令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・青春編(二)(04)消(け)たずて玉に

2010年11月26日 | 家待・青春編(二)内舎人青雲
【掲載日:平成22年9月14日】

我が屋戸やどの 草花をばなが上の 白露を
             消たずて玉に くものにもが



「どうじゃな  家持
 歌修錬 積んでるかな」
秋深いよい 叔父 大伴稲公おおとものいなきみが 訪ねてきた
書持ふみもちから聞いたが なかなかの上達振りとか
 今日は ひとつ わしの歌に してみぬか」

時雨しぐれの雨 無くし降れば 三笠山 木末こぬれあまねく 色づきにけり
時雨しぐれ雨 降り続いたで 三笠山 梢全部ぜえんぶ 色づいて仕舞た》
                         ―大伴稲公おおとものいなきみ―〈巻八・一五五三〉
大君おほきみの 三笠の山の 黄葉もみちばは 今日の時雨しぐれに 散りか過ぎなむ
《三笠山 山のもみじ 降る雨に 今日あたりもう 散るんとちゃうか》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一五五四〉

「やるではないか 
 秋も深まると やがて 雪がよう
 その時を  思うての歌 どうじゃな」

我が屋戸やどの 草花をばなが上の 白露を 消たずて玉に くものにもが
《庭にある ススキにりた 玉露を 消さんと糸に とおしてみたい》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一五七二〉
今日けふ降りし 雪にきほひて わが屋前やどの 冬木の梅は 花咲きにけり
《今日降った 雪に負けんと 庭の梅 枯れ木やけども 白花はな咲いたがな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一六四九〉
沫雪あわゆきの 庭に降りしき 寒き夜を 手枕たまくらかず ひとりかも寝む
淡雪あわゆきが 庭にみ 寒い夜 手ぇつなげんと 独り寝るんか》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一六六三〉

「よくできた よし 次は相聞歌そうもんうたを ひとつ」

あしひきの いはこごしみ すがの根を 引かばかたみと しめのみそ
《山の岩 ごつごつしてて すがの根を 抜かれへんので しるししといた》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻三・四一四〉

「よしよし 憶良殿の この歌に なぞらえての一首を 所望しよう」
牽牛ひこぼしの つま迎へぶね 漕ぎらし あま川原かはらに 霧の立てるは
《彦星の 迎えの船が 出たんやな あま川原かわらに 霧出てるがな》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―〈巻八・一五二七〉

織女たなばたし 船乗ふなのりすらし 真澄まそかがみ 清き月夜つくよに 雲立ち渡る
織姫おりひめが 迎船ふね乗ったや 波しぶき 澄んだ月夜つきよに 雲起してる》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻十七・三九〇〇〉

「ふうむ」 
感じ入る稲公いなきみ
書持ふみもちのやつ「上手になられた」と申しておったが おべっかと 思いきや なんのなんの〉 


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