内容に関する参考(推奨)文献