犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(128)道の辺の

2012年07月28日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【九月二十二日】放映分
道のの いちしの花の いちしろく 人皆知りぬ 恋妻こひづま
《恋しとて わし隠してた あの児やに はっきり皆に 知られて仕舞しもた》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四八〇)


【万葉歌みじかものがたり】恋忘れ 草》

生える 草花 身近の仲間
たくす心は 普段着ままよ
 の玉藻に あの児を重ね
黒髪 偲び 独り寝思う

我が背子に が恋ひれば 我がやどの 草さへ思ひ うらぶれにけり
《恋焦がれ うちがしょんぼり してたなら 草もしおれて しょんぼりしてる》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四六五)
道のの 草深くさふか百合ゆりの ゆりもと言ふ 妹が命を 我れ知らめやも
百合ゆりはなの あとあとでと うお前 お前の寿命じゅみょう わし分らんが》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四六七)
                                         (百合→ゆりも)
みなとあしに じれる草の しりくさの 人皆知りぬ 下思したもひは
あしじり えるしりくさ 知られたで まわみんなに 心おもいを》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四六八)
                                         (知草→知りぬ)
我がやどの のきのしだ草 ひたれど こひわすぐさ 見れどいまだ生ひず
《うちのいえ 軒のしだ草 えとるが 恋忘れ草 えとらんがな》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四七五)
つ田には ひえ数多あまたに ありといへどえらえし我れぞ を一人
田圃たんぼには ひえ仰山ぎょうさん えとるが 間引まびかれたわし るん独りや》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四七六)
あきかしは 潤和うるわ川辺かはへの 小竹しのの芽の 他人ひとには忍び 君にへなくに
《うちの恋 他人ひとに知れん 出来るけど あんたを見たら もうたまらんわ》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四七八)
                                          (小竹→忍び)
道のの いちしの花の いちしろく 人皆知りぬ 恋妻こひづま
《恋しとて わし隠してた あの児やに はっきり皆に 知られて仕舞しもた》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四八〇)
                                      (いちし→いちしろく)
山ぢさの 白露重み うらぶれて心も深く が恋まず
《山ぢさが 露がおもうて しおれてる わしもしおれて 焦がれがまん》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四六九)
水底みなそこに ふる玉藻の うちなびき 心は寄りて 恋ふるこのころ
玉藻なびく みたいあんたに 心寄り 恋し思うで この頃うちは》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四八二)
敷栲しきたへの 衣手ころもでれて 玉藻なす 靡きからむ を待ちかてに
《袖わし 出けんで黒髪かみを なびかせて 独り寝てるか わし待ち兼ねて》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四八三)



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■日めくり万葉集Vol・2(127)たらちねの

2012年07月25日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
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【九月二十一日】放映分

垂乳根たらちねの 母がの 繭隠まよこもり こもれる妹を 見むよしもがも
《母がう かいこまゆに こもりする 籠りする児に どしたら逢える》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四九五)


