犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(216)降る雪は

2013年08月28日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【二月七日】放映分
降る雪は あはには降りそ 吉隠よなばりの 猪養ゐかひの岡の 寒からまくに
《雪そない 降ったりないな 猪養いかいおか あの人お墓 寒がるよって》
                         ―穂積皇子ほづみのみこ―(巻二・二〇三)

【万葉歌みじかものがたり】かりたぐひて》

和銅 元年(708)の秋近い日
但馬皇女たぢまのひめみこ訃報ふほうが届く
 の火を燃やした日から 十三年が過ぎていた

(いまさら 弔問ちょうもんにも 行けぬか
  それにしても あの情熱は すごかった
 わしが 皇女ひめみこを避けたのは あながち 高市たけちの皇子みこを はばかっただけでは なかったのだ
  監視をくぐり 忍んでくる 
寄越よこす文は 日ごと夜ごと
情念の文字がおどっていた
が途絶え 安堵あんどしたのを 覚えている
あれから 幾としつきか・・・)

その 冬は 例年に無い冷え込み
平城ならの都は 猛然たる吹雪に見舞われた
横なぐりの 雪を眺める 穂積皇子ほづみのみこ 
皇子みこの胸に 今更の思慕おもいが・・・

降る雪は あはには降りそ 吉隠よなばりの 猪養ゐかひの岡の 寒からまくに
《雪そない 降ったりないな 猪養いかいおか あの人お墓 寒がるよって》
                         ―穂積皇子ほづみのみこ―(巻二・二〇三)

皇子に 人には言えぬ 懐古かいこが よみがえ
但馬 皇女の 命日を迎えた日
昔来た 皇女ひめみこからの 最期さいごの文を 開いていた
 今朝聞いた 雁の声が この文を 思い出させたのだ
 情熱が静まり どこか あきらめの見える歌・・・)
ことしげき 里に住まずは 今朝けさ鳴きし かりたぐひて なましものを
《口さがな 里にらんと 今朝けさ鳴いた 雁と一緒に 仕舞しまいたい》
                         ―但馬皇女たじまのひめみこ―(巻八・一五一五)
 返し歌を 手向けてやらねば)
今朝けさ朝明あさけ かり聞きつ 春日山かすがやま 黄葉もみちにけらし が心いた
《雁の声 明け方聞いた 春日山 黄葉いろづいたんや 胸締めつける》
                         ―穂積皇子ほづみのみこ―(巻八・一五一三)

 あの人は もう居ないのだ
 雁と一緒にってしまったのか
浅茅あさじの花と一緒に散ってしまったのか) 
秋萩は 咲くべくあるらし 我がやどの 浅茅あさぢが花の 散りぬる見れば
《秋萩の 咲くん近いで 庭先の 浅茅あさじの花の 散るのん見たら》
                         ―穂積皇子ほづみのみこ―(巻八・一五一四)
 どうして あの時・・・)
皇子の胸に 甲斐かいなき悔悟かいごの念




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【古事記ものがたり】への誘い
古事記編纂1300年を期し 一大叙事詩を作ってみました
こちらを ご覧下さい。
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■日めくり万葉集Vol・2(215)ももしきの

2013年08月21日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【二月六日】放映分
ももしきの 大宮人おほみやひとは いとまあれや 梅をかざして ここにつどへる
《おつかえの 大宮おおみやびとは 休みかな うめかみし 集まっとるで》
                           ―作者未詳―(巻十・一八八三)


【万葉歌みじかものがたり】春野 のうはぎ》

 の陽気に 野山が誘う
くさ摘む乙女 野遊び男
日暮れしんで 出る月待てば
おぼろ月影 春先情緒じょうちょ

春日かすがに けぶり立つ見ゆ 娘子をとめらし 春野のうはぎ みてらしも
春日野かすがのに けむり立っとる 乙女おとめらが 春野はるのでヨメナ るか》
                           ―作者未詳―(巻十・一八七九)
  
ももしきの 大宮人おほみやひとは いとまあれや 梅をかざして ここにつどへる
《おつかえの 大宮おおみやびとは 休みかな うめかみし 集まっとるで》
                           ―作者未詳―(巻十・一八八三)
  
春の野に 心べむと 思ふどち 今日けふの日は 暮れずもあらぬか
《春の野に らしがてら 友同士どうし 来た今日きょうの日は 暮れるんしで》
                           ―作者未詳―(巻十・一八八二)
  
はるかすみ 立つ春日野かすがのを 行き返り 我れは相見あひみむ いや年のはに
かすみ立つ 春の春日野かすがの して ながめ遊ぼや 来る年ごとに》
                           ―作者未詳―(巻十・一八八一)
  
春日野かすがのの 浅茅あさぢが上に 思ふどち 遊ぶ今日けふの日 忘らえめやも
《友同士どうし 春日かすが茅原かやはら 出かけた 今日きょうの野遊び 満足したで》
                           ―作者未詳―(巻十・一八八〇)

はるかすみ たなびく今日けふの 夕月夜ゆふづくよ 清く照るらむ 高松の野に
春霞はるがすみ なび月影つきかげ かすんでる 高松たかまつでは きよらかやろな》
                           ―作者未詳―(巻十・一八七四)
  
春されば くれ多み 夕月夜ゆふづくよ おほつかなしも 山蔭やまかげにして
《春来たら 木陰こかげ繁って ほのぐらい ほのぐらづきや ここ山陰やまかげで》
                           ―作者未詳―(巻十・一八七五)
  
あさかすみ 春日はるひくれは より うつろふ月を いつとか待たむ
《穏やかな 春の日れる このあとは 出る月 待つと仕様しょうかい》
                           ―作者未詳―(巻十・一八七六)



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【古事記ものがたり】への誘い
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