犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(059)近江の海

2011年10月29日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【六月十六日】放映分

淡海あふみうみ 夕波ゆふなみ千鳥ちどり けば 心もしのに いにしへおもほゆ

 《おい千鳥 そんなにきな 啼くたんび 往古むかし思うて たまらんよって》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻三・二六六)

【万葉歌みじかものがたり】夕波ゆうなみ千鳥ちどり

大津宮陥落ののち 十数年が過ぎ 
持統天皇の御代みよ
父 天智天皇の供養にと 近江への行幸みゆき

近江 の湖畔
たたずむ 柿本人麻呂かきのもとのひとまろ
口をついて 言葉がほとばし

玉襷たまだすき 畝傍うねびやまの 橿原かしはらの 日知ひじり御代みよゆ れましし かみのことごと つがの いや継ぎ継ぎに あめした らしめししを 
《畝傍の山の 橿原の 神武じんむ御代みよを 始めとし 引き継ぎきたる 大君おおきみの 治め給いし 都やに》
そらにみつ 大和やまとをおきて あをよし 奈良山ならやまえ いかさまに おもほしめせか 
《何をおもわれ 大和捨て 奈良山越えて はるばると》
天離あまざかる ひなにはあれど いはばしる 淡海あふみくにの 楽浪さざなみの 大津おおつみやに あめした らしめしけむ 
《遠く離れた 片田舎 近江の国の 大津宮おおつみや 都移しを しなされた》
天皇すめろぎの かみみことの 大宮おおみやは こことけども 大殿おおとのは こことえども 春草はるくさの しげひたる かすみ立ち 春日はるひれる ももしきの 大宮処おおみやどころ 見れば悲しも
《それや言うのに その都 目当ての場所は 草繁り 大宮大殿 見当たらん どこへ行ったか 雲かすみ 悲しさ募る 大宮処》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻一・二九)

人麻呂の 故宮ふるみやへの 追慕ついぼまず
楽浪ささなみの 志賀の唐崎からさき さきくあれど 大宮びとの 船待ちかねつ
《唐崎は そのまんまやが 待ってても 古都人むかしのひとも 船もえへん》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻一・三〇)
楽浪ささなみの 志賀の大わだ よどむとも 昔の人に またもはめやも
《淀み水 今もあるのに せんいで 昔の人に 逢うことうて》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻一・三一)

日が落ち 寂しさ募る湖辺うみべ
鳴く 千鳥が 人麻呂の胸を 締め付ける

淡海あふみうみ 夕波ゆふなみ千鳥ちどり けば 心もしのに いにしへおもほゆ
《おい千鳥 そんなにきな 啼くたんび 往古むかし思うて たまらんよって》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻三・二六六)

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■日めくり万葉集Vol・2(058)昼は咲き

2011年10月26日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
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【六月十五日】放映分

昼は咲き よるは恋ひる 合歓木ねぶの花 君のみ見めや 戯奴わけさへに見よ

 《昼咲いて 夜は恋見る 合歓ねむの花 ねえさま見たで ぼんちも見てね》
                         ―紀郎女きのいらつめ―(巻八・一四六一)

【万葉歌みじかものがたり】戯奴わけは恋ふらし》

安貴王あきのおおきみ ああ どうして 
 あんな 年寄りにとついだのかしら 
 でっぷり  太った
 当初は 世間知った たくましい人だった
 あの 当時 若い男は 頼りなかったわ
  は 違うの 細身の 若いのが いい
 そう あの 貴公子然の 家持やかもちなんか 抜群
 あの 人 すごく 恋人 多いの
  には 若すぎて 恋人は 無理だけど
 小母おばさま いえ お姉さま でのお付き合い
 ちょっと  からかって みようかしら)
紀郎女きのいらつめは 侍女じじょを 花みに やらせた
(「茅花ちばな合歓ねむ」この 取り合わせが いいわ
 これに 歌をえて と)

戯奴わけがため 我が手もすまに 春の野に 抜ける茅花ちばなぞ してえませ
《ぼんちをば おもうてった 茅花ちばな食べ ちょっとえてや 痩せ身のぼんち》
                         ―紀郎女きのいらつめ―(巻八・一四六〇)
昼は咲き よるは恋ひる 合歓木ねぶの花 君のみ見めや 戯奴わけさへに見よ
《昼咲いて 夜は恋見る 合歓ねむの花 ねえさま見たで ぼんちも見てね》
                         ―紀郎女きのいらつめ―(巻八・一四六一)

