犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(248)天地の

2014年03月15日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【三月十二日】放映分
天地あめつしの いづれの神を 祈らばか うつくははに またことはむ
天地あめつちの どの神さんを 拝んだら いとしいかかに また逢えるんか》
                         ―大伴部麻与佐おおともべのまよさ―(巻二十・四三九二)

【万葉歌みじかものがたり】ははとふ花の》

子供皆々 乳離ちばなれできぬ
まして別れた たびの空は
思い途切とぎれず 母親思う
恋し恋しい 恋しでお

畳薦たたみけめ が磯の はなりの ははを離れて 行くが悲しさ
磯 岸を離れた 沖の磯 おぁ離れて 行くのんつらい》
                         ―生部道麻呂みぶべのみちまろ―(巻二十・四三三八)
たらちねの ははを別れて まこと我れ 旅の仮廬かりほに 安くむかも
《なぁおかあ おと別れて わし一人 旅空たびぞら宿り まんじり出来できん》
                         ―日下部三中くさかべのみなか―(巻二十・四三四八)
あもも 玉にもがもや いただきて 角髪みづらの中に あへかまくも
《おっさん 玉やったらな ささげ持ち 角髪みずらの中に 巻き込めるのに》
                         ―津守小黒栖つもりのおぐろす―(巻二十・四三七七)
時々ときどきの 花は咲けども 何すれぞ ははとふ花の 咲き出来でこずけむ
時期じき時期じきに 花咲くのんに なんでまた おぁいう名の 花咲かんのや》
                         ―丈部真麻呂はせべのままろ―(巻二十・四三二三)
我がははの 袖もちでて 我がからに 泣きし心を 忘らえぬかも
《おっぁが 袖で頭を でてくれ 泣いてくれたん 忘れられんわ》
                         ―物部乎刀良もののべのおとら―(巻二十・四三五六)
我がかづの 五本いつもとやなぎ 何時いつ何時いつも おもが恋すす なりましつしも
《この今も わし気にけて おっぁが 畑で仕事 しとるんやろか》
                         ―矢作部真長やはぎべのまなが―(巻二十・四三八六)
ばしら ほめて造れる 殿とののごと いませはは おめかはりせず
立派ええ柱 しつらえ建てた 屋敷いえみたい かかよ達者で やつれなさんと》
                         ―坂田部首麻呂さかたべのおびとまろ―(巻二十・四三四二)
天地あめつしの いづれの神を 祈らばか うつくははに またことはむ
天地あめつちの どの神さんを 拝んだら いとしいかかに また逢えるんか》
                         ―大伴部麻与佐おおともべのまよさ―(巻二十・四三九二)

 の無い子は 父親思う
まして 老いたる 父親ならば

橘の 美袁利みをりの里に ちちを置きて 道の長道ながては 行きかてぬかも
たちばなの 美袁利みおりの里に とと置いて 行くんつらいで 道長々と》
                         ―丈部足麻呂はせべのたりまろ―(巻二十・四三四一)


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【古事記ものがたり】への誘い
古事記編纂1300年を期し 一大叙事詩を作ってみました
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■日めくり万葉集Vol・2(247)世の中は

2014年03月12日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
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【三月十二日】放映分
世の中は むなしきものと 知る時しいよよますます 悲しかりけり
《人の世は からっぽなんや 知らされた おもうてたより ずっと悲しで》
                         ―大伴旅人おおとものたびと―(巻五・七九三)

【万葉歌みじかものがたり】むなしきものと》

 は とっぷりと暮れていた
旅人たびとやかたの門をくぐる人がいる
筑前ちくぜん国府からはそう遠くない 
遅すぎた弔問ちょうもん
悲しみに打ちひしがれる旅人たびと
そのひたいに たてじわが寄る
 喰えん男が 今頃に・・・)

