犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(236)我が園の

2014年01月25日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【三月六日】放映分
我が苑の すももの花か 庭にる はだれのいまだ 残りたるかも
《庭散るは すもも落花はなか っとった 雪がまだらに 残っとるんか》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四一四〇)

【万葉歌みじかものがたり】したる道に

こしは 四年目の春を 迎えた
天平 勝宝二年(750)
思えば 
やみせの春 
大黒おおくろ」・池主・長歌失くしの春
池主諫言かんげんにより 一年の歌停止ちょうじかれたは 
昨年 の春であった

 今年の春の 穏やかなこと
なんと 心おどる 春であることか)

春 三月を迎え 短日たんじつの連作
その 歌は 新しい気に満ち
どこか みやこ風情ふぜいただよ
大嬢おおいらつめが 運んでしか

【三月一日 暮れ】春の苑のももすももの花見て 二首
春のその くれなゐにほふ 桃の花 したる道に 出で立つ娘子をとめ
はるそので あこうにえる 桃の花 その下道したみちに 立つ娘子おとめよ》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四一三九)
我が苑の すももの花か 庭にる はだれのいまだ 残りたるかも
《庭散るは すもも落花はなか っとった 雪がまだらに 残っとるんか》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四一四〇)

【  〃  夜】飛びかけしぎを見て
けて ものがなしきに さ夜けて 羽振はぶき鳴くしぎ が田にか
《春なって 物憂ものうよるに 羽ばたいて 鳴いてるしぎは 何処どこの田やろか》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四一四一)

 三月二日】柳を折取り 都偲んで
春の日に れる柳を 取り持ちて 見れば都の 大路おほぢし思ほゆ
《春の日に 芽吹く柳を 眺めたら 奈良の大路おおじの 柳なつかし》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四一四二)

【 〃 】堅香子草かたかごを折取りて
物部もののふの 八十やそ娘子をとめらが まがふ 寺井てらゐうへの 堅香子かたかごの花
娘子おとめらが 多数よけ集まって 水を汲む 湧水わきみず場所に 咲く堅香子かたかごよ》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四一四三)

  〃 】帰る雁を見て 二首
つばめ来る 時になりぬと 雁がねは 本郷くにしのひつつ 雲がくり鳴く
つばめ来る 季節なったと 雁の奴 故郷くにしのんで 雲なか鳴くよ》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四一四四)
けて かく帰るとも 秋風に 黄葉もみちの山を 越えざらめや
《春になり 帰って仕舞ても 秋風の 黄葉もみじの山を 越えまた来るで》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十九・四一四五)



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【古事記ものがたり】への誘い
古事記編纂1300年を期し 一大叙事詩を作ってみました
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■日めくり万葉集Vol・2(235)おもしろき

2014年01月22日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
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【三月五日】放映分
おもしろき 野をばな焼きそ 古草ふるくさに 新草にひくさまじり ひはふるがに
おもむきの ある冬の野を 焼かんとき 古草ふるくさ新芽しんめ 出るまましとき》
                          ―東 歌―(巻十四・三四五二)


