犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(120)風をだに

2012年06月30日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【九月十二日】放映分
風をだに 恋ふるはともし 風をだに むとし待たば 何かなげかむ
うらやまし 風と間違まちごて うちなんか 待つ人うて なげかれへんわ》
                    ―鏡王女かがみのおおきみ―(巻四・四八九、巻八・一六〇七)


【万葉歌みじかものがたり】すだれ 動かし》

天智八年(669)中臣鎌足なかとみのかまたり 死去
中大兄皇子なかのおおえのおうじ 天皇おおきみ即位の 翌年であった

大化改新以来の盟友めいゆう
自分のきさき 鏡王女かがみのおおきみを 正妻として下げ渡し
采女うねめ 安見児やすみこを 与えて優遇した
その 死にあたって
最高冠位 大職冠たいしょくかんに任じ
大臣おおおみの位 藤原の姓をさずけた

信頼すべき 相談相手をくし
天皇おおきみは 近江大津宮での 政務に掛かりっきりであった

久しく  お越しはない
額田王ぬかたのおおきみは 張りのない日々を 送っていた
 空は澄み 山は 赤や黄にもみちしている
 みち狩りの お誘いでもあれば 気も晴れように
そう いえば 昔 前触れなしの突然のお越しがあった もしや そんなことも・・・)

君待つと が恋ひれば わがやどの すだれ動かし 秋の風吹く
《あっすだれ 揺れたおもたら 風やんか あんまりうちが 焦がれるよって》
                    ―額田王ぬかたのおおきみ―(巻四・四八八、巻八・一六〇六)

「えっ 風の所為せいと間違えたの 額田王おおきみ

風をだに 恋ふるはともし 風をだに むとし待たば 何かなげかむ
うらやまし 風と間違まちごて うちなんか 待つ人うて なげかれへんわ》
                    ―鏡王女かがみのおおきみ―(巻四・四八九、巻八・一六〇七)
 鎌足公は 亡くなられたもの」
鏡王女かがみのおおきみは 寂しく つぶやく 




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■日めくり万葉集Vol・2(119)沼名川の

2012年06月27日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
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【九月九日】放映分
がはの 底なる玉
  求めて し玉かも
    ひりひて し玉かも
      あたらしき君が ゆらくしも

名川ながわ底の 玉なんや もぐり求めた 玉なんや もぐひろうた 玉なんや (大切だいじ大切だいじの 玉みたい) えなしの きみが けんの見るん くやしいで》
                          ―作者未詳―(巻十三・三二四七)

【万葉歌みじかものがたり】阿胡あごの海の》

お前恋しの 旅寝たびねの空に
ふと見る海人娘子おとめ お前にてる
  
娘子をとめらが 麻笥をけに垂れたる 続麻うみをなす 長門ながとの浦に 朝凪に 満ちる潮の 夕凪に 寄せる波の その潮の いやますますに その波の いやしくしくに 我妹子わぎもこに 恋ひつつれば
長門ながとうら 朝凪どきに 満ちる潮 夕凪時分じぶん 寄せる波 益々ますます満ちる 潮みたい 次々寄せる 波みたい お前がれて やって来た》
阿胡あごの海の 荒磯ありその上に はま摘む 海人あま娘子をとめらが うながせる 領巾ひれも照るがに 手に巻ける 玉もゆららに 白栲しろたへの 袖振る見えつ あひ思ふらしも
《(なんの気なしに ふと見ると)阿胡あご荒磯ありその 岩の上 浜菜はまなんでる 海人あま娘子おとめ くび領巾ひれを 輝照きらつかせ 手に巻く玉を ゆらめかせ こっちこうて 白い袖 振ってん見える 気ぃあるんやな(ようよう見たら 良う似てる  わしのあの児に 良う似とる)》
                          ―作者未詳―(巻十三・三二四三)
                            (娘子らが~績麻なす=麻糸は長い→長門)
阿胡あごの海の 荒磯ありその上の さざれ波 が恋ふらくは やむ時もなし
阿胡あご荒磯ありそ 寄せて来る波 絶え間ない わしのがれも 絶える間ないで》
                          ―作者未詳―(巻十三・三二四四)
   
