犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(208)うち霧らし

2013年06月19日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【一月二十六日】放映分

うちらし 雪は降りつつ しかすがに 我家わぎへの園に うぐひす鳴くも
《空おおい 雪降るのんに 鶯が もう来てからに 庭で鳴いとる》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一四四一)

【万葉歌みじかものがたり】《あさるきぎしの》

旅人たびとが明けた
佐保さほ大納言家の当主となった 家持やかもち
時に まだよわい十六
旅人の資人しじん 余明軍よのみょうぐんは 
一年の明けと共に その任がかれる

まつりて いまだ時だに かはらねば 年月のごと 思ほゆる君
《お仕えし 日ィ浅いのに 長いこと つかえた思う 家持あなた様です》
                         ―余明軍よのみょうぐん―(巻四・五七九)
あしひきの 山にひたる すがの根の ねもころ見まく しき君かも
《出来るなら すがの根みたい 長々と お仕えしたい 家持あなた様です》
                         ―余明軍よのみょうぐん―(巻四・五八〇)

別れに際し 余明軍よのみょうぐん
かねての 旅人から預かった 書状を差し出す
「大殿さま 身罷みまかりの折 お預かりのものです」

さとしのこと―
一、 大伴家 伴造とものみやつことしてのいさおし忘れず 
天皇おおきみへの仕え一途いちずに励むこと
一、政治まつりごとがこと 関わり浅きが 上策 
扇動やからに付き従うは げんに避くるべきこと
一、 人付き合い 世渡りが為 うたつくりがかなめ
切磋琢磨せっさたくまし 一廉ひとかど歌人うたびと目指すべきこと
一、 歌修錬は 我が遺稿いこう 並びに筆録ひつろく先人せんじん 人麻呂殿 赤人殿 憶良殿らの筆にまねぶこと

 かねがね 父上が 仰せのこと
大伴家いえ守り 盛運せいうん得るに 心せねばなるまい
それ にしても
父上 我が歌の稚拙ちせつを ようくご存知
励まねばならぬが 今ひとつしょうに合わぬわ)

家持 は 
作り置いた 真似ごと歌を 思いしていた

うちらし 雪は降りつつ しかすがに 我家わぎへの園に うぐひす鳴くも
《空おおい 雪降るのんに 鶯が もう来てからに 庭で鳴いとる》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一四四一)
春の野に あさるきぎしの つまごひに おのがあたりを 人に知れつつ
《春の野で えさきじは 連れ呼んで 居場所猟師りょうしに 教えとるがな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一四四六)
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余明軍よのみょうぐんの歌】
しめひて 我がさだめてし 住吉すみのえの 浜の小松こまつは のちも我が松
しめ張って わしのと決めた 住吉すみのえの 浜の小松こまつは わしのやずっと》(小松=若い娘子)
                         ―余明軍よのみょうぐん―(巻三・三九四)




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【古事記ものがたり】への誘い
古事記編纂1300年を期し 一大叙事詩を作ってみました
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