犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(214)大船に

2013年07月27日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【二月三日】放映分

大船おほぶねに かじしじき この我子あこを 唐国からくにる いはへ神たち
《大船に かじ多数よけ付けて この子をば 唐へつかわす 守らせ給え》
                         ―光明皇后こうみょうこうごう―(巻十九・四二四〇)


【万葉歌みじかものがたり】唐国からくにる》

天平 勝宝三年(751)九月
家持  帰京
 は 遣唐使送りの話題に 湧いていた
  二年九月任命
大使 藤原北家房前ふささきの子 藤原清河ふじわらのきよかわ

春日野かすがので行われた 入唐祈願祭礼】
大船おほぶねに かじしじき この我子あこを 唐国からくにる いはへ神たち
《大船に かじ多数よけ付けて この子をば 唐へつかわす 守らせ給え》
                         ―光明皇后こうみょうこうごう―(巻十九・四二四〇)
春日野かすがのに いつ三諸みもろの 梅の花 きてあり待て かへるまで
春日野かすがので 祭る三諸みむろの 梅花うめはなよ 咲きさかえ待て わし帰るまで》
                         ―藤原清河ふじわらのきよかわ―(巻十九・四二四一)

【藤原仲麻呂邸 入唐使はなむけうたげ
天雲あまくもの かへりなむ ものゆゑに 思ひぞがする 別れ悲しみ
く雲も また湧き戻る そやうに 別れ悲して わししずんどる》
                         ―藤原仲麻呂ふじわらのなかまろ―(巻十九・四二四二)
住吉すみのえに いつはふりが 神言かむごとと 行くともとも 船は早けむ
住吉すみのえの 神のお告げが うてるで きも帰りも 船足軽い》
                         ―丹比土作たじひのはにし―(巻十九・四二四三)
あらたまの 年の長く 我がへる 児らに恋ふべき 月近づきぬ
年月としつきの なごうにわしが いとしんだ 妻との別れ こなって来た》
                         ―藤原清河ふじわらのきよかわ―(巻十九・四二四四)
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 天平五年(733)第九次遣唐使 派遣時の歌】
そらみつ 大和やまとの国 青丹あおによし 平城ならの都ゆ 押し照る 難波なにはくだり 住吉すみのえの 御津みつに船乗り ただ渡り 日の入る国に つかはさゆ 我が背の君を 
大和やまと国 平城ならみや離れ 難波なにわ来て 住吉すみのえ浜で 船に乗り 海を進んで 日ぃ沈む 国へのつかい あんたをば》
けまくの ゆゆしかしこき 住吉すみのえの 我がおほ御神みかみ ふなに うしはいまし 船艫ふなどもに みたちいまして さし寄らむ 磯の崎々 てむ とまりとまりに 荒き風 波にはせず たひらけく て帰りませ もとの国家みかど
霊験れいけんまこと あらたかな 住吉すみのえ神よ 頼みます 船のさきに すわられて 船のともさき お立ちなり 寄る崎々さきざきの いそみなと 荒い波風 わさんと 無事戻してや もとの国まで》
                          ―作者未詳―(巻十九・四二四五)
おきつ波 なみな越しそ 君が船 ぎ帰り来て 津につるまで
おききし どっちの波も 立たんとき 船ぎ帰り 港着くまで》
                          ―作者未詳―(巻十九・四二四六)

天雲あまくもの 退きへのきはみ 我がへる 君に別れむ 日近くなりぬ
《雲の果て 限りしたう 母上に お別れする日 こなりました》
                         ―阿倍老人あべのおきな―(巻十九・四二四七)

これらの歌 越中さかん高安種麻呂たかやすのたねまろの手で 家持に


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■日めくり万葉集Vol・2(213)百済野の

2013年07月24日 | 日めくり万葉集
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【二月二日】放映分

百済野くだらのの 萩の古枝ふるえに 春待つと りしうぐひす 鳴きにけむかも
《百済野の 萩の古枝 止まってた 春待ちどりは もう鳴いたかな》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻八・一四三一)

【万葉歌みじかものがたり】《萩の古枝ふるえに》

春まだ浅い野 梅が蕾膨ほころびを待つ
かすかに 鶯の声
赤人は 思いっていた
(あれは 野枯れた原を 辿たどっていた折であった
  季節はずれの 鶯 
萩の古枝ふるえだに 寒げに 止まってった
あの 枯野のおもむき
なぜか 心にかるものがあった)

百済野くだらのの 萩の古枝ふるえに 春待つと りしうぐひす 鳴きにけむかも
《百済野の 萩の古枝 止まってた 春待ちどりは もう鳴いたかな》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻八・一四三一)

あしひきの 山谷越えて  野づかさに 今は鳴くらむ 鶯の声
 山谷を 越えて野に来て 今頃は 鳴いとるやろか あの鶯は》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻十七・三九一五)