あがめる君の けゆくくや
月の変若おちみず 取るすべないか 

あまはしも 長くもがも 高山たかやまも 高くもがも 月夜見つくよみの 持てる変若をちみず い取り来て 君にまつりて 変若をちしけんはも
てんける橋 なごうあれ てん登る山 たこうあれ 月の世界の 若水わかみずを って帰って きみに 差し上げわこに 戻らせたいに》
                          ―作者未詳―(巻十三・三二四五)
あめなるや つきの如く が思へる 君がに ゆらくしも
《日や月と 思いあがめる きみが 日に日けるん 見るんくやしで》
                          ―作者未詳―(巻十三・三二四六)
   
がはの 底なる玉 求めて し玉かも ひりひて し玉かも あたらしき君が ゆらくしも
名川ながわ底の 玉なんや もぐり求めた 玉なんや もぐひろうた 玉なんや (大切だいじ大切だいじの 玉みたい) えなしの きみが けんの見るん くやしいで》
                          ―作者未詳―(巻十三・三二四七)



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店頭に並んでいます、購入はこちらからも・・・

2012年06月25日 | メッセージ
平成24年5月25日

「万葉歌みじかものがたり」(発行元:JDC出版)が 
<5月25日>すでに店頭に並んでいます。


配本数が限られていますので 大書店しか 見つけられない虞がありますが
無い場合は 是非とも
店頭で注文
して下さい。
世界中のどの本屋さんからでも 注文が可能です。

また こちらからも 注文できます。

【ネット本屋】
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【セブンネットショッピング】
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【ライブドアブックス】
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【アマゾン】
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よろしくお願いします。



■日めくり万葉集Vol・2(118)真木柱

2012年06月23日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
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【九月八日】放映分
ばしら ほめて造れる 殿とののごと いませはは おめかはりせず
立派ええ柱 しつらえ建てた 屋敷いえみたい かかよ達者で やつれなさんと》
                        ―坂田部首麻呂さかたべのおびとまろ―(巻二十・四三四二)


【万葉歌みじかものがたり】ははとふ花の》

子供皆々 乳離ちばなれできぬ
まして別れた たびの空は
思い途切とぎれず 母親思う
恋し恋しい 恋しでお

畳薦たたみけめ が磯の はなりの ははを離れて 行くが悲しさ
磯 岸を離れた 沖の磯 おぁ離れて 行くのんつらい》
                        ―生部道麻呂みぶべのみちまろ―(巻二十・四三三八)
たらちねの ははを別れて まこと我れ 旅の仮廬かりほに 安くむかも
《なぁおかあ おと別れて わし一人 旅空たびぞら宿り まんじり出来できん》
                        ―日下部三中くさかべのみなか―(巻二十・四三四八)
あもも 玉にもがもや いただきて 角髪みづらの中に あへかまくも
《おっさん 玉やったらな ささげ持ち 角髪みずらの中に 巻き込めるのに》
                        ―津守小黒栖つもりのおぐろす―(巻二十・四三七七)
時々ときどきの 花は咲けども 何すれぞ ははとふ花の 咲き出来でこずけむ
時期じき時期じきに 花咲くのんに なんでまた おぁいう名の 花咲かんのや》
                        ―丈部真麻呂はせべのままろ―(巻二十・四三二三)
我がははの 袖もちでて 我がからに 泣きし心を 忘らえぬかも
《おっぁが 袖で頭を でてくれ 泣いてくれたん 忘れられんわ》
                        ―物部乎刀良もののべのおとら―(巻二十・四三五六)
我がかづの 五本いつもとやなぎ 何時いつ何時いつも おもが恋すす なりましつしも
《この今も わし気にけて おっぁが 畑で仕事 しとるんやろか》
                        ―矢作部真長やはぎべのまなが―(巻二十・四三八六)
ばしら ほめて造れる 殿とののごと いませはは おめかはりせず
立派ええ柱 しつらえ建てた 屋敷いえみたい かかよ達者で やつれなさんと》
                        ―坂田部首麻呂さかたべのおびとまろ―(巻二十・四三四二)
天地あめつしの いづれの神を 祈らばか うつくははに またことはむ
天地あめつちの どの神さんを 拝んだら いとしいかかに また逢えるんか》
                        ―大伴部麻与佐おおともべのまよさ―(巻二十・四三九二)

 の無い子は 父親思う
まして 老いたる 父親ならば

橘の 美袁利みをりの里に ちちを置きて 道の長道ながては 行きかてぬかも
たちばなの 美袁利みおりの里に とと置いて 行くんつらいで 道長々と》
                        ―丈部足麻呂はせべのたりまろ―(巻二十・四三四一)