【万葉歌みじかものがたり】乎那をな

恋歌 多い 東歌
        中に雑歌ぞうかも 幾許いくばく


歌は手児名てこなに 海人あまふね歌に
広がる原野 古草ふるくさ新芽しんめ
草深くさふか荒野あらの 鳴くほととぎす
笑顔大切だいじや 長命ながいき祈り

葛飾かづしかの 真間まま手児名てこなが ありしかば 真間の磯辺おすひに 波もとどろに
葛飾かつしかの 真間まま手児名てこなが 生きてたら 波騒ぐよに 男騒ぐで》
                          ―東 歌―(巻十四・三三八五)
白栲しろたへの ころもの袖を 麻久良我まくらがよ 海人あま漕ぎ見ゆ 波立つなゆめ
《袖くる 麻久良我あくらがあたり 海人あまの船 漕いでん見える 波立たんとき》
                          ―東 歌―(巻十四・三四四九)
葛飾かづしかの 真間まま浦廻うらまを 漕ぐ船の 船人ふなびとさわく 波立つらしも
《真間の浦 漕いどる船で 船頭が えろあわててる 波出たらしな》
                          ―東 歌―(巻十四・三三四九)
夏麻なつそ引く 海上潟うなかみがたの 沖つに 船はとどめむ さけにけり
海上うなかみの 潟の沖洲おきすに 船めよ 夜とっぷりと けたよってに》
                          ―東 歌―(巻十四・三三四八)
おもしろき 野をばな焼きそ 古草ふるくさに 新草にひくさまじり ひはふるがに
おもむきの ある冬の野を 焼かんとき 古草ふるくさ新芽しんめ 出るまましとき》
                          ―東 歌―(巻十四・三四五二)
草蔭くさかげの 安努あのな行かむと りし道 安努あのは行かずて 荒草あらくさ立ちぬ
《草深の 安努あの行くために 付けた道 つうじんままに 雑草くさえて仕舞た》
                          ―東 歌―(巻十四・三四四七)
信濃しなのなる 須我すが荒野あらのに 霍公鳥ほととぎす 鳴く声聞けば 時過ぎにけり
《ほととぎす 須我すが荒野あらので 鳴いとおる あれから何年 ったことやろ》
(埋葬の 荒野で鳴くよ ほととぎす ときすぎときすぎ 月日ったで)
                          ―東 歌―(巻十四・三三五二)
おのを おほになひそ 庭に立ち ますがからに 駒に逢ふものを
《その命 おろそかしなや 庭笑ろてたら あの人の馬 逢えるてうで》
                          ―東 歌―(巻十四・三五三五)
らふ このむかの 乎那をなの ひじにつくまで 君がもがも
《真向かいの 乎那おなちびり 泥洲なるまで あんた長生き されますように》
                          ―東 歌―(巻十四・三四四八)



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■日めくり万葉集Vol・2(234)世間を

2014年01月18日 | 日めくり万葉集
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平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
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【三月二日】放映分
世間よのなかを 常無きものと 今ぞ知る 平城ならみやこの 移ろふ見れば
《世の中は むなしいもんと 分かったで 平城ならみやこの さびれん見たら》
                         ―作者未詳―(巻六・一〇四五)


【万葉歌みじかものがたり】みやことなりぬ
時代移りの 悪戯いたずらなのか ていの思いの たわむれなのか
の都に 賑いあれど 旧都平城宮ならみや 夕日に沈む

くれなゐに 深くみにし こころかも 平城ならみやこに 年のぬべき
《こんなにも 心馴染なじんだ 平城みやこ 荒れたまんまで 日ィつのんか》
                         ―作者未詳―(巻六・一〇四四)
世間よのなかを 常無きものと 今ぞ知る 平城ならみやこの 移ろふ見れば
《世の中は むなしいもんと 分かったで 平城ならみやこの さびれん見たら》
                         ―作者未詳―(巻六・一〇四五)
いはつなの また変若ちかへり あをよし 平城ならの都を またも見むかも
つたの葉は またあおなるで 平城みやも またあおよし 成らんやろうか》
                         ―作者未詳―(巻六・一〇四六)
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甕原みかのはら宮 名前を替えて みやこと 位が上がる
又の元の名 布当ふたぎの原は 今や帝都と 花咲き誇る

我が大君おほきみ 神のみことの 高知らす 布当ふたぎの宮は 百樹ももきなし 山は木高こだかし 落ちたぎつ 瀬のも清し
天皇おおきみの お治めなさる 布当宮ふたぎみや 木々が茂って 山高い 激流ながれ瀬音せおと 清らかや》 
鴬の 来鳴く春へは いはほには 山下光り 錦なす 花咲きををり さ男鹿の 妻呼ぶ秋は あまらふ 時雨しぐれをいたみ さつらふ 黄葉もみち散りつつ 
《鶯鳥が 鳴く春は 山裾いわは 照り光り 錦きらめく 花が咲く 男鹿おじか連れ呼ぶ 秋来たら 空をおおって 時雨しぐれ降り 黄葉もみじほんのり 色くよ》 
八千年やちとせに れつがしつつ 天の下 知らしめさむと 百代ももよにも かはるましじき おほみやどころ
八千年はっせんねんの のちまでも 世ぎ次々 まれられ この国ずっと 治めはる 百代ひゃくだいまでも 変わらんと 続いて行くよ ここの大宮所みやどこ
                         ―田辺福麻呂たなべのさきまろ歌集―(巻六・一〇五三)