恋しけば 形見にせむと  我がやどに 植ゑし藤波 今咲きにけり
《ほととぎす 偲ぶよすがに 植えといた 庭の藤花 今咲いとるで》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻八・一四七一)

そこ には 
自然 の中に身を置き 
あるがまま を楽しむ 
枯れた 赤人が いた



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■日めくり万葉集Vol・2(212)三諸は

2013年07月20日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
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【二月一日】放映分

みもろは 人のる山 もとは 馬酔木あしび花咲き すゑは 椿花咲く うらぐはし山ぞ 泣く子る山
三諸みもろやま みんな大切だいじと まもる山 ふもと一面 咲き 峰一面に 椿咲く うるわし山や この山は 泣く児あやす みなして守る》
                          ―作者未詳―(巻十三・三二二二)

【万葉歌みじかものがたり】《春さりれば》

 十三に 集めしは
 に大和の 長歌群
中身雑歌ぞうかに 相聞歌そうもんか
問答 挽歌ばんかに 比喩ひゆの歌
 の順序は 種類ごと
並べられてる  国別に

雑歌ぞうかうたうは 山や川 国や湖 海景色けしき
めてあがめて 加護かご祈る 国の栄えは 永久とこしえ
地霊ちれいこのわし 守れよと 旅行く空の 無事祈る
配流ながされ旅は なおつらい 戻り出来るや 地の神よ


先ずの登場 春秋はるあきめで
 は鶯 花咲き誇る
   
冬こもり 春さり来れば あしたには しらつゆ置き ゆふへには かすみ棚引く 風の吹く ぬれしたに 鴬鳴くも
《春たら 朝に白露しらつゆ 草に置き 夕べかすみが 棚引たなびくよ 春風吹いて こずえした 鶯しきり 鳴いとおる》
                          ―作者未詳―(巻十三・三二二一)
   
みもろは 人のる山 もとは 馬酔木あしび花咲き すゑは 椿花咲く うらぐはし山ぞ 泣く子る山
三諸みもろやま みんな大切だいじと まもる山 ふもと一面 咲き 峰一面に 椿咲く うるわし山や この山は 泣く児あやす みなして守る》
                          ―作者未詳―(巻十三・三二二二)
   
秋は黄葉もみじが 山飾り立て
插頭かざしにとて 手折たおりて帰る

かむとけの かをる空の 九月ながつきの 時雨しぐれの降れば 雁がねも いまだ来鳴かぬ 
稲妻いなずまの 鳴るそら雲が 立ちめて 九月の時雨しぐれ 降る時分じぶん 雁はまだ来て 鳴かんけど》
神奈備かむなびの 清き御田屋みたやの かきの 池の堤の ももらず 斎槻いつきの枝に 瑞枝みずえさす 秋の黄葉もみちば
神奈備かんなびやまの ぁ守る 小屋のまわりの 池堤 そこに生えてる つきの木の 伸びた枝々 色づいた》
まき持てる 小鈴もゆらに 手弱女たわやめに 我れはあれども 引きぢて みねもとををに ふさ手折たをり 我は持ちて行く 君がかざしに
《手にした小鈴 揺り鳴らし か弱いうでを 差し伸ばし 枝を引き寄せ 仰山ぎょうさんの 黄葉もみじ折り取り 持ち帰る あの人飾る 插頭かざしにとて》
                          ―作者未詳―(巻十三・三二二三)
 百足らず=百に足らない→五十<い>)
ひとりのみ 見れば恋しみ 神奈備かむなびの 山の黄葉もみちば 手折たをつ君
《なぁあんた 神奈備かんなび黄葉もみじ 独り見て 見せとなったで 手折たおって来たで》
                          ―作者未詳―(巻十三・三二二四)



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■日めくり万葉集Vol・2(211)梅花の

2013年07月17日 | 日めくり万葉集
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平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
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【一月三十一日】放映分

梅の花 いめに語らく 風流みやびたる 花とあれふ 酒に浮べこそ
《梅の花 夢でうたで 酒坏さかづきに 浮かばしてんか わし風流人すきもんや》
                         ―大伴旅人おおとものたびと―(巻五・八五二)

【万葉歌みじかものがたり】 にまじれる》

梅花うめはなうたげ
果てたあとの 心地よい虚脱きょだつ
旅人たびとは みやこを 思いっていた
みやこでも 梅のうたげを 催したことがあった
あの時の友 都での名の知れた医者 吉田宜よしだのよろし
文のり取り うて久しいが
いい 機会じゃ
先日のうたげでの歌 まとめて送ってやろう
わしの歌が 一首だけでは さみしかろう
取り急ぎ 追い歌を さねばなるまい)

