NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。
【二月七日】放映分
降る雪は あはには降りそ 吉隠の 猪養の岡の 寒からまくに
《雪そない 降ったりないな 猪養岡 あの人お墓 寒がるよって》
―穂積皇子―(巻二・二〇三)
【万葉歌みじかものがたり】《雁に副ひて》
和銅元年(708)の秋近い日
但馬皇女の訃報が届く
恋の火を燃やした日から 十三年が過ぎていた
(いまさら 弔問にも 行けぬか
それにしても あの情熱は すごかった
わしが 皇女を避けたのは あながち 高市皇子を 憚っただけでは なかったのだ
監視をくぐり 忍んでくる
寄越す文は 日ごと夜ごと
情念の文字が躍っていた
行き来が途絶え 安堵したのを 覚えている
あれから 幾年月か・・・)
その冬は 例年に無い冷え込み
平城の都は 猛然たる吹雪に見舞われた
横なぐりの 雪を眺める 穂積皇子
皇子の胸に 今更の思慕が・・・
降る雪は あはには降りそ 吉隠の 猪養の岡の 寒からまくに
《雪そない 降ったりないな 猪養岡 あの人お墓 寒がるよって》
―穂積皇子―(巻二・二〇三)
皇子に 人には言えぬ 懐古が 甦る
但馬皇女の 命日を迎えた日
昔来た 皇女からの 最期の文を 開いていた
(今朝聞いた 雁の声が この文を 思い出させたのだ
情熱が静まり どこか 諦めの見える歌・・・)
言繁き 里に住まずは 今朝鳴きし 雁に副ひて 去なましものを
《口さがな 里に居らんと 今朝鳴いた 雁と一緒に 去て仕舞いたい》
―但馬皇女―(巻八・一五一五)
(返し歌を 手向けてやらねば)
今朝の朝明 雁が音聞きつ 春日山 黄葉にけらし 我が心痛し
《雁の声 明け方聞いた 春日山 黄葉いたんや 胸締めつける》
―穂積皇子―(巻八・一五一三)
(あの人は もう居ないのだ
雁と一緒に去ってしまったのか
浅茅の花と一緒に散ってしまったのか)
秋萩は 咲くべくあるらし 我がやどの 浅茅が花の 散りぬる見れば
《秋萩の 咲くん近いで 庭先の 浅茅の花の 散るのん見たら》
―穂積皇子―(巻八・一五一四)
(どうして あの時・・・)
皇子の胸に 甲斐なき悔悟の念
――――――――――――――――――――
【古事記ものがたり】への誘い
古事記編纂1300年を期し 一大叙事詩を作ってみました
こちらを ご覧下さい。
【古事記ものがたり】へ
【万葉歌みじか物語】はこちら
<万葉歌みじかものがたり>へ
■リンク先
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
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ご覧下さい。
【二月七日】放映分
降る雪は あはには降りそ 吉隠の 猪養の岡の 寒からまくに
《雪そない 降ったりないな 猪養岡 あの人お墓 寒がるよって》
―穂積皇子―(巻二・二〇三)
【万葉歌みじかものがたり】《雁に副ひて》
和銅元年(708)の秋近い日
但馬皇女の訃報が届く
恋の火を燃やした日から 十三年が過ぎていた
(いまさら 弔問にも 行けぬか
それにしても あの情熱は すごかった
わしが 皇女を避けたのは あながち 高市皇子を 憚っただけでは なかったのだ
監視をくぐり 忍んでくる
寄越す文は 日ごと夜ごと
情念の文字が躍っていた
行き来が途絶え 安堵したのを 覚えている
あれから 幾年月か・・・)
その冬は 例年に無い冷え込み
平城の都は 猛然たる吹雪に見舞われた
横なぐりの 雪を眺める 穂積皇子
皇子の胸に 今更の思慕が・・・
降る雪は あはには降りそ 吉隠の 猪養の岡の 寒からまくに
《雪そない 降ったりないな 猪養岡 あの人お墓 寒がるよって》
―穂積皇子―(巻二・二〇三)
皇子に 人には言えぬ 懐古が 甦る
但馬皇女の 命日を迎えた日
昔来た 皇女からの 最期の文を 開いていた
(今朝聞いた 雁の声が この文を 思い出させたのだ
情熱が静まり どこか 諦めの見える歌・・・)
言繁き 里に住まずは 今朝鳴きし 雁に副ひて 去なましものを
《口さがな 里に居らんと 今朝鳴いた 雁と一緒に 去て仕舞いたい》
―但馬皇女―(巻八・一五一五)
(返し歌を 手向けてやらねば)
今朝の朝明 雁が音聞きつ 春日山 黄葉にけらし 我が心痛し
《雁の声 明け方聞いた 春日山 黄葉いたんや 胸締めつける》
―穂積皇子―(巻八・一五一三)
(あの人は もう居ないのだ
雁と一緒に去ってしまったのか
浅茅の花と一緒に散ってしまったのか)
秋萩は 咲くべくあるらし 我がやどの 浅茅が花の 散りぬる見れば
《秋萩の 咲くん近いで 庭先の 浅茅の花の 散るのん見たら》
―穂積皇子―(巻八・一五一四)
(どうして あの時・・・)
皇子の胸に 甲斐なき悔悟の念
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【古事記ものがたり】への誘い
古事記編纂1300年を期し 一大叙事詩を作ってみました
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