【万葉歌みじかものがたり】《母がの》

 の行い 題材豊か
かいこ飼うまゆ 髪結う木綿もめん
隼人はやと叫びに 占い言葉
かじ 砂 道と 歌続き行く

垂乳根たらちねの 母がの 繭隠まよこもり こもれる妹を 見むよしもがも
《母がう かいこまゆに こもりする 籠りする児に どしたら逢える》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四九五)
肥人こまひとの ぬかがみへる しめ木綿ゆふの みにし心 我れ忘れめや
肥人こまひとの 前髪すぶ そめ木綿もめん あんたにみた 心忘れん》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四九六)
隼人はやひとの 名に夜声よごゑ いちしろく
我が名はりつ 妻とたのませ
隼人はやひとが 出す声みたい はっきりと うち名うたで 奥さんしてや》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四九七)
言霊ことたまの 八十やそちまたに 夕占ゆふけひ うらまさる いもは相寄らむ
《夕暮れに ちまたの道で うらのたら ちゃんと出たんや あの児なびくて》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二五〇六)
玉桙たまほこの 道行きうらに 占なへば 妹に逢はむと 我れにりつも
《道筋の 占い使こて うらのたら あの児逢えるて 聞いたでわしは》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二五〇七)
大船おほふねに かぢしじき 漕ぐほとも ここだ恋ふるを 年にあらば如何いか
《大船の かじ漕ぐぁも 恋しのに 一年逢わん そんなん無茶や》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二四九四)
とききぬの 恋ひ乱れつつ 浮き真砂まなご 生きても我れは あり渡るかも
《恋まどい 心乱れて 浮き砂の ふわふわとうち 日ィ過ごしてる》
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十一・二五〇四)
新墾にひばりの 今作る道 さやかにも 聞きてけるかも いもうへのことを
新開しんかいの あたらし道や はっきりと 聞いた聞いたで あの児の評判うわさ
                      ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十二・二八五五)



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■日めくり万葉集Vol・2(126)しぐれの雨

2012年07月21日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
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【九月二十日】放映分

時雨しぐれの雨 なくな降りそ くれなゐに にほへる山の 散らまくしも
時雨しぐれ雨 そんなしっぽり 降りないな あか黄葉もみじの 散るのんしで》
                           ―作者未詳―(巻八・一五九四)

【万葉歌みじかものがたり】今日けふ降る雨に》

騒ぎふざける うたげがあれば
 深い 集いもあるぞ

安貴王あきおうの 誕生祝賀いわい
息子市原王いちはら 寿ことほぎ詠う
市原王いちはら叔父の 湯原王ゆはらのおう
大刀たち舞踊り 賀の歌添える

春草は のちは移ろふ いはほなす 常磐ときはにいませ たふとが君
《春草は 若々しけど 枯れて仕舞う 岩でってや 父君ちちぎみ様よ》
                          ―市原王いちはらのおおきみ―(巻六・九八八)
やき大刀たちの かど打ちはなち 大夫ますらをの 寿とよ御酒みきに 我れひにけり
大刀たち振って しのぎ打ち付け いのりした 祝いの酒に わしうて仕舞た》
                          ―湯原王ゆはらのおおきみ―(巻六・九八九)

明日香豊浦よゆらの 尼寺集い
行く秋思い 萩花はぎはな偲ぶ

明日香川 行きる岡の 秋萩は 今日けふ降る雨に 散りか過ぎなむ
《明日香川 めぐ岡辺おかべの 秋萩は ってる雨で 散るのんやろか》
                          ―丹比国人たじひのくにひと―(巻八・一五五七)
うづら鳴く りにし里の 秋萩を おもふ人どち 相見あひみつるかも
《この古い 昔の里の 秋萩を 心の友と ながめたんやで》
                          ―沙弥尼さみに―(巻八・一五五八)
秋萩は さかり過ぐるを いたづらに 插頭かざしにさず 帰りなむとや
《秋萩は 盛り短い そやうに しもせんと 帰るて言うか》
                          ―沙弥尼さみに―(巻八・一五五九)

歌舞かぶ音曲おんぎょくを つかさどる おうや役人 集い来て
暮れのこの日を 楽しもと 葛井ふじい広成ひろなり 辞を述べる
近時きんじ思うに 古舞盛ん 年もふるなり 暮れんとす
そこでいにしえ 偲びつつ 古歌を皆して 唱うべし
ここに二つの古い歌 わしが披露に 及ぶゆえ
集う風雅ふうがの 皆々は 一念発起ほっき 唱うべし」

我がやどの 梅咲きたりと らば と言ふに似たり 散りぬともよし
うちの庭 梅咲いたでと たら やな 散ってもえか》
                           ―作者未詳―(巻六・一〇一一)
春されば ををりにををり うぐひすの 鳴く我が山斎しまぞ まずかよはせ
《春来たら 梅咲きほこり 鶯も 鳴く庭やから どうぞおしを》
                           ―作者未詳―(巻六・一〇一二)