ほど なく 家持からの 返歌が 届く
(まあ 早速さっそく
  家持坊や まんざらでもないのね)

が君に 戯奴わけは恋ふらし たばりたる 茅花ちばなめど いやせに
ねえさまに ぼんち恋した ろた茅花はな たけどせる またまた痩せる》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一四六二)
我妹子わぎもこが 形見の合歓木ねぶは 花のみに 咲きてけだしく にならじかも
合歓ねむの花 いとしあんたに 似てる花 はなやかやけど (恋の)らへんわ》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一四六三)
 ふむ ふむ 
  魅力的だけど 恋はしません だって
 照れて いるのね あの坊や
  男ごころ って 複雑なんだ)

春のおぼろ 
かりに 梅の花 かそけく にお
家持のもとに 清らかな 歌が

ひさかたの 月夜つくよきよみ 梅の花 心ひらけて おもへる君
清々すがすがし つき光に 梅咲いた うちの心も あんたに咲いた》
                         ―紀小鹿郎女きのおしかのいらつめ―(巻八・一六六一)

(あの 小鹿おしかのばあさん 取り違えたか)
家持 は 苦笑するしかない

まさか 妻問いは なかろうと思いつつ
 待ちの月を 眺めやる 紀郎女

闇夜やみならば うべも来まさじ 梅の花 咲ける月夜に 出でまさじとや
闇夜やみよなら えへのんは 仕様しょうないが 梅花はな咲く月夜 なんでんのや》
                         ―紀郎女きのいらつめ―(巻八・一四五二)

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■日めくり万葉集Vol・2(057)廬原の

2011年10月22日 | 日めくり万葉集
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【六月十四日】放映分

いほはらの 清美きよみの崎の 三保みほの浦の ゆたけき見つつ ものひもなし

 《清見きよみさき 三保みほの浦での 海景色 ゆったりしてて 見惚みほれて仕舞しもた》
                         ―田口益人たのくちのますひと―(巻三・二九六)

【万葉歌みじかものがたり】雪消ゆきげの道を》

常陸のすけの 任命受けて
あずま下りの 春日老かすがのおゆ
遅く 出たのか もう日が暮れる
途中焼津やいづで 歌垣じり?

つのさはふ 磐余いはれも過ぎず 泊瀬山はつせやま 何時いつかも越えむ けにつつ
けたのに まだ磐余いわれやで この足で 泊瀬山はつせ越えるん 何時いつなるやろか》
                         ―春日老かすがのおゆ―(巻三・二八二)
やきに 我が行きしかば 駿河なる 阿倍あへ市道いちぢに ひし子らはも
焼津やいづの地 通った時に 阿倍あべいちで たあの児は どしてるやろか》
                         ―春日老かすがのおゆ―(巻三・二八四)

田口たぐち益人ますひと 上野こうずけ国の
国司 任じに 出向きし折りに
駿河 清見を 通りて過ぎる
気はくものの 景色も見たい

いほはらの 清美きよみの崎の 三保みほの浦の ゆたけき見つつ ものひもなし
清見きよみさき 三保みほの浦での 海景色 ゆったりしてて 見惚みほれて仕舞しもた》
                         ―田口益人たのくちのますひと―(巻三・二九六)
昼見れど かぬ田子たごの浦 大君おほきみの みことかしこみ よる見つるかも
《昼見たら 良かったやろに 田子たごうら 任務にんむ旅やで よる辿たどりや》
                         ―田口益人たのくちのますひと―(巻三・二九七)

 も良えげど 真夏も良えと
高橋蟲麻呂むしまろさんが うたいし歌を
聞いた この峰 たまさか冬に
やって来たけど 登らでくか

とりが鳴く あづまの国に 高山たかやまは さはにあれども 二神ふたがみの たふとき山の み立ちの 見がし山と 神代かみよより 人の言ひ継ぎ 国見くにみする 筑波つくばの山を 
あずまくに 高山多数ようけ あるけども 男神おがみ女神めがみの ふたみねの 並ぶ姿が 素晴すばらしと 神代かみよこのかた 言い継がれ 国見に登る 筑波山》 
冬こもり 時じき時と 見ずてかば ましてこほしみ 雪消ゆきげする 山道やまみちすらを なづみぞ
《冬はその時期 ちゃうて 見過ごししたら やむんで 雪解ゆきどけ道を 難儀なんぎして たでこのわし このいただきに》
                         ―丹比国人たじひのくにひと―(巻三・三八二)
筑波嶺つくはねを よそのみ見つつ ありかねて 雪消ゆきげの道を なづみるかも
筑波つくば山 見過ごし行くん へんで 雪解ゆきどけ道を 難儀なぎして来たで》
                         ―丹比国人たじひのくにひと―(巻三・三八三)