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■日めくり万葉集Vol・2(117)うらぶれて

2012年06月20日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
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【九月七日】放映分
うらぶれて 物は思はじ 水無瀬川みなせがは ありても水は 行くといふものを
《しょぼくれて しずまんとくわ 水無瀬川みなせがわ 水はかくれて 流れておるで》
                          ―作者未詳―(巻十一・二八一七)


【万葉歌みじかものがたり】《荒ぶるいもに》

相手こての 問答もんどう歌は
気心きこころ知れた 者同士どし交わす
たわむれ歌に 見えてはいても
きの つばいか

 問答】
かくだにも いもを待ちなむ さけて し月の かたぶくまで
《こんなにも お前待ってて けた 出た月とうと 西沈むがな》
                          ―作者未詳―(巻十一・二八二〇)
より 移ろふ月の 影をしみ 立ちもとほるに さけにけり
あいだ うつつきて ひかりに めぐとって よるけて仕舞た》
                          ―作者未詳―(巻十一・二八二一)
(待ちけさすん 常時いっつもやんか
 そやかて月が 綺麗きれやったもん)

 問答】
うらぶれて 物な思ひそ 天雲あまくもの たゆたふ心 が思はなくに
《しょぼくれて おもしずみな くもみたい うわつきごころ わしてないで》
                          ―作者未詳―(巻十一・二八一六)
うらぶれて 物は思はじ 水無瀬川みなせがは ありても水は 行くといふものを
《しょぼくれて しずまんとくわ 水無瀬川みなせがわ 水はかくれて 流れておるで》
                          ―作者未詳―(巻十一・二八一七)
 離れてたけど 浮気やないで
 戻って 来てや 待ってるよって)

 問答】
おとのみを 聞きてや恋ひむ 真澄鏡まそかがみ 直目ただめに逢ひて 恋ひまくもいたく
《噂だけ 聞きがれてよ うたなら もっとがれて つろなるよって》
                         ―作者未詳―(巻十一・二八一〇)
このことを 聞かむとならし 真澄鏡まそかがみ 照れる月夜つくよも やみのみに見つ
《そううか やったんやな なんやしら つきってるに 滅入めいったん》
                          ―作者未詳―(巻十一・二八一一)
(逢いたちゃう つらいんや
  そんなん言うて 嘘決まってる)
  
 問答】
栲領巾たくひれの 白浜しらはまなみの 寄りもあへず 荒ぶるいもに 恋ひつつぞ
邪険じゃけんして 寄りつかせんで つんつんの そんなお前に わしれとんや》
                          ―作者未詳―(巻十一・二八二二)
かへらまに 君こそ我れに 栲領巾たくひれの 白浜しらはまなみの 寄る時もなき
《何うん あんた勝手に 避けとって うちの所為せいして 寄りつきせんと》
                          ―作者未詳―(巻十一・二八二三)
 お前きついぞ 惚れてんやのに
  嘘つきないな 避けてるくせに)



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■日めくり万葉集Vol・2(116)布勢の海

2012年06月16日 | 日めくり万葉集
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【九月六日】放映分
布勢ふせの海の おきつ白波 ありがよひ いや毎年としのはに 見つつしのはむ
布勢ふせの海 おきの白波 寄せるに ここへ毎年 また見にうや》
                        ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十七・三九九二)
          

【万葉歌みじかものがたり】《いや毎年としのはに》

東 松田江浜を隔てて ありの海
 と西を 低く伸びる丘陵が 囲み
南 二上山ふたがみやまの山すそを見る 一帯
そこ は 波静かな 湖水の広がり 
水鳥浮かび かづ
霍公鳥ほととぎす鳴き飛ぶ 水海みずうみ
風光 この上なしの 布勢ふせの水海みずうみ
岸々 に 藤波
官人 たち 格好の遊覧地

