犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(209)天橋も

2013年06月22日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【一月二十七日】放映分

あまはしも 長くもがも 高山たかやまも 高くもがも 月夜見つくよみの 持てる変若をちみず い取り来て 君にまつりて 変若をちしけんはも
てんける橋 なごうあれ てん登る山 たこうあれ 月の世界の 若水わかみずを って帰って きみに 差し上げわこに 戻らせたいに》
                          ―作者未詳―(巻十三・三二四五)


【万葉歌みじかものがたり】阿胡あごの海の》

お前恋しの 旅寝たびねの空に
ふと見る海人娘子おとめ お前にてる
  
娘子をとめらが 麻笥をけに垂れたる 続麻うみをなす 長門ながとの浦に 朝凪に 満ちる潮の 夕凪に 寄せる波の その潮の いやますますに その波の いやしくしくに 我妹子わぎもこに 恋ひつつれば
長門ながとうら 朝凪どきに 満ちる潮 夕凪時分じぶん 寄せる波 益々ますます満ちる 潮みたい 次々寄せる 波みたい お前がれて やって来た》
阿胡あごの海の 荒磯ありその上に はま摘む 海人あま娘子をとめらが うながせる 領巾ひれも照るがに 手に巻ける 玉もゆららに 白栲しろたへの 袖振る見えつ あひ思ふらしも
《(なんの気なしに ふと見ると)阿胡あご荒磯ありその 岩の上 浜菜はまなんでる 海人あま娘子おとめ くび領巾ひれを 輝照きらつかせ 手に巻く玉を ゆらめかせ こっちこうて 白い袖 振ってん見える 気ぃあるんやな(ようよう見たら 良う似てる わしのあの児に 良う似とる)》
                          ―作者未詳―(巻十三・三二四三)
                          (娘子らが~績麻なす=麻糸は長い→長門)
阿胡あごの海の 荒磯ありその上の さざれ波 が恋ふらくは やむ時もなし
阿胡あご荒磯ありそ 寄せて来る波 絶え間ない わしのがれも 絶える間ないで》
                          ―作者未詳―(巻十三・三二四四)
   
あがめる君の けゆくくや
月の変若おちみず 取るすべないか 

あまはしも 長くもがも 高山たかやまも 高くもがも 月夜見つくよみの 持てる変若をちみず い取り来て 君にまつりて 変若をちしけんはも
てんける橋 なごうあれ てん登る山 たこうあれ 月の世界の 若水わかみずを って帰って きみに 差し上げわこに 戻らせたいに》
                          ―作者未詳―(巻十三・三二四五)
あめなるや つきの如く が思へる 君がに ゆらくしも
《日や月と 思いあがめる きみが 日に日けるん 見るんくやしで》
                          ―作者未詳―(巻十三・三二四六)
   
がはの 底なる玉 求めて し玉かも ひりひて し玉かも あたらしき君が ゆらくしも
名川ながわ底の 玉なんや もぐり求めた 玉なんや もぐひろうた 玉なんや (大切だいじ大切だいじの 玉みたい) えなしの きみが けんの見るん くやしいで》
                          ―作者未詳―(巻十三・三二四七)



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【古事記ものがたり】への誘い
古事記編纂1300年を期し 一大叙事詩を作ってみました
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■日めくり万葉集Vol・2(208)うち霧らし

2013年06月19日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
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【一月二十六日】放映分

うちらし 雪は降りつつ しかすがに 我家わぎへの園に うぐひす鳴くも
《空おおい 雪降るのんに 鶯が もう来てからに 庭で鳴いとる》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一四四一)

【万葉歌みじかものがたり】《あさるきぎしの》

旅人たびとが明けた
佐保さほ大納言家の当主となった 家持やかもち
時に まだよわい十六
旅人の資人しじん 余明軍よのみょうぐんは 
一年の明けと共に その任がかれる

まつりて いまだ時だに かはらねば 年月のごと 思ほゆる君
《お仕えし 日ィ浅いのに 長いこと つかえた思う 家持あなた様です》
                         ―余明軍よのみょうぐん―(巻四・五七九)
あしひきの 山にひたる すがの根の ねもころ見まく しき君かも
《出来るなら すがの根みたい 長々と お仕えしたい 家持あなた様です》
                         ―余明軍よのみょうぐん―(巻四・五八〇)

別れに際し 余明軍よのみょうぐん
かねての 旅人から預かった 書状を差し出す
「大殿さま 身罷みまかりの折 お預かりのものです」

さとしのこと―
一、 大伴家 伴造とものみやつことしてのいさおし忘れず 
天皇おおきみへの仕え一途いちずに励むこと
一、政治まつりごとがこと 関わり浅きが 上策 
扇動やからに付き従うは げんに避くるべきこと
一、 人付き合い 世渡りが為 うたつくりがかなめ
切磋琢磨せっさたくまし 一廉ひとかど歌人うたびと目指すべきこと
一、 歌修錬は 我が遺稿いこう 並びに筆録ひつろく先人せんじん 人麻呂殿 赤人殿 憶良殿らの筆にまねぶこと