大君おほきみの 遠の朝廷みかどと しらぬひ 筑紫つくしの国に 泣く子なす 慕ひ来まして いきだにも いまだやすめず 年月としつきも いまだあらねば 心ゆも 思はぬあひだに うち摩き こやしぬれ
都離はなれて遠い 筑紫へと 子供みたいに 付いて来て 一息く間 無いままで そんな月日も たんのに 思いも寄らん ことなった》
言はむすべ すべ知らに 石木いはきをも け知らず 家ならば かたちはあらむを うらめしき いもみことの れをばも 如何いかにせよとか 鳰鳥にほどりの 二人並び 語らひし 心そむきて 家さかりいます
《どしたらえか 分からへん 応答こたえよらへん 石や木も 奈良にったら こんなこと ならんかったに なぁお前 どないんや このわしに 二人仲良う 暮らそやと うてたお前 もうらん》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・七九四)

家に行きて 如何いかにかがせむ 枕づく 妻屋つまやさぶしく 思ほゆべしも
《家帰り どしたらんや このわしは 寝床ねどこ見たかて さみしいだけや》
しきよし かくのみからに したし 妹が心の すべもすべなさ
可愛かいらしに あんな屡々いっぱい 甘え来た そんな気持に こたえられんで》
くやしかも かく知らませばあをよし 国内くぬちことごと 見せましものを
《悔しいな こんなことなら 眺めえ 筑紫国中くにじゅう 見せたったのに》
いもが見し あふちの花は 散りぬべし 我が泣くなみだ いまだなくに
栴檀せんだんの 花散りそうや 思いの よすがうなる えもせんのに》
大野山おほのやま 霧立ち渡る 我が嘆く 息嘯おきその風に 霧立ちわたる
《大野山 霧立ってるで わし嘆く 溜息ためいきまり 霧なったんや》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・七九五~七九九)

(形の弔問ちょうもん多いなか
  わしと心を同じうすべくの歌作りを・・・)
おく殿・・・」
差し出す手に 旅人たびとの歌 
世の中は むなしきものと 知る時しいよよますます 悲しかりけり
《人の世は からっぽなんや 知らされた おもうてたより ずっと悲しで》
                         ―大伴旅人おおとものたびと―(巻五・七九三)
無言で うなずく 憶良
老境 の二人の眼に 乾ききらぬ涙が




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■日めくり万葉集Vol・2(246)大君は

2014年03月08日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
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【三月十二日】放映分
大君おほきみは 神にしませば 天雲あまくもの いかづちの上に いほらせるかも
天皇おおきみは 神さんやから 雲の上 いかづちおかに 住もうてなさる》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻三・二三五)

【万葉歌みじかものがたり】川淀かはよどさらず》
赤人 は 明日香の地に居た
歌の祭神さいじんが 呼んだに違いない
ここは 柿本人麻呂 その人の行住坐臥ぎょうじゅうざがの地

三諸みもろの 神奈備かむなび山に 五百枝いほえさし しじひたる つがの木の いやぎに 玉かづら 絶ゆることなく ありつつも まず通はむ 明日香あすかの ふるみやこは 山高み かは雄大とほしろし 
神奈備かんなび山に えとおる 枝次々と やすつが 青々繁り 絶えんつた 継続つづき絶えんと かよいたい ふるい都の 明日香宮 山は高こうて 川広い》
春の日は 山し見がほし 秋のは 川しさやけし 朝雲あさぐもに たづは乱れ 夕霧ゆふぎりに かはづさわく 見るごとに のみし泣かゆ いにしへ思へば
《春の日ぃには 山見たい 秋の夜には 川清い 朝出る雲に 鶴飛んで 夕霧立つと 河鹿かじか鳴く こんな眺めを 見るたんび しきりと泣けて 仕様しょうがない 昔栄えた この都》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻三・三二四)
明日香あすか川 川淀かはよどさらず 立つ霧の 思ひ過ぐべき 恋にあらなくに
《消え果てん 明日香の川の 霧みたい 忘れるもんか 恋しの旧宮あすか
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻三・三二五)

(古い都はい 山に 川に 歌が宿ってる)

(あれに見えるは 雷丘いかづちのおか
  人麻呂様の歌 思い出される)

大君おほきみは 神にしませば 天雲あまくもの いかづちの上に いほらせるかも
天皇おおきみは 神さんやから 雲の上 いかづちおかに 住もうてなさる》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻三・二三五)

