こんばんわ。
もう終わってしまったけれど、国立西洋美術館で”憧憬の地/ブルターニュ”展が開催されていた。つい展覧会記事は遅くなってしまう。何とか記録しておこうと、本ブログでは本日開幕である。
ブルターニュって?という方も多いかもしれない。地理的にはフランス北西部の半島部を占める地域で、文化的にはケルト系ブルトン人の言語、風俗が残されている地域である。パリの人々からみれば異郷の地であり、憧憬の地でもある。
この地域圏の首府はレンヌだが、16世紀からのブルターニュ公国の首都はナントであった。一方、ポン=タヴェンは、古い建造物や民族衣装を着た人々といった画趣に富む風景があり、多くの画家を魅了した。これらの都市(あるいは村)の位置関係を記した地図があったのでパチリ。この展覧会では撮影可能な作品が結構あり、よかった。以下、それらの作品を中心に記録しておきたい。
ブルターニュ地方のマップ。
ぼくは、パリとその周辺には行ったことはあるが、ブルターニュは未踏の地。いつか訪ねてみたいと思いながら、時は過ぎて、老いぼれてしまったので、もう行くことはないだろう。せめて絵画でブルターニュ地方を旅しよう。本展では、ブルターニュの風景と人々をいろいろな画家が描いている。モネ、ゴーガン、ターナー、黒田清輝らも居る。それらを集めた”憧憬の地/ブルターニュ”展である。
次のような章立てである。以下、各章ごとに、代表的な作品と簡単な説明文を載せておこうと思う。
1章 見出されたブルターニュ:異郷への旅
2章 風土にはぐくまれる感性:ゴーガン、ポン=タヴェン派と土地の精神
3章 土地に根を下ろす:ブルターニュを見つめ続けた画家たち
4章 日本発、パリ経由、ブルターニュ行:日本出身画家たちのまなざし
1章 見出されたブルターニュ:異郷への旅
ブルターニュ地方が、画家たちを惹きつけはじめたのは、19 世紀はじめのロマン主義の時代からで、ここでは、イギリスの風景画家、ターナーの水彩画やフランスの画家・版画家が手掛けた豪華挿絵本などが展示されている。19 世紀初めの”ピクチャレスク・ツアー”が流行ったが、その背景で生まれた作品もある。章の後半では、ブーダンやモネらが登場。旅する印象派世代の画家たちがとらえたブルターニュ各地の表情豊かな風景を見ることができる。
ターナー ナント(1829)ロワール河を主題とする版画シリーズの制作を念頭に、ブルターニュの古都、ナントに入った。二日間で30枚の鉛筆デッサンをして、それらを元に、ロワール河とナントの街並みを水彩で描いた。
豪華挿絵本(1845)ブルターニュ地方を含むフランス各地の絵になる景観、歴史的建造物などの図版を収録している。
マクシミリエンヌ・ギュイヨン 《海の星(聖母マリア)》『エスタンプ・モデルヌ』第15巻、第57図(1898)ブルターニュの伝統的衣装に身を包むマリアさま。これらが、画家の目にとまり、参考とされた。
カラーリトグラフによる各種ポスター ブルターニュの一般的イメージを伝えるのに役立った。
アルフォンス・ミュシャ 岸壁のエリカの花(1902)世紀末、パリで華やかなポスターで一世を風靡したミュシャは、ブルターニュに何度か訪れ、民族衣装を参考にしたポスターをつくっている。
モネは1886年ベリール滞在中、不気味な岩が連なる海岸を繰り返し描いた。ここではニ作。
モネ 嵐のベリール(1886)灰色がかった色彩と線状のストロークによって渦巻く嵐の海が描かれる。
モネ ポール=ドモワの洞窟(1886)入江の巨大な洞窟を俯瞰する本作は穏やかな海原と陽光を浴びる岩肌が色彩豊かに描かれる。
2章 風土にはぐくまれる感性:ゴーガン、ポン=タヴェン派と土地の精神
ブルターニュ地方南西部の村、ポン=タヴェンは、前述のように、画趣に富む風景の地で、早くも1860 年代にはアメリカやイギリス、北欧出身画家たちのコロニーが形成されていた。また、ゴーガンが1886 年、パリから逃れるようにポン=タヴェンを訪れる。この地を気に入り、1894 年まで何度もブルターニュに滞在、制作に取り組む。本展では、12 作品が展示されている。さらにエミール・ベルナールやポール・セリュジエらポン=タヴェン派の作品も見ることができる。
ゴーガン 海辺に立つブルターニュの少女たち(1989)ゴッホとの共同生活が破たんし、当地へ訪れたゴーガン。素朴な農民の子供たちが描かれる。寄り添って手を握り、怪訝そうな視線を投げかける。険しい身なりとむき出しの大きな足。
ゴーガン ブルターニュの農婦たち(1894)タヒチ滞在後、ここへ訪れたゴーガン。二人の農婦人はタヒチの女性の顔貌が投影されている。背景も南洋で培われた力強い色彩への痕跡が残されているとのこと。
ポール・セリュジエ ブルターニュのアンヌ女公への礼賛 (1922)
エミール・ベルナール ポン=タヴェンの市場(1888)
(つづく)
では、おやすみなさい。
いい夢を。
カレナックの紀元前5000~3000年の新石器時代の巨石群
大谷選手の活躍に、いつかしらん?
漸くに掲載してくれましたね。
名だたる画家に、意外な感はミュシャ。
独特の絵柄は、後期の作品なんですね。
有難うございます。
>本ブログでは本日開幕である。
楽しいです。
ケルト系ブルトン人って確か背丈が日本人並みではなかったですかね。
>古い建造物や民族衣装を着た人々といった画趣に富む風景があり、多くの画家を魅了した。
なるほどですね。
どうもこの展覧は関西には来ないみたいですね。
何もわかっちゃーいないのですが、これは観たかったです。
ぶらぶら美術館でも放送したようで、見逃しました。
ターナー展は神戸でもあり、映画もあったので親しみを持っています。
見覚えのある展覧会の看板は誰の作品だろう?と検索していたらゴーガンだったんですね。
下のタヒチの女性の顔貌が投影されている「ブルターニュの農婦たち」とは興味深いですね。
スマホ撮りOKとは珍しいです。どこかにmarboさんも書かれていましたっけ。
「カレナックの紀元前5000~3000年の新石器時代の巨石群」も初めて拝見しました。
↓
https://tourismejaponais.com/2020/02/20/carnac/
なんとも神秘的ですね。
有難うございました。
おやすみなさい。
ケルト人や文化には多少、興味があったので、ブルターニュ展は楽しみにしていました。ケルト系ブルトン人の背丈が日本人並みというのは知りませんでしたが、たとえば、縄文文化とケルト文化の類似性など日本人との共通点もあるようですね。
ブラ美でも放映されていたとのこと、ぼくも見逃していました。でも、今回は撮影OKの作品が多く、テレビ画像を使わなくて済みました。
次回は日本人画家が登場します。お楽しみに。
ありがとうございました。