 かねがね 父上が 仰せのこと
大伴家いえ守り 盛運せいうん得るに 心せねばなるまい
それ にしても
父上 我が歌の稚拙ちせつを ようくご存知
励まねばならぬが 今ひとつしょうに合わぬわ)

家持 は 
作り置いた 真似ごと歌を 思いしていた

うちらし 雪は降りつつ しかすがに 我家わぎへの園に うぐひす鳴くも
《空おおい 雪降るのんに 鶯が もう来てからに 庭で鳴いとる》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一四四一)
春の野に あさるきぎしの つまごひに おのがあたりを 人に知れつつ
《春の野で えさきじは 連れ呼んで 居場所猟師りょうしに 教えとるがな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一四四六)
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余明軍よのみょうぐんの歌】
しめひて 我がさだめてし 住吉すみのえの 浜の小松こまつは のちも我が松
しめ張って わしのと決めた 住吉すみのえの 浜の小松こまつは わしのやずっと》(小松=若い娘子)
                         ―余明軍よのみょうぐん―(巻三・三九四)




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■日めくり万葉集Vol・2(207)楽浪の

2013年06月15日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
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【一月二十五日】放映分

楽浪ささなみの 志賀津しがつの子らが まかの 川瀬かはせの道を 見ればさぶしも
楽浪さざなみの 滋賀しがのあの児が 水死んだ云う 川の瀬の道 見てたらさみし》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻二・二一八)

【万葉歌みじかものがたり】志賀津しがつの子らが》

(あの日の湖畔こはん さざ波が光っていた
 出仕しゅっしして まだ日も浅い 近江おうみの宮
 何知らぬ 若僧わかぞうに 絢爛きらきらしい宮であった
 それにも増して 遠くにちらと見た 采女うねめ
 あぁ吉備津きびつの采女
 美麗きらきらしい限りであった)

秋山の したへるいも なよ竹の とをよる子らは いかさまに 思ひれか たくなはの 長きいのちを 
《秋の黄葉もみじが 照るようで しなやか竹の ような児が 何を思たか 分からんが はかのうなって たんや》 
露こそば あしたに置きて ゆふへは ゆといへ 霧こそば ゆふへに立ちて あしたは すといへ
《露うのんは 朝結び 夕方なると 消えるう 霧言うもんは 夕方ばん立って 朝来た時に 消えて仕舞う》 
あづさゆみ おと聞くわれも おほに見し ことくやしきを 敷栲しきたへの 手枕たまくらまきて つるぎ大刀たち 身にけむ 若草の そのつまの子は 
《あの児評判うわさは 聞いてたが 気に留めせんと ったんや 手枕てまくらて 仲うに 並んで寝てた 連れ合いは》 
さぶしみか 思ひてらむ くやしみか 思ひ恋ふらむ 時ならず 過ぎにし子らが 朝露あさつゆのごと 夕霧ゆふきりのごと
さみしゅう思て 寝てんかな くやしゅう思て 偲ぶんか 寿命じゅみょう待たんと 死んだ児は まるで朝露 夕霧や》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻二・二一七)
楽浪ささなみの 志賀津しがつの子らが まかの 川瀬かはせの道を 見ればさぶしも
楽浪さざなみの 滋賀しがのあの児が 水死んだ云う 川の瀬の道 見てたらさみし》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻二・二一八)
そらかぞふ 大津おほつの子が 逢ひし日に おほに見しかば 今ぞくやしき
《大津の児 気にもめんと 見てた日が 今となったら 悔しでしきり》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻二・二一九)

いにしえ思う人麻呂
ぎるは キラキラしい 宮 采女うねめ

楽浪ささなみの 比良ひら山風の 海吹けば りする海人あまの そで返る見ゆ
比良山ひらやまの 吹き下ろし風 うみに吹き 漁師りょうしの袖が ひるがえっとる》【槐本つきもとの歌一首】
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻九・一七一五)
もののふの 八十やそがはの 網代あじろに いさよふ波の ゆくへ知らずも
《宇治川の 網代あじろの木ぃに 寄る波は よどみたゆたい 何処どこ行くんやろ》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻三・二六四)
いもらがり 今木いまきみねに 茂り立つ つま松の木は ふるひと見けむ
今木いまきみね 枝葉えだはしげらし 立つ松を むかしの人も 見たんやろうか》
                           ―作者未詳(人麻呂作?)―(巻九・一七九五)
                         (宇治若郎子うじのわかいらつこ-仁徳異母弟-の宮処〈宇治〉にて)