家持  
気心知れた友引き連れ 遊びうたげする

物部もののふの 八十やそともの 思ふどち 心らむと 馬めて 
《おつかえの 仲間同士で 打ちそろい 楽しみ求め 馬並べ》 
うちくちぶりの 白波の 荒磯ありそに寄する 渋谿しぶたにの さきもとほり 松田江の 長浜過ぎて 
《白波寄せる 荒磯あらいその 渋谿しぶたに崎を 行きめぐり 松田江浜を 後にして》 
宇奈比うなひ川 清き瀬ごとに 鵜川うかは立ち かきかくき 見つれども そこもかにと 
宇奈比うなひの川の 清い瀬で いしながら あちこちと 見て来たけども まだりん》
布勢ふせの海に 船ゑて おきぎ ぎ見れば 
布勢ふせ水海みずうみ 船浮かべ おき岸辺きしべを 漕ぎ見ると》
なぎさには あぢむらさわき 島廻しままには 木末こぬれ花咲き 許多ここばくも 見のさやけきか 
なぎさあじがも 群れさわぎ 島のこずえに 花が咲き 見事な景色 目にうつる》
玉櫛笥たまくしげ 二上山ふたがみやまに つたの 行きは別れず ありがよひ いや毎年としのはに 思ふどち かくし遊ばむ 今も見るごと
二上山ふたがみやまの つたに ずっと一緒に 連れうて 友と毎年 来ると仕様しょう また来て遊ぼ 今日みたい》
                        ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十七・三九九一)

布勢ふせの海の おきつ白波 ありがよひ いや毎年としのはに 見つつしのはむ
布勢ふせの海 おきの白波 寄せるに ここへ毎年 また見にうや》
                        ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十七・三九九二)
                                 【四月二十四日】

遊覧の感懐かんかいを すぐさまの歌に結んだ 家持
池主の こころえや如何いかにと 歌を




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■日めくり万葉集Vol・2(115)伊香保ろの

2012年06月13日 | 日めくり万葉集
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【九月五日】放映分

伊香保いかほろの 八尺やさか堰塞ゐでに 立つのじの あらはろまでも さをさてば

【万葉歌みじかものがたり】八尺やさか堰塞ゐでに》

激しい恋は  火花散る
        抱きに抱いても  尽きはせん

東男あずまおとこに あずまの女
 の炎に 火がつきゃ激し
共寝ともねしとうて あの児の許へ
共寝 するため あんたを待つよ

空も飛んでく かどわかせ言い
春から秋まで 共寝たいと言うよ
挙句の果てに まだ共寝らんと
負けてなるかよ 恋敵こいかたきめが

しも 安蘇あその川原よ 石まず 空ゆとぬよ が心
いとうて の川原の 空の上 わし飛んで来た お前どやねん》
                           ―東 歌―(巻十四・三四二五)
足柄の 可鶏山かけやまの かづの木の かづさねも かづさかずとも
可鶏山かけやまの カズの木ちゃうが うちのこと かどわかしてや 門めてても》
                           ―東 歌―(巻十四・三四三二)
奥山の 真木まき板戸いたどを とどとして 我が開かむに 入りさね
《奥山の 丈夫な木の戸 ごとごとと うち開けるから はいり早よ共寝よ》
                           ―東 歌―(巻十四・三四六七)
伊香保いかほろの 八尺やさか堰塞ゐでに 立つのじの あらはろまでも さをさてば
《伊香保ある せきに立つ虹 くっきりや 表立つほど 寝続けたいで》
                           ―東 歌―(巻十四・三四一四)
子持山こもちやま 若鶏冠木わかかへるでの 黄葉もみつまで もとふ あど
かえでの葉 若葉黄葉いろづき するまでも ずっと共寝てたい どないやお前》
                           ―東 歌―(巻十四・三四九四)
かみ 安蘇あそ真麻群まそむら かきむだき 寝れど飽かぬを あどがせむ
麻束あさたばを かかえるように お前抱き 寝たけど足らん どしたらんや》
                           ―東 歌―(巻十四・三四〇四)
高麗錦こまにしき 紐解きけて るがに ろとかも あやにかなしき
綺麗きれえ帯 いて共寝といて その上に どないんや この可愛かわい児は》
                           ―東 歌―(巻十四・三四六五)
かないもを 弓束ゆづかべ巻き 如己男もころをの こととし言はば いや片増かたましに
《お前抱き 恋敵やつと変わらん うんなら もっと抱き締め ちからしたる》
                           ―東 歌―(巻十四・三四八六)



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■日めくり万葉集Vol・2(114)佐保川の

2012年06月09日 | 日めくり万葉集
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【九月二日】放映分
佐保川さほがはの 小石踏み渡り ぬばたまの 黒馬くろま来る夜は 年にもあらぬか
佐保川さほ渡り あんた黒馬うま乗り 来るのんは 年一度でも うち嬉しいで》
                       ―大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめ―(巻四・五二五)