天平十一年(739)十月 光明皇后宮にて維摩ゆいま
大唐・高麗こま音曲おんぎょくかなで この歌唱う 
琴弾き 市原王いちはらおう 忍坂王おさかおう
歌人うたびと 田口家守たぐちやかもり 河辺東人かわべあずまひと 置始長谷おきそめはつせら十数人

時雨しぐれの雨 なくな降りそ くれなゐに にほへる山の 散らまくしも
時雨しぐれ雨 そんなしっぽり 降りないな あか黄葉もみじの 散るのんしで》
                           ―作者未詳―(巻八・一五九四)



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■日めくり万葉集Vol・2(125)年の経ば

2012年07月18日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
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【九月十九日】放映分
年のば 見つつしのへと 妹が言ひし ころも縫目ぬひめ 見れば悲しも
後々あとあとで 見て偲んでと あの児た ふくい目を 見たら泣けるで》【衣に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九六七)

【万葉歌みじかものがたり】《母しらすも》

滑稽こっけい ひも見て当たる
りきんでみても あぶれて嘆く
怒鳴どなられ男 言い訳男
果てはしんみり 思慕しぼする男
  
針はあれど 妹しなければ 付けめやと 我れを悩まし ゆるひも
《針だけで あの児らんと 縫えんやろ うて悩ます この切れ紐め》【針に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九八二)
   
梓弓あづさゆみ 引きてゆるへぬ 大夫ますらをや 恋といふものを しのびかねてむ
ゆるまへん 心を持った 男やに 恋につかまり えられへんで》【弓に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九八七)
   
水を多み 上田あげたたねき ひえを多み らえしわざぞ がひとり
《上の田に 種をいたが ひえおおて 間引まびあぶれ わし独り寝や》【田に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九九九)
                                    (歌垣であぶれた男の歌?)
  
馬柵うませしに むぎこまの らゆれど なほし恋しく 思ひかねつも
始終しょっちゅうに お前のおに 怒鳴どなられる けど恋しいて 思い切れんで》【馬に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇九六)
                             (馬柵~駒の=馬は始終しょっちゅう怒鳴られる)
  
たまへば あひるものを 小山田をやまだの 鹿猪ししるごと 母しらすも
《気うて 共寝られるうに 山の田を 鹿猪しし見張るに おんがばんや》【田に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・三〇〇〇)
   
みなとりの あし小舟をぶね さわり多み 今む我れを よどむと思ふな
邪魔じゃまあし け行く舟や 邪魔じゃまおおて 今出るとこや 躊躇ためらちゃうで》【舟に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九九八)
   
みなとりに あし小舟をぶね さわり多み 君に逢はずて 年ぞにける
邪魔じゃまあし け行く舟や 邪魔じゃまおおて あんたえんで 年月った》【舟に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九九八 或る本)
   
年のば 見つつしのへと 妹が言ひし ころも縫目ぬひめ 見れば悲しも
後々あとあとで 見て偲んでと あの児た ふくい目を 見たら泣けるで》【衣に寄せて】
                          ―作者未詳―(巻十二・二九六七)
                              (生き別れ?死に別れ?)



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■日めくり万葉集Vol・2(124)ひさかたの

2012年07月14日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
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【九月十六日】放映分
ひさかたの 雨も降らぬか 蓮葉はちすばに まれる水の 玉に似たる見む
《空からの 雨降らんかな はすの葉に 結ぶ水玉みずたま 真珠たまやと見たい》
                        ―作者未詳―(巻十六・三八三七)

【万葉歌みじかものがたり】たふにな寄りそ》

次々に出される 歌題うただい
間髪かんぱつ入れずの 意吉麻呂歌作り

(次は 行縢むかばき 青菜あおな 食薦すごも はり じゃ)
食薦すごも敷き 青菜む うつはりに むかばきけて 休むこの君
食薦すごも敷き 青菜あおな煮るんで はり上に 行縢むかばき懸けて お待ちのほどを》
                       ―長意吉麻呂ながのおきまろ―(巻十六・三八二五)