 おお ここは 藤原不比等様の 屋敷跡
  その昔 お世話になったこともあった
 全ては いにしえに なって仕舞しまうのか)

いにしへの 古き堤は 年深としふかみ 池のなぎさに 水草みぐさひにけり
《昔見た 古い堤は 年たな 池に水草 生えて仕舞しもてる》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻三・三七八)

赤人 は 人麻呂に報告する
歌跡うたあと辿たどり来ました
 ここ 明日香が あなた様の 心のり所
 人移り 世移り あなた様と同じにはうたえません
  でも 私なりの 景の歌
 景に 胸の内を秘め うたえるようになりました
 人麻呂様の 足許あしもと 少しく 寄れた心地が致します)

歌は 誰にうたうでなく おのれの心にうた
その ことを知った 赤人であった



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■日めくり万葉集Vol・2(245)うらさぶる

2014年03月05日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
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【三月十二日】放映分
うらさぶる 心さまねし ひさかたの あめ時雨しぐれの 流らふ見れば
《空おおい 時雨しぐれ続いて 流れ降る 見たらびしさ 胸広がるで》
                         ―長田王ながたのおおきみ―(巻一・八二)


【万葉歌みじかものがたり】を見がてり》

恋にうつつを 抜かしていたり 
 に雪にと 浮かれていても
役目 果たさで 仕えは出来ぬ
めいが下れば 身は西東にしひがし

任をたまわり 行く旅空は
苦労難儀なんぎの 道連れ覚悟
如何な艱難かんなん あったや知れず
そこは宮人みやびと 憂いは見せぬ

【和銅五年(712)長田王ながたおう伊勢斎宮いつきのみや派遣】
やまのへの を見がてり かむかぜの 伊勢娘子をとめども 相見あひみつるかも
念願ねんがんの 聖水みずを見に来て その上に 伊勢の聖女おとめに 逢えもしたがな》
                         ―長田王ながたのおおきみ―(巻一・八一)
うらさぶる 心さまねし ひさかたの あめ時雨しぐれの 流らふ見れば
《空おおい 時雨しぐれ続いて 流れ降る 見たらびしさ 胸広がるで》
                         ―長田王ながたのおおきみ―(巻一・八二)
わたの底 沖つ白波 竜田たつた山 何時いつか越えなむ 妹があたり見む
《山こう あの児る里 竜田山 越えて逢い行く その内きっと》
                         ―長田王ながたのおおきみ―(巻一・八三)
                          (海の底沖つ白波→立つ→竜田山)

【筑紫肥後水島・長田王官命かんめいにて下る】
聞きしごと まことたふとく くすしくも かむさびるか これの水島
《聞いたまま ほんまとうとて 神秘やで 神さんるで この水島は》 
                         ―長田王ながたのおおきみ―(巻三・二四五)
葦北あしきたの 野坂の浦ゆ 船出ふなでして 水島にかむ 波立つなゆめ
 野坂浦 船漕ぎ出して 水島に 行こ思うんや 波立たんとき》 
                         ―長田王ながたのおおきみ―(巻三・二四六)
沖つ波 辺波へなみ立つとも 我が背子が 御船みふねの泊り 波立ためやも
《沖や岸 波立ったかて 長田王あんたさん 船めはるに 波立つもんか》 
                         ―石川いしかわの大夫まえつぎみ―(巻三・二四七)
隼人はやひとの 薩摩さつまの瀬戸を くもなす 遠くも我れは 今日けふ見つるかも
薩摩さつま瀬戸 今日わし見たで 遥々はるばると 雲の彼方かなたの ここ辿たどり来て》
                         ―長田王ながたのおおきみ―(巻三・二四八)
                         【天武皇子長皇子ながのみこの子長田王とは別人らしい】

          景行けいこう天皇 巡行みぎり 
          葦北あしきた小島 泊まりし折りに
          供御くご賜るに 飲み水所望しょもう
          聞いたひだり 探すが有らず
          天神てんじん仰ぎ 地祇ちぎ祈らせば
          不思議や崖に 湧き水ずる
          ってこの島 「水島」名
                     日本書紀 景行天皇十八年の条)
















