犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(247)世の中は

2014年03月12日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【三月十二日】放映分
世の中は むなしきものと 知る時しいよよますます 悲しかりけり
《人の世は からっぽなんや 知らされた おもうてたより ずっと悲しで》
                         ―大伴旅人おおとものたびと―(巻五・七九三)

【万葉歌みじかものがたり】むなしきものと》

 は とっぷりと暮れていた
旅人たびとやかたの門をくぐる人がいる
筑前ちくぜん国府からはそう遠くない 
遅すぎた弔問ちょうもん
悲しみに打ちひしがれる旅人たびと
そのひたいに たてじわが寄る
 喰えん男が 今頃に・・・)

大君おほきみの 遠の朝廷みかどと しらぬひ 筑紫つくしの国に 泣く子なす 慕ひ来まして いきだにも いまだやすめず 年月としつきも いまだあらねば 心ゆも 思はぬあひだに うち摩き こやしぬれ
都離はなれて遠い 筑紫へと 子供みたいに 付いて来て 一息く間 無いままで そんな月日も たんのに 思いも寄らん ことなった》
言はむすべ すべ知らに 石木いはきをも け知らず 家ならば かたちはあらむを うらめしき いもみことの れをばも 如何いかにせよとか 鳰鳥にほどりの 二人並び 語らひし 心そむきて 家さかりいます
《どしたらえか 分からへん 応答こたえよらへん 石や木も 奈良にったら こんなこと ならんかったに なぁお前 どないんや このわしに 二人仲良う 暮らそやと うてたお前 もうらん》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・七九四)

家に行きて 如何いかにかがせむ 枕づく 妻屋つまやさぶしく 思ほゆべしも
《家帰り どしたらんや このわしは 寝床ねどこ見たかて さみしいだけや》
しきよし かくのみからに したし 妹が心の すべもすべなさ
可愛かいらしに あんな屡々いっぱい 甘え来た そんな気持に こたえられんで》
くやしかも かく知らませばあをよし 国内くぬちことごと 見せましものを
《悔しいな こんなことなら 眺めえ 筑紫国中くにじゅう 見せたったのに》
いもが見し あふちの花は 散りぬべし 我が泣くなみだ いまだなくに
栴檀せんだんの 花散りそうや 思いの よすがうなる えもせんのに》
大野山おほのやま 霧立ち渡る 我が嘆く 息嘯おきその風に 霧立ちわたる
《大野山 霧立ってるで わし嘆く 溜息ためいきまり 霧なったんや》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・七九五~七九九)

(形の弔問ちょうもん多いなか
  わしと心を同じうすべくの歌作りを・・・)
おく殿・・・」
差し出す手に 旅人たびとの歌 
世の中は むなしきものと 知る時しいよよますます 悲しかりけり
《人の世は からっぽなんや 知らされた おもうてたより ずっと悲しで》
                         ―大伴旅人おおとものたびと―(巻五・七九三)
無言で うなずく 憶良
老境 の二人の眼に 乾ききらぬ涙が




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