【万葉歌みじかものがたり】黒馬 来る夜は》

坂上郎女いらつめ 眼が輝いている
(あの 当世とうせい一の美男 麻呂さま
  いま 権勢の不比等様 四男
  どこで 私の名なぞ
 たわむれかしら
  私も 大伴家も 捨てたものでは ないのね)

むしぶすま なごやが下に せれども 妹とし寝ねば 肌し寒しも
あったかな 布団で寝ても 肌寒い お前一緒に 寝とらんからや》
                           ―藤原麻呂ふじわらのまろ―(巻四・五二四)
よく渡る 人は年にも ありといふを 何時いつの間にぞも が恋ひにける
辛抱しんぼして 一年逢えん 彦星ひと居るに 辛抱の出来できん 恋して仕舞しもた》
                           ―藤原麻呂ふじわらのまろ―(巻四・五二三)

小躍こおどりの郎女いらつめ 隠せぬ喜びを 歌にする

佐保川さほがはの 小石踏み渡り ぬばたまの 黒馬くろま来る夜は 年にもあらぬか
佐保川さほ渡り あんた黒馬うま乗り 来るのんは 年一度でも うち嬉しいで》
                       ―大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめ―(巻四・五二五)
千鳥鳴く 佐保の川門かはとの 瀬を広み 打橋渡す と思へば
 千鳥鳴く 佐保の川の瀬 広いんで あんた来るなら うち橋架ける》
                       ―大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめ―(巻四・五二八)

逢瀬おうせ重なり 郎女の いぶかごころ 本気ごころ

千鳥鳴く 佐保の川瀬かはせの さざれ波 む時もなし が恋ふらくは
《千鳥鳴く 佐保の川瀬の 細波なみみたい 寄せる思いが うち止まらんわ》 
                       ―大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめ―(巻四・五二六)
娘子をとめらが 玉櫛笥くしげなる 玉櫛の 神さびけむも 妹に逢はずあれば
《値打ちある 櫛箱みたい 上等な 人間ひとなって仕舞う 逢わへんだなら》
                           ―藤原麻呂ふじわらのまろ―(巻四・五二二)
佐保さほかわの 岸のつかさの 柴な刈りそね
 ありつつも 春しきたらば 立ちかくるがね
 佐保川の 土手に生えてる 草刈らんとき
  そしたなら 春来たときに 隠れて逢える》
                       ―大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめ―(巻四・五二九)
でてなむ 時しはあらむを 殊更ことさらに 妻恋つまごひしつつ 立ちてぬべしや
《帰りしな 言うことちゃうで 奥さんが 恋しなったて て戻るやて》
                       ―大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめ―(巻四・五八五)
 あんなことを おっしゃって
 冗談だわ  冗談に違いない
 私を かまっているのね
 これも  愛情の裏返し
 ・・・ きっと)



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■日めくり万葉集Vol・2(113)秋風は

2012年06月06日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【九月一日】放映分

秋風は 涼しくなりぬ 馬めて いざ野に行かな 萩の花見に
《秋の風 涼しに吹くで 馬つらね さあ野に行こや はぎはな見ぃに》
                           ―作者未詳―(巻十・二一〇三)

【万葉歌みじかものがたり】《しゑやあたらし》

 花(萩)】
 吹く風が 秋呼び来ると
おどって 落ち着き出
伸びた花枝 穂先が赤紫あか
すぐそこ来てる あきはぎ季節

我がやどの 萩のうれ長し 秋風の 吹きなむ時に 咲かむと思ひて
《庭先の はぎが枝先 伸ばしてる 秋風かぜ吹く時に こ思て》
                           ―作者未詳―(巻十・二一〇九)
  
が待ちし 秋はたりぬ しかれども 萩の花ぞも いまだ咲かずける
《待ち兼ねた 秋来たのんに なんでやろ 萩花はな一向いっこうに 咲きよらんがな》
                           ―作者未詳―(巻十・二一二三)
  
娘子をとめらに ひの早稲わせを 刈る時に なりにけらしも 萩の花咲く
《夏秋の 行き会う時分 刈る早稲わせの 時期が来たがな 秋萩あきはぎ咲くで》
                           ―作者未詳―(巻十・二一一七)
                           (娘子らに=逢いに行く→行き逢う)