(さあさ お次は 膳上ぜんうえ蓮葉はちすばと行こう)
蓮葉はちすばは かくこそあるもの 意吉おき麻呂まろが いえなるものは うもの葉にあらし
はすの葉は まあこんなにも えもんか うちるんは さしずめ芋葉いもや》
                       ―長意吉麻呂ながのおきまろ―(巻十六・三八二六)

 さすが意吉麻呂
 では 先ほどまで遊びしさいの目はどうじゃ)
一二いちにの目 のみにはあらず 五六ごろくさむ さへありけり 双六すごろくさい
双六すごろくの さいの目見たら 一二いちにほか 五六ごろくもあって 三四さんしもあるで》
                       ―長意吉麻呂ながのおきまろ―(巻十六・三八二七)

 吉麻呂歌は 果てるを知らず
矢継ぎ歌題うただい 発止はっしと返す

こう 塔 かわや くそ やっこ
かうれる たふにな寄りそ かはくまの くそぶなめる いたきやっこ
こうりの とう近づくな 便所そば くそふなを やっこめ》
                       ―長意吉麻呂ながのおきまろ―(巻十六・三八二八)

 ひしお ひる たい 水葱なぎ
ひしほに ひるてて たひ願ふ 我れにな見えそ 水葱なぎあつもの
ひしお ひる掛けた 鯛しに 見とうもないで 水葱ねぎ吸物すいなんか》
                       ―長意吉麻呂ながのおきまろ―(巻十六・三八二九)

たまばはき 鎌 むろ なつめ
たまばはき 刈りかま麻呂まろ むろの木と なつめもとと かきかむため
かま麻呂まろよ 玉掃ばはき苅りい むろの木と なつめ根本ねもと 掃除そうじするんや》
                       ―長意吉麻呂ながのおきまろ―(巻十六・三八三〇)

白鷺しらさぎが木をくわえてる絵を見て)
池神いけがみの 力士りきじまひかも 白鷺しらさぎの ほこひ持ちて 飛び渡るらむ
池神寺いけがみの 力士りきしまいやで 白鷺しらさぎが ほこくちくわえ 飛んでん見たら》
                        ―長意吉麻呂ながのおきまろ―(巻十六・三八三一)
                        (力士舞=呉の美女を襲う悪党崑崙こんろんを力士が征伐し
                             その象徴を振り回し口に咥えて舞う技楽)
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【即興歌作りの巧者・右兵衛任じのなにがし
(とある酒宴 盛付け容器の蓮葉はちすばに掛けて)
ひさかたの 雨も降らぬか 蓮葉はちすばに まれる水の 玉に似たる見む
《空からの 雨降らんかな はすの葉に 結ぶ水玉みずたま 真珠たまやと見たい》
                        ―作者未詳―(巻十六・三八三七)



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■日めくり万葉集Vol・2(123)面形の

2012年07月11日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
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【九月十五日】放映分

面形おもかたの 忘れむしだは 大野ろに たなびく雲を 見つつしのはむ
《顔つきを 忘れかけたら 野の原に なびく雲見て あんたしのぶわ》
                          ―東 歌―(巻十四・三五二〇)