泉川 ゆく瀬の水の 絶えばこそ 大宮所おほみやどころ 移ろひかめ
《大宮が さびれる時は 泉川 流れの水が 枯れる時やで(いでそんなん)》
                         ―田辺福麻呂たなべのさきまろ歌集―(巻六・一〇五四)
布当ふたぎ山 山並やまなみ見れば 百代ももよにも かはるましじき 大宮所おほみやどころ
布当山ふたぎやま つらなっとるで 百代ひゃくだいも つらなり行くで ここの大宮所みやどこ
                         ―田辺福麻呂たなべのさきまろ歌集―(巻六・一〇五五)
娘子をとめが うみくといふ 鹿背かせの山 時のければ みやことなりぬ
娘子おとめらが あさかせの 鹿背の山 時が来たんで みやこになった》
                         ―田辺福麻呂たなべのさきまろ歌集―(巻六・一〇五六)
鹿背かせの山 樹立こだちしげみ 朝らず 来鳴きとよもす うぐひすの声
《鹿背山は 木ぃ繁茂いっぱいや 鶯が 毎朝来ては 声響かせる》
                         ―田辺福麻呂たなべのさきまろ歌集―(巻六・一〇五七)
狛山こまやまに 鳴く霍公鳥ほととぎす 泉川 わたりを遠み 此処ここに通はず
狛山こまやまで 鳴く鶯は 泉川かわひろて よう渡れんで ここよらんわ》
                         ―田辺福麻呂たなべのさきまろ歌集―(巻六・一〇五八)



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■日めくり万葉集Vol・2(233)娘子らが

2014年01月15日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
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【三月一日】放映分
娘子をとめらが 插頭かざしのために 風流士みやびをの かづらのためと 敷きませる 国のはたてに 咲きにける 桜の花の にほひはもあなに
娘子おとめこぞって 髪にす 伊達だてな男が かづらする このもとの 国中くになかに ち咲く花の さくらばな そのえの 見事みごとなことよ》 
                                                   ―作者未詳―(巻八・一四二九)

【万葉歌みじかものがたり】にほひはもあなに
寒さこらえて つつましに咲く
梅花うめに続いて 春いろどるは
ぱっと咲く花 爛漫らんまん
染まる 色香に 浮き立つ心

うちなびく 春きたるらし 山のの とほ木末こぬれの 咲きゆく見れば
《春さかり てるようやで 山間やまあいの 遠く咲く桜花はな 日々ひびえてくで》
                         ―尾張連おわりのむらじ―(巻八・一四二二)
春山の 咲きのををりに 春菜はるな摘む 妹がしらひも 見らくしよしも
春山はるやまの 桜花はなく下で む児 白紐ひも光ってる あぁはるなんや》 
                         ―尾張連おわりのむらじ―(巻八・一四二一)

若宮年魚麻呂わかみやのあゆまろ 口誦こうしょう歌】
娘子をとめらが 插頭かざしのために 風流士みやびをの かづらのためと 敷きませる 国のはたてに 咲きにける 桜の花の にほひはもあなに
娘子おとめこぞって 髪にす 伊達だてな男が かづらする このもとの 国中くになかに ち咲く花の さくらばな そのえの 見事みごとなことよ》 
                                                   ―作者未詳―(巻八・一四二九)
去年こぞの春 へりし君に ひにてし 桜の花は 迎へけらしも
去年きょねん春 うたあんたを 恋いしたい 迎え咲いたで 桜の花が》
                          ―作者未詳―(巻八・一四三〇)