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■日めくり万葉集Vol・2(056)高円の

2011年10月19日 | 日めくり万葉集
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【六月十三日】放映分

高円たかまとの 野辺のへ容花かほばな 面影に 見えつつ妹は 忘れかねつも

《高円の 昼顔ひるがお見たら お前顔 ちらつき浮かび 忘られんのや》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一六三〇)

【万葉歌みじかものがたり】《かくぞ黄変もみてる》

何につけても 思われるのは大嬢おおいらつめがこと
天候 不順がもたらす 花時期のずれ
これ すら こころ通わせの手立てとなる

我がやどの 時じき藤の めづらしく 今も見てしか 妹がまひを
あいらしに 時節じせつ外れの 藤咲いた お前の笑顔 見となったがな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一六二七)
我がやどの 萩の下葉したばは 秋風も いまだ吹かねば かくぞ黄変もみてる
《庭の萩 まだ秋風も 吹かんのに 下の葉ほれ見 こなっとるで》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一六二八)

こころ 落ち着いた 妻問い
歌のり取り
じょうが 濃くなるにつれ
新たな 憂悶ゆうもんが 頭もたげる
(世の習いとはえ いつまでの妻問い 
 ともまいの おとずれが待ち遠しい)

ねもころに 物を思へば 言はむすべ すべも無し 
《しみじみと 恋しおもたら 言いない 晴らす方法ほうほも 見当たらん》
妹とれと 手たづさはりて あしたには 庭にで立ち ゆふへには とこうちはらひ 白栲しろたへの 袖さしへて さし夜や 常にありける 
《手ぇをつないで お前わし 朝が来たなら 庭に出て 夕暮れなると 床べて 互いに袖を わし合い 一緒寝たよる 一寸ちょっとだけ》
あしひきの 山鳥こそば むかひに 妻問つまどひすといへ 現世うつせみの 人にある我れや 何すとか 一日ひとひ一夜ひとよも さかり居て 嘆き恋ふらむ ここへば 胸こそ痛き 
《山む鳥は 連れうに 峰越すだけで えのんに この世生まれた このわしは なんで毎日 毎晩も 離れ暮らして 嘆くんか それを思たら 胸痛い 》 
そこゆゑに 心ぐやと 高円たかまとの 山にも野にも うち行きて 遊びあるけど 花のみし にほひてあれば 見るごとに ましてしのはゆ いかにして 忘れむものぞ 恋といふものを
仕様しょう無いよって なぐさみに 高円山の 山や野に 出かけて行って 遊んだら 花が綺麗きれえに 咲いてたが それ見るたんびに 益々ますますに お前のことが 偲ばれる どしたらんや 忘れんの 思うならん 恋んは》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一六二九)
高円たかまとの 野辺のへ容花かほばな 面影に 見えつつ妹は 忘れかねつも
《高円の 昼顔ひるがお見たら お前顔 ちらつき浮かび 忘られんのや》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―(巻八・一六三〇)

家持の憂悶ゆうもん
やがてに かれる日が 近づき 現実のものとなる

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■日めくり万葉集Vol・2(055)恋草の

2011年10月15日 | 日めくり万葉集
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【六月十日】放映分

こひくさを ちからくるまに ななくるま みてふらく 我が心から

《恋の草 っき荷車にぐるま ななだいに むほど苦し れたがために》
                         ―廣河女王ひろかわのおおきみ―(巻四・六九四)



【万葉歌みじかものがたり】浮寝うきねをしける》

歴史おもてに 現われて 名前を残す 歌人うたびと
後ろ支えて 世の中を 地道じみち進めた 担い手は
皇子みこ皇女ひめみこ 子や孫の おう女王おおきみ 始めとし
仕え宮人みやびと 娘子おとめ達 名前残さぬ 歌人うたびと
み人知らぬ つたえ歌 万葉支え 集め編

