令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・青春編(二)(05)秋田の穂立(ほたち)

2010年11月23日 | 家待・青春編(二)内舎人青雲
【掲載日:平成22年9月17日】

雲隠くもがくり 鳴くなる雁の きて
              秋田の穂立ほたち しげくし思ほゆ



家持に友がいた 
藤原八束ふじわらのやつか 
父は 藤原房前ふじわらのふささき
旅人たびと 大宰だざいそち在任中 梧桐あおぎり日本やまと琴を送り 
親交を得んとした方 

家持と八束やつか
き合いは 言うに及ばず 
軽口かるくちの応酬も気楽な仲

少しは 歌らしくなった 手慰てなぐさ
時雨しぐれの雲に ごもりを余儀なくされたよい
雁の声 穂立ち 黄葉もみじ 月の出
つくってみると 見せたくなる

ひさかたの 雨間あままも置かず 雲隠くもがくり 鳴きそ行くなる 早稲田わさだ雁がね
《雲のかげ 雨降るぁも 休まんと 雁鳴き飛ぶよ 早稲わせの田の上》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一五六六〉
雲隠くもがくり 鳴くなる雁の きてむ 秋田の穂立ほたち しげくし思ほゆ
《雲かくれ 鳴き飛ぶ雁の 行き先の 秋田のぉは たわわやろうか》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一五六七〉
雨隠あめごもり こころいぶせみ 出で見れば 春日かすがの山は 色づきにけり
《雨降りが うっとしいんで 出てみたら 春日の山は 色づいてたで》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一五六八〉
雨晴れて 清く照りたる この月夜つくよ またくたちて 雲な棚引き
《雨んで 月さわやかに 照っとるで もうこれからは 雲出んときや》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一五六九〉

早速に 八束やつかからの 返し歌

此処ここにありて 春日かすが何処いづく 雨障あまつつみ 出でて行かねば 恋ひつつそ
《この雨に 降り込められて 春日山 足とおのいた 行ってみたいで》
                         ―藤原八束ふじわらのやつか―〈巻八・一五七〇〉
春日野かすがのに 時雨しぐれ降る見ゆ 明日あすよりは 黄葉もみち插頭かざさむ 高円たかまとの山
《春日野に 時雨しぐれ降ってる 黄葉もみじやな 明日あした髪挿かざしに 高円山たかまど行こか》
                         ―藤原八束ふじわらのやつか―〈巻八・一五七一〉

雨後あまあとの けゆく 秋のよい
遠く  鳴き交わす 雁の声に 
親しみ覚える  家持




最新の画像もっと見る

コメントを投稿