春雨はるさめの しくしく降るに 高円たかまとの 山の桜は いかにかあるらむ
《春の雨 しきり降ってる 高円たかまどの 桜散らんと まだ有るやろか》
                         ―河辺東人かわべのあずまひと―(巻八・一四四〇)
沫雪あわゆきか はだれに降ると 見るまでに 流らへ散るは 何の花ぞも
沫雪あわゆきが はらはらると 見えるに 吹き散るのんは なんの花やろ》
                         ―駿河釆女するがのうねめ―(巻八・一四二〇)

ぬるむ川辺に 山吹やまぶき咲いて
 馬酔木あしび花房 たわわと垂れる)

かはづ鳴く 神奈備かむなび川に 影見えて 今か咲くらむ 山吹の花
《今頃は 河鹿かじか鳴く川 神奈備川かんなびに 山吹花やまぶきかげを うつしてるかな》
                         ―厚見王あつみのおおきみ―(巻八・一四三五)
押し照る 難波なにはを過ぎて うちなびく 草香くさかの山を ゆふれに 我が越えれば 山もに 咲ける馬酔木あしびの 悪しからぬ 君をいつしか きて早見む
難波なにわぃを 通り過ぎ 草香くさかの山を 夕暮ゆうぐれに わしが越えよと 来たときに 山道やまみちおおい 咲く馬酔木あしび かんとしたう あのかたに そのうちはよう 逢いたいもんや》
                          ―作者未詳―(巻八・一四二八)
                          (馬酔木=あしび→悪<あ>)



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■日めくり万葉集Vol・2(232)春の野に

2014年01月11日 | 日めくり万葉集
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【二月二十九日】放映分
春の野に すみれみにと し我れぞ 野をなつかしみ 一夜ひとよ寝にける
《春の野に すみれを摘みに 来たんやが 気分えんで 泊って仕舞しもた》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻八・一四二四)

【万葉歌みじかものがたり】すみれみにと

山部赤人やまべのあかひとは 人付き合いが 上手うまくなかった
人一倍の気づかい それが相手に伝わらない
気遣い の負担を させまいとする心
これ が 相手を遠ざける

 梅見 菜摘みに 誘いたいが 降った雪にホッとする自分がいる)
我が背子に 見せむとおもひし 梅の花 それとも見えず 雪の降れれば
《梅の花 雪降り積もり 見えんがな 友に見せよと おもうていたに》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻八・一四二六)
明日あすよりは 春菜はるなまむと めし野に 昨日きのふ今日けふも 雪は降りつつ
明日あしたから 若菜み行こ 決めたのに その野は雪や 昨日も今日も》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻八・一四二七)

 春の楽しみを味わえないものか それも あの児と)
春の野に すみれみにと し我れぞ 野をなつかしみ 一夜ひとよ寝にける
《春の野に すみれを摘みに 来たんやが 気分えんで 泊って仕舞しもた》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻八・一四二四)

(思うては 自らあきらめ こと成っての楽しい暮らし 仮想おもううての日々が過ぎいく)
あしひきの 山桜花 ならべて かく咲きたらば いと恋ひめやも
《桜花 ずうっとなごう 咲くんなら こんなに見とう 思いはせんに》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻八・一四二五)

ひそかに思う相手 相手をおもんばかり 恋心告げもせず 悶々もんもんと歌うしかない)
春日はるひを 春日かすがの山の 高座たかくらの 御笠みかさの山に 朝さらず 雲たなびき 貌鳥かほどりの なくしば鳴く 
春日かすがの峰の 御笠の山に 朝は常時いっつも 雲棚引いて 郭公鳥かっこうどりは 鳴き続けとる》
雲居くもゐなす 心いさよひ その鳥の 片恋かたこひのみに 昼はも 日のことごと よるはも のことごと 立ちてて 思ひぞ我がする 逢はぬゆゑ
 その雲みたい 心は揺れて 鳥の名みたい 片恋(カッコウ)しとる 夜昼なしに 立っても居ても 沈む思いや 逢われんよって》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻三・三七二)
高座たかくらの 御笠みかさの山に 鳴く鳥の めばがるる 恋もするかも
 次々に 恋し心が 湧いてくる 御笠の山で 鳴く鳥みたい》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻三・三七三)