残りたる 雪にじれる 梅の花 早くな散りそ 雪はぬとも
《消え残る 雪と一緒に 咲く梅花うめよ 雪消えたかて 散らんとりや》
                         ―大伴旅人おおとものたびと―(巻五・八四九)
雪の色を うばひて咲ける 梅の花 今盛りなり 見む人もがも
《白雪に 負けんと咲いた 梅花を 一緒見る人 らへんやろか》
                         ―大伴旅人おおとものたびと―(巻五・八五〇)
我がやどに 盛りに咲ける  梅の花 散るべくなりぬ 見む人もがも
《庭先に 咲いてる梅は 散りやで 一緒見る人 らへんもんか》
                         ―大伴旅人おおとものたびと―(巻五・八五一)
梅の花 いめに語らく 風流みやびたる 花とあれふ 酒に浮べこそ
《梅の花 夢でうたで 酒坏さかづきに 浮かばしてんか わし風流人すきもんや》
                         ―大伴旅人おおとものたびと―(巻五・八五二)

吉田宜よしだのよろしの返書は ただちのものであった
おくれ居て ながひせずは 御園生みそのふの 梅の花にも ならましものを
うらやんで 梅のうたげを 思うより 旅人あんたの庭の 梅花はななりたいで》
                         ―吉田宜よしだのよろし―(巻五・八六四)
(おうおう うらやましがらせて 仕舞しもうたわい
 それにしても うちの庭の梅になりたいとは これはまた 風流ふうりゅうな)

よろしの文が 旅人に みやこ思いを 深くさせる




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■日めくり万葉集Vol・2(210)年長く

2013年07月13日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
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【一月三十日】放映分
・・・昼はも 嘆かひ暮し よるはも 息衝いきづき明かし 年長く 病みし渡れば つきかさね うれさまよひ 
《夜は溜息 昼嘆き 長患ながわずらいの 続くうち》
ことことは 死ななと思へど 五月蝿さばへなす さわどもを てては しには知らず 見つつあれば 心はえぬ 
《いっそ死のかと おもたけど 餓鬼がきどもって 死なれへん 子供見てると 胸痛む》
かにかくに 思ひわづらひ のみし泣かゆ
《あれこれ思い わずろうて 考えあぐね 泣くばかり》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・八九七)


【万葉歌みじかものがたり】うちかぎりは》
天平 五年(733)
老身ろうしん憶良は やまいとこにあった 数えて七十四

たまきはる うちかぎりは たひらけく 安くもあらむを 事も無く くあらむを よのなかの けくつらけく
《生きてる内は 病気せず 楽に死にたい おもうても 世の中つろて 苦しいわ》
いとのきて 痛ききずには 辛塩からしほそそくちふが如く ますますも 重き馬荷うまにに 表荷うはに打つと いふことのごと 老いにてある が身の上に 病をと 加へてあれば
《塩を生傷なまきず 塗るみたい 追い荷重荷おもにに 積むみたい 老い身に病気やまい 重なって》
昼はも 嘆かひ暮し よるはも 息衝いきづき明かし 年長く 病みし渡れば つきかさね うれさまよひ 
《夜は溜息 昼嘆き 長患ながわずらいの 続くうち》
ことことは 死ななと思へど 五月蝿さばへなす さわどもを てては しには知らず 見つつあれば 心はえぬ 
《いっそ死のかと おもたけど 餓鬼がきどもって 死なれへん 子供見てると 胸痛む》
かにかくに 思ひわづらひ のみし泣かゆ
《あれこれ思い わずろうて 考えあぐね 泣くばかり》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・八九七)
慰むる 心はなしに 雲がくり 鳴き行く鳥の のみし泣かゆ
 安らかな 気持ちなれんで ピイピイと 鳥鳴くみたい 泣き続けとる》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・八九八)
すべも無く 苦しくあれば で走り ななと思へど 児らにさやりぬ
《苦しいて あの世こかと おもうても 子供邪魔して 死ぬこと出来でけん》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・八九九)
富人とみひとの 家の児どもの み くたつらむ きぬ綿わたらはも
《金持ちの 家の子供は ふくを んとか 絹や綿入れ》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・九〇〇)
荒栲あらたへの 布衣ぬのきぬをだに 着せかてに くや嘆かむ むすべを無み
《捨てるよな ボロふくさえも ささんと 嘆いてみても どもならんのや》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・九〇一)
水沫みなわなす もろき命も 栲縄たくなはの 千尋ちひろにもがと 願ひ暮しつ
《泡みたい すぐ消えるよな 命でも 長ごとねごうて 暮らしてるんや》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・九〇二)
倭文手しつたまき 数にもらぬ 身にはれど 千年ちとせにもがと 思ほゆるかも
安物やすもんの 飾りみたいな このわしも せめて長生き おもとるのんや》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・九〇三)
かた すえ 心休まらぬ 憶良がいる



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