懐古かいこ感懐かんかい胸底むなそこに秘め 人麻呂は 帰路きろを辿る 



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■日めくり万葉集Vol・2(206)新羅へか

2013年06月12日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
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【一月二十四日】放映分
新羅しらきへか 家にか帰る 壱岐ゆきの島 かむたどきも 思ひかねつも
《新羅へと くんか家に 帰るんか き(壱岐)や言うても きともないで》
                         ―六人部鯖麻呂むとべのさばまろ―(巻十五・三六九六)

【万葉歌みじかものがたり】いは田野たのに》

壱岐の岡辺おかべに 小塚こづかを造り
任務にんむ我等われらが 果たすによって
安らか眠れ 雪宅満ゆきやかまろ
我等を庇護まもれ 雪宅満ゆきやかまろ

天皇すめろきの とほ朝廷みかどと 韓国からくにに 渡る我がは 家人いへびとの いはひ待たねか 正身ただみかも あやまちしけむ 
《国からの 仰せを受けて 遠く来て 韓国からくに渡るお前さん 家人うちでの祈り りんのか お前おこない 悪いんか》
秋去らば 帰りまさむと たらちねの 母にまをして 時も過ぎ 月もぬれば 今日けふむ 明日あすかも来むと 家人いへびとは 待ち恋ふらむに 
《秋が来たなら 戻るんで 心配しなと 母に言い 日ィ過ぎて仕舞て 月過ぎて 今日は帰るか 明日あすはどや 家でみんなが 待ちるに》 
とほの国 いまだも着かず 大和やまとをも 遠くさかりて いはが根の 荒き島根に 宿やどりする君
《目指す韓国からくに かれんで 大和国やまとくにから 離れてる 岩ごつごつの この島で 死んで仕舞しもうて あわれなこっちゃ》
                          ―遣新羅使人―(巻十五・三六八八)
いは田野たのに 宿やどりする君 家人いへびとの いづらと我れを 問はば如何いかに言はむ
いわ田野たので 死んで仕舞しもうて 家人いえひとの 何処どこおる聞くに なんてうんや》
                          ―遣新羅使人―(巻十五・三六八九)
世間よのなかは つねかくのみと 別れぬる 君にやもとな が恋ひ行かむ
《世の中は こんなもんやと 死んで仕舞た お前胸め わし(韓国)くのんか》
                          ―遣新羅使人―(巻十五・三六九〇)

宅満やかまろまつる 遣使つかいの胸に
明日 は我が身の 不安がよぎる
何故なぜにこの身が 新羅へなんぞ
 えど海は 越えねばならぬ

わたつみの かしこみちを 安けくも 無くなやみ来て 今だにも 無くかむと 壱岐ゆき海人あまの 上手ほってうらへを かたきて かむとするに いめごと 道の空路そらぢに 別れする君
大海おおうみの 恐ろし海路うみじ 悩みつつ 安らぎなしで ここにて あとはつつが けるに 壱岐いきの漁師の 占いの 上手じょうず頼んで 無事こと してた矢先に 夢みたい 雲の向こうに 行かれて仕舞しもた》
                         ―六人部鯖麻呂むとべのさばまろ―(巻十五・三六九四)
昔より ひける言の 韓国からくにの からくも此処ここに 別れするかも
韓国からくにて ようたもんや 言葉り からい別れに なって仕舞しもたで》
                         ―六人部鯖麻呂むとべのさばまろ―(巻十五・三六九五)
新羅しらきへか 家にか帰る 壱岐ゆきの島 かむたどきも 思ひかねつも
《新羅へと くんか家に 帰るんか き(壱岐)や言うても きともないで》
                         ―六人部鯖麻呂むとべのさばまろ―(巻十五・三六九六)




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■日めくり万葉集Vol・2(205)対馬の嶺は

2013年06月05日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
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【一月二十三日】放映分
対馬つしまは 下雲したぐもあらなふ かむに たなびく雲を 見つつしのはも
《対馬には く雲い 神峰かみみねに 靡く雲見て 偲ぶでお前》
                          ―東 歌―(巻十四・三五一六)