このゆふへ 秋風吹きぬ 白露に 争ふ萩の 明日あす咲かむ見む
秋風かぜ吹いた 白露つゆが咲かせる はぎの花 明日あした咲くやろ 見に行こかいな》
                           ―作者未詳―(巻十・二一〇二)
  
秋風は 涼しくなりぬ 馬めて いざ野に行かな 萩の花見に
《秋の風 涼しに吹くで 馬つらね さあ野に行こや はぎはな見ぃに》
                           ―作者未詳―(巻十・二一〇三)
  
手もすまに 植ゑしもしるく で見れば やどの初萩はつはぎ 咲きにけるかも
丹精たんせして 植えた成果かいやで 庭出たら 家の初萩はつはぎ 咲いとおるがな》
                           ―作者未詳―(巻十・二一一三)

恋しくは 形見にせよと 我が背子せこが 植ゑし秋萩あきはぎ 花咲きにけり
《恋し時 しのよすがと あの人が 植えた秋萩あきはぎ 綺麗きれえ咲いてる》
                           ―作者未詳―(巻十・二一一九)
  
見まくり が待ち恋ひし 秋萩は 枝もしみみに 花咲きにけり
《見てみとて 待ちがれてた 秋萩あきはぎは 枝う枝に 咲きちとるで》
                           ―作者未詳―(巻十・二一二四)



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■日めくり万葉集Vol・2(112)珠洲の海に

2012年06月02日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【八月三十一日】放映分
珠洲すすの海に 朝びらきして ぎ来れば 長浜のうらに 月照りにけり
《朝珠洲すずを 船出ふなで日中ひなか ぎ続け 長浜来たら え月出てる》
                        ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十七・四〇二九)

【万葉歌みじかものがたり】 びらきして》

雪深いこし
待ち に待った春の訪れ
わたくし鬱々うつうつは知らず おおやけ任務は やってくる
家持は 春の稲の出挙すいこに出る
官による いねもみの貸付だ
役目 の果しと共に 春景色が楽しい

雄神川をかみがは くれなゐにほふ 娘子をとめらし 葦附あしつきると 瀬に立たすらし
雄神川おかみがわ あこえさして 娘子おとめらが 海苔のり採ろおもて 川瀬立ってる》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十七・四〇二一)
鵜坂川うさかがは 渡る瀬多み このうまの 足掻あがききの水に きぬれにけり
鵜坂川うさかがわ 渡る瀬数せかずが いよって 馬ね水で ふく濡れて仕舞た》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十七・四〇二二)
婦負川めひがはの 早き瀬ごとに かがりさし 八十伴やそともは 鵜川うかは立ちけり
婦負川めひがわの 早瀬早瀬で かがりき 土地の役人 鵜飼いしとるで》
                        ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十七・四〇二三)
立山たちやまの 雪しらしも 延槻はひつきの 川の渡瀬わたりぜ あぶみかすも
立山やまの雪 解流ながれ来たんか 馬あぶみ かって仕舞たで 早月瀬ぇで》
                        ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十七・四〇二四)

越中 巡行終えた家持 能登へと向かう
越中とは違ったくに情緒じょうちょが また嬉しい

志雄路しをぢから ただ越え来れば 羽咋はくひの海 あさなぎしたり ふねかぢもがも
志雄しお街道みちを 越えたらパッと 羽咋はくい海 朝ぎしてる ふねしたいな》
                        ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十七・四〇二五)
鳥総とぶさ立て 船木ふなぎるといふ 能登の島山
今日けふ見れば 木立こだちしげしも 幾代いくよかむびそ
《船にする え木出すう 能登島の山
  やっぱりな 山繁ってて 神秘的やで》
                        ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十七・四〇二六)
香島かしまより 熊来くまきを指して ぐ船の かぢ取るなく みやこし思ほゆ
《香島出て 熊来くまきぐ梶 休みなし 都おもうも 休む間ないわ》
                        ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十七・四〇二七)
妹にはず 久しくなりぬ 饒石川にぎしがは 清き瀬ごとに 水占みなうらへてな
《置いてきた 大嬢おまえどしてる うらなおか 綺麗きれえな水の 饒石にぎしの川で》
                        ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十七・四〇二八)
珠洲すすの海に 朝びらきして ぎ来れば 長浜のうらに 月照りにけり
《朝珠洲すずを 船出ふなで日中ひなか ぎ続け 長浜来たら え月出てる》
                        ―大伴家持おおとものやかもち―(巻十七・四〇二九)

任務 合間の折々 思いは 都 そして 妻



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