 の世の中 男と女
 を取り持つ 相聞歌は
さすが宮人みやびと 格調高い

 恋し思いを この胸秘めて
 一人悶々もんもん 苦しい限り)

敷栲しきたへの 枕ゆくくる 涙にぞ 浮寝うきねをしける 恋のしげきに
恋焦こいこがれ 枕を濡らす この涙 あふれ池なり 浮寝うきね日々ひびや》
                         ―駿河采女するがのうねめ―(巻四・五〇七)
照る月を やみに見なして 泣く涙 ころもらしつ す人しに
《月見ても 心やみやで 涙て ふく濡れて仕舞た す人いに》
                         ―大伴三依おおとものみより―(巻四・六九〇)
かくのみし ひや渡らむ 秋津あきづに 棚引く雲の 過ぐとはしに
《こないして 恋続けんか せんまま なびく雲かて 消えるて云うに》
                         ―大伴千室おおとものちむろ―(巻四・六九三)
朝にに 色づく山の 白雲しらくもの 思ひ過ぐべき 君にあらなくに
何時いつまでも 忘れられへん あんたやで ぐ消えて仕舞う 白雲しらくもごて》
                         ―厚見王あつみのおおきみ―(巻四・六六八)
                           (「君に」・・・女なぞらえてのたわむれ歌?)
高山の すがの葉しのぎ 降る雪の ぬと言ふべくも 恋のしげけく
《高山の すがの葉おおう 雪のに 消えて仕舞いそや 恋焦こがれがひどて》
                         ―三国人足みくにのひとたり―(巻八・一六五五)

(こんな苦しい 恋もういやや りたはずやに またぞろ没入はまる)

こひくさを ちからくるまに ななくるま みてふらく 我が心から
《恋の草 っき荷車にぐるま ななだいに むほど苦し れたがために》
                         ―廣河女王ひろかわのおおきみ―(巻四・六九四)
恋は今は あらじとれは 思へるを 何処いづくの恋ぞ つかみかかれる
《この恋 もう退治たいじした おもてたに 何処どこったか みつきよるで》
                         ―廣河女王ひろかわのおおきみ―(巻四・六九五)
                            【廣河女王は「恋の奴」歌の穂積皇子の孫】

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■日めくり万葉集Vol・2(054)朝寝髪

2011年10月12日 | 日めくり万葉集
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朝寝髪あさねがみ 我れはけづらじ うるはしき 君が手枕たまくら 触れてしものを

朝乱みだがみ うちかんとく 大好きな あんたさわった 髪なんやから》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五七八)

【万葉歌みじかものがたり】《我はけづらじ》

大人ならでは うたえん歌も
激し思いを たぎらせかせ
まだ共寝足りんと 女は強請せが
寝乱れがみも かんでくと

刈りこもの 一重ひとへを敷きて されども 君としれば 寒けくもなし
こもむしろ 一枚だけの 寝床ねどこやが あんたと共寝たら さむ無いのんや》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五二〇)
  
こも刈る 大野おほの川原がはらの 水隠みごもりに 恋ひいもが 紐く我れは
もぐり水 しのがれて 今やっと ほどいとるんや お前のひもを》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七〇三)
  
沖つ波 辺波へなみる 左太さだの浦の このさだ過ぎて のち恋ひむかも
至福しふくどき あんたうてる この今が 過ぎて仕舞しもたら またがれんか》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二七三二)
左太さださだ

明けぬべく 千鳥ちどりしば鳴く 白栲しろたへの 君が手枕たまくら いまだかなくに
《もう朝と 千鳥鳴きよる まだうちは あんたと共寝るん 足らへんのんに》【寄物陳思】
                          ―作者未詳―(巻十一・二八〇七)
  
あさを 早くな開けそ あぢさはふ 目がる君が 今夜こよひ来ませる
《朝の戸を 早々はやばやけな 昨夜ゆうべから いとしあの人 来てはるんやで》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五五五)
  
人目る 君がまにまに 我れさへに 早く起きつつ すそ濡れぬ
《人目け 帰るあんたに うて 早よに起きたら 裳裾すそ濡れて仕舞た》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五六三)
  
朝寝髪あさねがみ 我れはけづらじ うるはしき 君が手枕たまくら 触れてしものを
朝乱みだがみ うちかんとく 大好きな あんたさわった 髪なんやから》【正述心緒】
                          ―作者未詳―(巻十一・二五七八)

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■日めくり万葉集Vol・2(053)富人の

2011年10月08日 | 日めくり万葉集
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【六月八日】放映分

