製作地 ラオス・フアパン県サムヌア
製作年代(推定) 20世紀前期
民族名 タイ・デーン族
素材/技法 絹、木綿、天然染料 / 縫取織、経縞
スカート全面が多彩な浮文の縫取織で精緻に装飾された”シン・コー”と呼ばれるタイ・デーン族伝統の衣装作品、20世紀前期の作例です。
このシン・コーは、家庭において母から娘へと手指の記憶として伝えられる慣習を有してきたものとされ、手指やひごを用いて経糸を持ち上げ縫取織の絵糸を織り入れる技巧により、家族(一族)に伝わる家紋に類する固有の文様が描かれました。
地産のラオ黄繭(カンボウジュ種)の手引き・手紡ぎ絹を、同じく地産の天然染料を駆使して多色に染め上げた縫取織の糸、これも母から娘へと伝えられた染色技術によるものであり、繊細な色の染め分けは、家庭で少量の染めを行なうことにより可能なものでした。
家庭内で染め織りが伝えられていた時代の、今では失われし表情、デザイン様式の作品です。
●現代的な素材と織りのシン・コー(シン・ムック・コー)を履くサムヌアの女性
(写真 ラオス・フアパン県にて)
●本記事内容に関する参考(推奨)文献