【万葉歌みじかものがたり】可刀かと娘子をとめの》

任受け旅は 辛いもの 心配よそに 不埒ふらちする

国の命令 かしこく受けて
僻地へきち派遣の 任務の歌か
都勤めと 故郷ふるさとを離れ
妻子残した 都行のぼりの歌か

残る家の児 別れはつら
一人 待つ身の 寝床は寒い
募る思いの さみしさこら
出向く 夫の 無事妻祈る

もし やこのうち 打ち捨ておいて
かこ無聊ぶりょうに 間違い起こし
都女みやこおんなに 間違いせぬか
はるか行く雲 何処いずこの宿り

赤駒あかごまが 門出かどでをしつつ 出でかてに せしを見立てし 家の児らはも
《赤駒が 家を出る時 躊躇ためろたん じっと見てたな うちのあの児は》
                          ―東 歌―(巻十四・三五三四)
我が背子せこを 大和へりて 待つしだす 足柄山の 杉のの間か
い大和 行かしてうちが 待つにも 足柄杉や 日ィ過ぎてくで》
                          ―東 歌―(巻十四・三三六三)
おもの 忘れむしだは 国はふり に立つ雲を 見つつしのはせ
《うちの顔 忘れかけたら 地から湧き 山昇のぼる雲見て 思い出してや》
                          ―東 歌―(巻十四・三五一五)
対馬つしまは 下雲したぐもあらなふ かむに たなびく雲を 見つつしのはも
《対馬には く雲い 神峰かみみねに 靡く雲見て 偲ぶでお前》
                          ―東 歌―(巻十四・三五一六)
海原うなはらの やは小菅こすげ あまたあれば 君は忘らす 我れ忘るれや
根柔菅ねやわすげえ女) 多数ようけるから あんたうち 忘れるやろが うち忘れんで》
                          ―東 歌―(巻十四・三四九八)
うち日さす 宮の我がは 大和女やまとめの ひざくごとに を忘らすな
《晴れやかな 都であんた 大和女やまとめの 膝枕まくらしたかて うち忘れなや》
                          ―東 歌―(巻十四・三四五七)
筑紫つくしなる にほふ児ゆゑに 陸奥みちのくの 可刀利かとり娘子をとめの ひし紐解く
筑紫つくし(都会)の児 色っぽいんで 香取かとり(田舎)の児 結んだ紐を ほどいて仕舞うが》
                          ―東 歌―(巻十四・三四二七)



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■日めくり万葉集Vol・2(204)秋山の

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秋山あきやまの 黄葉もみちしげみ まとひぬる いもを求めむ 山道やまぢ知らずも
《茂ってる 黄葉もみじの山に まよった お前探すに 道分れへん》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻二・二〇八)
【万葉歌みじかものがたり】《妹が名びて》

捕えて離さぬ 恋のやっこ
いに行こうなどと なんと 浅間あさましい
今しばらく は 
せめて の明けるまで

あまぶや かるみちは 我妹子わぎもこが 里にしあれば ねもころに 見まくしけど まず行かば 人目を多み 数多まねく行かば 人知りぬべみ 
《あの児の家は 軽の里 逢いたい気持ち 満々いっぱいや 始終しょっちゅ行ったら 人目付く かよい過ぎたら うわさ立つ》
かづら のちはむと 大船の 思ひたのみて 玉かぎる 磐垣淵いはかきふちの こもりのみ 恋ひつつあるに 
あとで逢える日 来るおもて 恋しさ我慢 送る日に》
渡る日の れ行くが如 照る月の 雲かくる如 沖つ藻の なびきし妹は 黄葉もみちばの 過ぎてにきと たまづさの 使つかひの言へば 
あかる照る日が 暮れるに 月が雲間に かくに わしをしとてた あのお前 黄葉もみじの葉っぱ 散るみたい って仕舞しもたと 言う知らせ》
梓弓あづさゆみ おとに聞きて はむすべ すべ知らに 
《話聞いたが どうたら えか分らん も出来ん》
おとのみを 聞きてありねば が恋ふる 千重ちえ一重ひとえも なぐさもる 心もありやと 我妹子わぎもこが まず出で見し 軽のいちに わが立ち聞けば 
《聞いてじっとは とれんで えた気持ちが 一寸ちょっとでも おさまることも あるかなと お前のった 軽の市 行ってたずねて 探したが》
玉襷たまたすき 畝傍うねびの山に 鳴く鳥の こゑも聞えず 玉桙たまほこの 道行く人も 一人だに 似てし行かねば 
《行き人中ひとなか 声聞けん 人多数よけるに 影見えん》
すべみ 妹が名びて そでぞ振りつる
うろ仕舞しもて 名ァ呼んで 袖振りまわし わめいたこっちゃ》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻二・二〇七)

秋山あきやまの 黄葉もみちしげみ まとひぬる いもを求めむ 山道やまぢ知らずも
《茂ってる 黄葉もみじの山に まよった お前探すに 道分れへん》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻二・二〇八)
黄葉もみちばの りゆくなへに 玉梓たまづさの 使つかひを見れば ひし日思ほゆ
《あの使い 黄葉もみじ時分じぶんに また見たら 一緒った日 思いすんや》
柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻二・二〇九)

悔しさ もどかしさ 悔悟かいごの念去りやらぬ 人麻呂


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