【万葉歌みじかものがたり】《今のり道》
 ともなれば 死も覚悟
  情が濃くなる 二人仲


 に出るのも 男の勤め
辿たどる山坂 苦労は絶えず
やまい 盗賊とうぞく いつ何時なんどき
夫婦みょうとなりゃこそ 案じる心

信濃道しなのぢは 今の墾道はりみち 刈株かりばねに 足踏ましなむ くつけ我が
信濃道しなのみち 新し道や 切り株で 足痛めなや くつきあんた》
                          ―東 歌―(巻十四・三三九九)
汝背なせの子や 等里とり岡道をかぢし 中だ折れ し泣くよ 息衝いくづくまでに
《あんた行く 等里道とりみち曲がり 影隠れ うち胸詰まり 泣きに泣いたで》
                          ―東 歌―(巻十四・三四五八)
会津嶺あひづねの 国をさとおみ 逢はなはば しのひにせもと 紐結ばさね
会津嶺あいずねの 国はなれたら 逢われへん しのよすがに 紐結んでや》
                          ―東 歌―(巻十四・三四二六)
馬来田うまぐたの ろの小竹ささ葉の 露霜つゆしもの 濡れてなば は恋ふばぞも
馬来田峰まくたみね 山の笹葉の 露に濡れ 行ったらお前 さみしいやろな》
                          ―東 歌―(巻十四・三三八二)
妹がかど いやとほそきぬ 筑波つくは山 隠れぬほとに 袖ば振りてな
《あの児ん とおなってくで 筑波山 隠れんうちに 袖振っとかな》
                          ―東 歌―(巻十四・三三八九)
馬来田うまぐたの ろにかく かくだにも 国のとほかば が目りせむ
馬来田峰まくたみね かげ隠れたで わしの里 とおに来て仕舞た あぁ顔見たい》
                          ―東 歌―(巻十四・三三八三)
恋ひつつも らむとすれど 木綿間山ゆふまやま かくれし君を 思ひかねつも
がれるが 辛抱しんぼ我慢と 思うけど 山が隠した あんた恋しで》
                          ―東 歌―(巻十四・三四七五)
面形おもかたの 忘れむしだは 大野ろに たなびく雲を 見つつしのはむ
《顔つきを 忘れかけたら 野の原に なびく雲見て あんたしのぶわ》
                          ―東 歌―(巻十四・三五二〇)
み空行く 雲にもがもな 今日けふ行きて 妹にことひ 明日あす帰り
《空を行く 雲なりたいな 今日行って お前と話し 明日あした帰るに》
                          ―東 歌―(巻十四・三五一〇)



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■日めくり万葉集Vol・2(122)熟田津に

2012年07月07日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【九月十四日】放映分

熟田津にきたつに 船乗ふなのりせむと 月待てば しほもかなひぬ 今はでな
熟田津にきたつで 月潮待って 船出ふなで待ち きた きた 来たぞ さあ漕ぎそや》
                            ―額田王ぬかたのおおきみ―(巻一・八)

【万葉歌みじかものがたり】熟田津にきたつに》

半島 は 混乱を極めていた
百済くだら 新羅しらぎ 高句麗こうくり 三国の対立
かてて 加えて 
高句こうく討伐に失敗した隋に 唐が取って変わる
 は その強力な軍事力を背景とし 
半島 へと勢力拡大
さいめい天皇六年(660)
ついに 唐・新羅連合軍により 百済くだら滅亡
復興目指す百済遺臣いしん 同盟国こくに 援助要請
これにこたえ 倭国 新羅征討軍を組織・出陣

中大兄皇子なかのおおえのおうじを 総指揮官とし
大王おおきみ斉明の同行を仰いでの出兵は
倭国の命運をけてのものであった

 明天皇七年(661)一月
難波 の津を出た 大和軍は 西を目指す
やがて 
船団は 伊予いよの国に至り
ここ 熟田津にきたつに停泊していた
石湯いわゆ行宮かりみやでの旬日じゅんじつは いくさぞなえに費やされる

皇太子は 大海人おおあまを伴い 熟田津にきたつの浜にいた
皇子みこ そちは 星占ほしうらに通じていると聞く
 どうじゃ 船出の好機じき 占ってみよ」
じっと 星を見据えていた 皇子みこ
「吉は 明後日 月の出と共の出発いでたち
 夜の航行になりますが 潮の流れが何よりです これ以上の好機こうきはありません」