富人とみひとの 家の児どもの み くたつらむ きぬ綿わたらはも

 《金持ちの 家の子供は ふくを んとってる 絹や綿入れ》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・九〇〇)



【万葉歌みじかものがたり】うちかぎりは》

天平 五年(733)
老身ろうしん憶良は やまいとこにあった 数えて七十四

たまきはる うちかぎりは たひらけく 安くもあらむを 事も無く くあらむを よのなかの けくつらけく
《生きてるうちは 病気せず 楽に死にたい おもうても 世の中つろて 苦しいわ》
いとのきて 痛ききずには 辛塩からしほそそくちふが如く ますますも 重き馬荷うまにに 表荷うはに打つと いふことのごと 老いにてある が身の上に 病をと 加へてあれば
《塩を生傷なまきず 塗るみたい 追い荷重荷おもにに 積むみたい 老い身に病気 重なって》
昼はも 嘆かひ暮し よるはも 息衝いきづき明かし 年長く 病みし渡れば つきかさね うれさまよひ 
《夜は溜息 昼嘆き 長患ながわずらいの 続くうち》
ことことは 死ななと思へど 五月蝿さばへなす さわどもを てては しには知らず 見つつあれば 心はえぬ 
《いっそ死のかと おもたけど 餓鬼がきどもって 死なれへん 子供見てると 胸痛む》
かにかくに 思ひわづらひ のみし泣かゆ
 あれこれ思い 悩みして 考えあぐね 泣くばかり》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・八九七)
慰むる 心はなしに 雲がくり 鳴き行く鳥の のみし泣かゆ
 安らかな 気持ちなれんで ピイピイと 鳥鳴くみたい 泣き続けとる》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・八九八)
すべも無く 苦しくあれば で走り ななと思へど 児らにさやりぬ
《苦しいて あの世行こかと おもうても 子供邪魔して 死ぬこと出来でけん》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・八九九)
富人とみひとの 家の児どもの み くたつらむ きぬ綿わたらはも
《金持ちの 家の子供は ふくを んとってる 絹や綿入れ》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・九〇〇)
荒栲あらたへの 布衣ぬのきぬをだに 着せかてに くや嘆かむ むすべを無み
《捨てるよな ボロふくさえも ささんと 嘆いてみても どもならんのや》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・九〇一)
水沫みなわなす もろき命も 栲縄たくなはの 千尋ちひろにもがと 願ひ暮しつ
《泡みたい すぐ消えるよな 命でも 長ごとおもて 暮らしてるんや》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・九〇二)
倭文手しつたまき 数にもらぬ 身にはれど 千年ちとせにもがと 思ほゆるかも
安物やすもんの 飾りみたいな このわしも せめて長生き したいおもとる》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・九〇三)
かた すえ 心休まらぬ 憶良がいる

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■日めくり万葉集Vol・2(052)時々の

2011年10月05日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【六月七日】放映分

時々ときどきの 花は咲けども 何すれぞ ははとふ花の 咲き出来でこずけむ

 《時期じき時期じきに 花咲くのんに なんでまた おぁいう名の 花咲かんのや》
                         ―丈部真麻呂はせべのままろ―(巻二十・四三二三)



