NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。
【三月十二日】放映分
世の中は 空しきものと 知る時しいよよますます 悲しかりけり
《人の世は 空っぽなんや 知らされた 思うてたより ずっと悲しで》
―大伴旅人―(巻五・七九三)
【万葉歌みじかものがたり】《空しきものと》
日は とっぷりと暮れていた
旅人館の門を潜る人がいる
筑前国府からはそう遠くない
遅すぎた弔問だ
悲しみに打ちひしがれる旅人
その額に 縦皺が寄る
(喰えん男が 今頃に・・・)
大君の 遠の朝廷と しらぬひ 筑紫の国に 泣く子なす 慕ひ来まして 息だにも いまだ休めず 年月も いまだあらねば 心ゆも 思はぬ間に うち摩き 臥しぬれ
《都離れて遠い 筑紫へと 子供みたいに 付いて来て 一息吐く間 無いままで そんな月日も 経たんのに 思いも寄らん ことなった》
言はむ術 為む術知らに 石木をも 問ひ放け知らず 家ならば 形はあらむを うらめしき 妹の命の 我れをばも 如何にせよとか 鳰鳥の 二人並び居 語らひし 心背きて 家離りいます
《どしたら良えか 分からへん 応答えよらへん 石や木も 奈良に居ったら こんなこと ならんかったに なぁお前 どない為言んや このわしに 二人仲良う 暮らそやと 言うてたお前 もう居らん》
―山上憶良―(巻五・七九四)
家に行きて 如何にか我がせむ 枕づく 妻屋さぶしく 思ほゆべしも
《家帰り どしたら良んや このわしは 寝床見たかて 寂しいだけや》
愛しきよし かくのみからに 慕ひ来し 妹が心の 術もすべなさ
《可愛らしに あんな屡々 甘え来た そんな気持に 応えられんで》
悔しかも かく知らませば青丹よし 国内ことごと 見せましものを
《悔しいな こんなことなら 眺め良え 筑紫国中 見せたったのに》
妹が見し 楝の花は 散りぬべし 我が泣く涙 いまだ干なくに
《栴檀の 花散りそうや 思い出の 縁無うなる 癒えもせんのに》
大野山 霧立ち渡る 我が嘆く 息嘯の風に 霧立ちわたる
《大野山 霧立ってるで わし嘆く 溜息溜まり 霧なったんや》
―山上憶良―(巻五・七九五~七九九)
(形の弔問多い中
わしと心を同じうすべくの歌作りを・・・)
「憶良殿・・・」
差し出す手に 旅人の歌
世の中は 空しきものと 知る時しいよよますます 悲しかりけり
《人の世は 空っぽなんや 知らされた 思うてたより ずっと悲しで》
―大伴旅人―(巻五・七九三)
無言で 頷く 憶良
老境の二人の眼に 乾ききらぬ涙が
――――――――――――――――――――
【古事記ものがたり】への誘い
古事記編纂1300年を期し 一大叙事詩を作ってみました
こちらを ご覧下さい。
【古事記ものがたり】へ
【万葉歌みじか物語】はこちら
<万葉歌みじかものがたり>へ
■リンク先
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
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【三月十二日】放映分
世の中は 空しきものと 知る時しいよよますます 悲しかりけり
《人の世は 空っぽなんや 知らされた 思うてたより ずっと悲しで》
―大伴旅人―(巻五・七九三)
【万葉歌みじかものがたり】《空しきものと》
日は とっぷりと暮れていた
旅人館の門を潜る人がいる
筑前国府からはそう遠くない
遅すぎた弔問だ
悲しみに打ちひしがれる旅人
その額に 縦皺が寄る
(喰えん男が 今頃に・・・)
大君の 遠の朝廷と しらぬひ 筑紫の国に 泣く子なす 慕ひ来まして 息だにも いまだ休めず 年月も いまだあらねば 心ゆも 思はぬ間に うち摩き 臥しぬれ
《都離れて遠い 筑紫へと 子供みたいに 付いて来て 一息吐く間 無いままで そんな月日も 経たんのに 思いも寄らん ことなった》
言はむ術 為む術知らに 石木をも 問ひ放け知らず 家ならば 形はあらむを うらめしき 妹の命の 我れをばも 如何にせよとか 鳰鳥の 二人並び居 語らひし 心背きて 家離りいます
《どしたら良えか 分からへん 応答えよらへん 石や木も 奈良に居ったら こんなこと ならんかったに なぁお前 どない為言んや このわしに 二人仲良う 暮らそやと 言うてたお前 もう居らん》
―山上憶良―(巻五・七九四)
家に行きて 如何にか我がせむ 枕づく 妻屋さぶしく 思ほゆべしも
《家帰り どしたら良んや このわしは 寝床見たかて 寂しいだけや》
愛しきよし かくのみからに 慕ひ来し 妹が心の 術もすべなさ
《可愛らしに あんな屡々 甘え来た そんな気持に 応えられんで》
悔しかも かく知らませば青丹よし 国内ことごと 見せましものを
《悔しいな こんなことなら 眺め良え 筑紫国中 見せたったのに》
妹が見し 楝の花は 散りぬべし 我が泣く涙 いまだ干なくに
《栴檀の 花散りそうや 思い出の 縁無うなる 癒えもせんのに》
大野山 霧立ち渡る 我が嘆く 息嘯の風に 霧立ちわたる
《大野山 霧立ってるで わし嘆く 溜息溜まり 霧なったんや》
―山上憶良―(巻五・七九五~七九九)
(形の弔問多い中
わしと心を同じうすべくの歌作りを・・・)
「憶良殿・・・」
差し出す手に 旅人の歌
世の中は 空しきものと 知る時しいよよますます 悲しかりけり
《人の世は 空っぽなんや 知らされた 思うてたより ずっと悲しで》
―大伴旅人―(巻五・七九三)
無言で 頷く 憶良
老境の二人の眼に 乾ききらぬ涙が
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【古事記ものがたり】への誘い
古事記編纂1300年を期し 一大叙事詩を作ってみました
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