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■日めくり万葉集Vol・2(244)ひさかたの

2014年03月01日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
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【三月十六日】放映分
ひさかたの あまの原より たる 神のみこと 奥山の 賢木さかきの枝に  白香しらか付け 綿取り付けて 斎瓮いはひべを いはひ掘りゑ 竹玉たかだまを しじき垂れ 猪鹿ししじもの ひざ折り伏して 手弱女たわやめの 襲衣おすひ取り懸け 
《雲分けて はるかな天の 高みから くだりこられた 神さんに 山からった 榊枝さかきえだ 白髪しらが木綿ゆうと 取り付けて 御神酒おみきの壷を 掘ってえ 竹玉多数いっぱい つり下げて けものみたいに ひれ伏して か弱い女 祈布ぬの掛けて》
かくだにも 我れはひなむ 君に逢はじかも
《こんな懸命いっぱい 祈るんや どうかあの人 逢わして欲しと》
                         ―大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめ―(巻三・三七九)


【万葉歌みじかものがたり】平城ならの明日香を》

 空気が違うわ
  飛鳥のは 澄んではいるが 重苦しい
 平城ならの明日香は 華やぎの香り
 私は やはりここがい)

故郷ふるさとの 飛鳥あすかはあれど あをよし 平城なら明日香あすかを 見らくし好しも
故郷ふるさとの 飛鳥えけど ここ平城ならの 明日香見てるん うちにはえな》
                         ―大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめ―(巻六・九九二)
世の常に 聞けば苦しき 呼子鳥よぶこどり 声なつかしき 時にはなりぬ
平時いつもなら 聞く気せえへん 郭公鳥かっこどり 気持ち聞ける 季節ときになったで》
                         ―大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめ―(巻八・一四四七)

平城風ならかぜに染まる 心に 
恋の奴が たわむれかかる

心ぐき ものにぞありける 春霞 たなびく時に 恋のしげきは
《恋心 つのってるとき 春霞 ぼんやりかり うちうっとしわ》
                         ―大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめ―(巻八・一四五〇)
いとまみ ざりし君に 霍公鳥ほととぎす れかく恋ふと 行きて告げこそ
ひまいて ん人に ほととぎす 恋しがってる い行ててや》
                         ―大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめ―(巻八・一四九八)
五月さつきの 花橘を 君がため たまにこそけ 散らまく惜しみ
《散らすんが 惜して橘 花繋ぎ 薬玉たまにしてんや あんたをおもて》 
                         ―大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめ―(巻八・一五〇二)
夏の野の  繁みに咲ける 姫百合の 知らえぬ恋は 苦しきものぞ
 知られんで 独り思てる 恋苦し 夏の繁みで 咲く百合みたい》 
                         ―大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめ―(巻八・一五〇〇)

ひさかたの あまの原より たる 神のみこと 奥山の 賢木さかきの枝に  白香しらか付け 綿取り付けて 斎瓮いはひべを いはひ掘りゑ 竹玉たかだまを しじき垂れ 猪鹿ししじもの ひざ折り伏して 手弱女たわやめの 襲衣おすひ取り懸け 
《雲分けて はるかな天の 高みから くだりこられた 神さんに 山からった 榊枝さかきえだ 白髪しらが木綿ゆうと 取り付けて 御神酒おみきの壷を 掘ってえ 竹玉多数いっぱい つり下げて けものみたいに ひれ伏して か弱い女 祈布ぬの掛けて》
かくだにも 我れはひなむ 君に逢はじかも
《こんな懸命いっぱい 祈るんや どうかあの人 逢わして欲しと》
                         ―大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめ―(巻三・三七九)
木綿畳ゆふだたみ 手に取り持ちて かくだにも 我れはひなむ 君に逢はじかも
木綿布ゆうぬのを 手にし願うよ 一生懸命けめ どうかあの人 逢わせて欲しと》
                         ―大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめ―(巻三・三八〇)
 運の悪い郎女
旅人たびとも亡くし
ない心の 置きどこを求め続ける



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