(伝えぬが 分かって欲しい恋心 やがてのあきらめ 次なる相手を 探すしかない)
我がやどに 韓藍からあゐおほし 枯れぬれど りずてまたも かむとぞ思ふ
《庭先に 植えた鶏頭けいとう 枯れたけど えでそんなら また植えるから》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻三・三八四



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■日めくり万葉集Vol・2(231)巨椋の

2014年01月08日 | 日めくり万葉集
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平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
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【二月二十八日】放映分
巨椋おほくらの 入江とよむなり 射目人いめひとの 伏見ふしみに かり渡るらし
巨椋池おぐらいけ 入江鳴き声 響いてる 伏見の田ぁへ 雁渡るんや》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻九・一六九九)


【万葉歌みじかものがたり】しげかり

秋の訪れ 雁呼びたり
聞くかりは せつう響く
萩連れ 鹿は 声響かせて
時雨しぐれ降るたび 萩花散らす

春草はるくさを 馬咋うまくひ山ゆ 越えなる かり使つかひは 宿やどぐなり
咋山くいやまを 越える雁の 家使つかいやに 此処飛び過ぎた 家どやろかな》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻九・一七〇八)
巨椋おほくらの 入江とよむなり 射目人いめひとの 伏見ふしみに かり渡るらし
巨椋池おぐらいけ 入江鳴き声 響いてる 伏見の田ぁへ 雁渡るんや》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻九・一六九九)
                          (射目人=狩りで獲物を射る人→伏せて待つ→伏見)
秋風に 山吹やまぶきの瀬の 鳴るなへに あまくもかける かりへるかも
 秋風で 山吹の瀬ぇ 騒ぐ時 空飛ぶ雁の 声聞こえたで》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻九・一七〇〇)
                          (山吹=地名)
三諸みもろの 神奈備かむなび山に たち向ふ 御垣みかきの山に 秋萩の 妻をかむと あさ月夜づくよ 明けまくしみ あしひきの 山彦やまびことよめ 呼びたて鳴くも
神奈備かんなびの 山の向かいの かき山 あきはぎづまを さそおして 月夜けるん しいでと 声ひびかして 雄鹿しか鳴いとるよ》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻九・一七六一)
明日あすよひ 逢はざらめやも あしひきの 山彦やまびことよめ 呼びたて鳴くも
今夜こんやにも 逢えるんやろに 山陰やまかげで 声ひびかして 必死ひっし鳴いとる》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻九・一七六二)
                          (明日=一日は日没から始まると考えた)
鹿しかの 心あひおもふ 秋萩の 時雨しぐれの降るに 散らくししも
おす鹿しかの 心の妻の 秋萩が 時雨しぐれたび 散るんはしで》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二〇九四)
ゆふされば 野辺のへの秋萩 うら若み つゆにぞ枯るる 秋待ちかてに
 夕方が 来たら秋萩 若い葉ぁ 露で枯れるで 秋来るまでに》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・二〇九五)



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平成26年 新年ご挨拶

2014年01月01日 | メッセージ
あけまして おめでとう ございます

「万葉歌みじかものがたり」は 昨年末で第八巻の刊行に漕ぎ着けました。
第八巻が 書店店頭に並ぶのは 1月下旬頃でしょうか。
全十巻の余すところ二巻になりました。
原稿は私の手から離れ 構成・印刷・刊行を待つばかりです。

今年は『源氏物語』に取り組もうと思っています。

旧倍のご声援を賜われば光栄です。

ことしもよろしくお願いします。

年賀状を添えての ご挨拶とさせて頂きます。