【万葉歌みじかものがたり】ははとふ花の》

子供皆々 乳離ちばなれできぬ
まして別れた たびの空は
思い途切とぎれず 母親思う
恋し恋しい 恋しでお

畳薦たたみけめ が磯の はなりの ははを離れて 行くが悲しさ
磯 岸を離れた 沖の磯 おぁ離れて 行くのんつらい》
                         ―生部道麻呂みぶべのみちまろ―(巻二十・四三三八)
たらちねの ははを別れてまこと我れ 旅の仮廬かりほに 安くむかも
《なぁおかあ おと別れて わし一人 旅空たびぞら宿り まんじり出来できん》
                         ―日下部三中くさかべのみなか―(巻二十・四三四八)
あもも 玉にもがもや いただきて 角髪みづらの中に あへかまくも
《おっさん 玉やったらな ささげ持ち 角髪みずらの中に 巻き込めるのに》
                         ―津守小黒栖つもりのおぐろす―(巻二十・四三七七)
時々ときどきの 花は咲けども 何すれぞ ははとふ花の 咲き出来でこずけむ
時期じき時期じきに 花咲くのんに なんでまた おぁいう名の 花咲かんのや》
                         ―丈部真麻呂はせべのままろ―(巻二十・四三二三)
我がははの 袖もちでて 我がからに 泣きし心を 忘らえぬかも
《おっぁが 袖で頭を でてくれ 泣いてくれたん 忘れられんわ》
                         ―物部乎刀良もののべのおとら―(巻二十・四三五六)
我がかづの 五本いつもとやなぎ 何時いつ何時いつも おもが恋すす なりましつしも
《この今も わし気にけて おっぁが 畑で仕事 しとるんやろか》
                         ―矢作部真長やはぎべのまなが―(巻二十・四三八六)
ばしら ほめて造れる 殿とののごと いませはは おめかはりせず
立派ええ柱 しつらえ建てた 屋敷いえみたい かかよ達者で やつれなさんと》
                         ―坂田部首麻呂さかたべのおびとまろ―(巻二十・四三四二)
天地あめつしの いづれの神を 祈らばか うつくははに またことはむ
天地あめつちの どの神さんを 拝んだら いとしいかかに また逢えるんか》
                         ―大伴部麻与佐おおともべのまよさ―(巻二十・四三九二)

 の無い子は 父親思う
まして 老いたる 父親ならば

橘の 美袁利みをりの里に ちちを置きて 道の長道ながては 行きかてぬかも
たちばなの 美袁利みおりの里に とと置いて 行くんつらいで 道長々と》
                         ―丈部足麻呂はせべのたりまろ―(巻二十・四三四一)

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■日めくり万葉集Vol・2(051)ただ一夜

2011年10月01日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【六月六日】放映分

ただ一夜ひとよ へだてしからに あらたまの 月かぬると 心まとひぬ

一晩ひとばんを 逢わんだけやに ひとつきも った思うで 恋焦こがれがひどて》
                         ―湯原王ゆはらのおおきみ―(巻四・六三八)



【万葉歌みじかものがたり】けてらむと》

 あれでご機嫌 直したやろか
 ここで一押し 恋焦こがれの文を)
ただ一夜ひとよ へだてしからに あらたまの 月かぬると 心まとひぬ
一晩ひとばんを 逢わんだけやに ひとつきも った思うで 恋焦こがれがひどて》
                         ―湯原王ゆはらのおおきみ―(巻四・六三八)

 ひょっとあの人 本気やろうか
 こんな夢出て うち口説くどくんは)
我が背子が かく恋ふれこそ ぬばたまの いめに見えつつ ねらえずけれ
《こんなにも あんた思うて くれてんや 夢現われて 寝付ねつけんなんだ》
                         ―娘子おとめ―(巻四・六三九)

 やっと信じて くれたかあの児
 ここが先途せんどや 追い打ち文を)
はしけやし ちかき里を くもにや 恋ひつつらむ 月もなくに
るに がれはるかに もってる うてひとつき まだたへんに》
                         ―湯原王ゆはらのおおきみ―(巻四・六四〇)

ここしばらくの り取りかまけ
妻への甘言じょうず ついおろそかに
露見足止め かよえぬおう
わずらとこと 娘子おとめに送る

(感娘子おとめ それかと悟り
 甲斐性かいしょなしと 縁切り歌を)
絶ゆと言はば びしみせむと やき大刀たちの へつかふことは さきくやが君
《おしまいや たら可哀想かわいそ おもてから つくろいしてて うれしかあんた》
                         ―娘子おとめ―(巻四・六四一)

(手にした玉を こぼしたおう
 自己おのれ弁解いいわけ さみしに探す)
我妹子に 恋ひて乱れば 反転くるべきに けてらむと が恋ひそめし
うすごころ 乱れて仕舞たら なおす おもて始めた 恋やったんや》
                         ―湯原王ゆはらのおおきみ―(巻四・六四二)
                                      (反転くるべき=糸車)


湯原ゆはらおおおきみ 皇子みこ息子
天智 天皇 孫なる血筋
壬申じんしん乱の のちの世生きる
皇子みこの 処世を見たか
除位じょい任官にんかんは 史書には見えず
万葉集 に 十九の歌が
繊細せんさい優美ゆうび 佳作を残す
当意即妙とういそくみょう 宴席歌も
ここに挙げたる 娘子おとめの歌は
世の中渡る 韜晦とうかい恋か
自作 自演の お芝居歌か
                 (韜晦=本心などを包み隠すこと)

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