軍船 の準備は 整っていた
額田王おおきみ 月を 呼ぶのじゃ
 そちの 霊力れいりょくをもって 潮をかなえる 月を呼び出すのじゃ」

熟田津にきたつに 船乗ふなのりせむと 月待てば しほもかなひぬ 今はでな
熟田津にきたつで 月潮待って 船出ふなで待ち きた きた 来たぞ さあ漕ぎそや》
                            ―額田王ぬかたのおおきみ―(巻一・八)

額田王おおきみ朗唱ろうしょうが 合図となった 
船団は 一斉いっせいに 月夜の海へ



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■日めくり万葉集Vol・2(121)昨日こそ

2012年07月04日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【九月十三日】放映分
昨日こそ 君はありしか 思はぬに 浜松のうへに 雲に棚引く
《昨日まで 確か生きてた あんたやに 今日は雲なり 棚引たなびいてるが》
                          ―大伴三中おおとものみなか―(巻三・四四四)

【万葉歌みじかものがたり】しきこの世を》

都離れて めい受けて 任地赴く 人あれば
生まれ故郷ふるさと 親子置き 都出向きの 人も

摂津の国の 班田はんでん役の
書記を勤める 竜麻呂たつまろ丈部はせべ
任務苦労で 気鬱きうつが積もり
精神こころ病み果て 己首おのくびくく
時に上役 大伴三中おおともみなか
憐れ 思うて この歌作る

天雲あまくもの 向伏むかぶす国の 大夫ますらをと 言はれし人は 
《「わしの生国しょうごく 故郷ふるさとの ほまれ言われる 人こそは》 
天皇すめろきの 神の御門みかどに に 立ちさもらひ うちに 仕へまつりて 玉葛たまかづら いやとほ長く おやの名も ぎ行くものと 
天皇すめらみことの おまいの 御門ごもん警護けいごの ご奉仕ほうしと 内のお役目やくめ げて 行く末なごう ご先祖せんぞの 名誉伝えて 行くべし」と》
母父おもちちに 妻に子どもに 語らひて 立ちにし日より 垂乳根たらちねの 母のみことは 斎瓮いはひへを まへゑ置きて 片手には 木綿ゆふ取り持ち 片手には 和栲にきたへまつり たひらけく まさきくいませと 天地あめつちの 神をみ 
《母父妻と 子にさとし 伝えて任地にんち 出た日から あとに残りし その母が 御酒みきつぼ前に え置いて 片手に木綿ゆうを 取り持って 片手和栲にきたえ 捧げ持ち 恙無つつがの無事で 居れよとて 天地てんちの神に 祈りして》 
いかにあらむ としつきにか つつじ花 にほへる君が 鳰鳥にほどりの なづさひむと 立ちてて 待ちけむ人は 
《年月めぐり 日が来たら いとし息子に 逢えるかと がれ待ってる その人は》 
大君おほきみの みことかしこみ 押し照る 難波なにはの国に あらたまの 年るまでに 白栲しろたへの ころもさず あさよひに ありつる君は 
《国から受けた にんのため 難波なにわの宮で 何年も 身着みきのまま 日々ひび過ごし 朝晩あさばんしに 一所いっしょ懸命けめ つとったが 何事や》
いかさまに 思ひませか うつせみの しきこの世を つゆしもの 置きてにけむ 時にあらずして 
《どないおもたか 分らんが この世を捨てて って仕舞た まだまだ若い 身空みそらやに》  
                          ―大伴三中おおとものみなか―(巻三・四四三)
昨日こそ 君はありしか 思はぬに 浜松のうへに 雲に棚引く
《昨日まで 確か生きてた あんたやに 今日は雲なり 棚引たなびいてるが》
                          ―大伴三中おおとものみなか―(巻三・四四四)
いつしかと 待つらむ妹に 玉梓たまづさの ことだに告げず にし君かも
《帰るんを 待ってる妻に 一言ひとことの 言伝ことづてなしに って仕舞しもうて》
                           ―大伴三中おおとものみなか―(巻三・四四五)



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