犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

★完全踏破:自分へのご褒美

2007年08月29日 | 紀行アラカルト
やはり 野におけ れんげそう

平成19年8月25日
能登、「珠洲の海」を掉尾(とうび)に
「万葉の旅」を訪ねる旅は 完全踏破となった。
自分へのご褒美は せっかく能登まで来たのだからと 決めていた。

「旅亭万葉」


犬養先生の歌碑が 庭に 三基ある旅館だ。
先生の教え子で「万葉の道」の著者 扇野聖史氏ゆかりの旅館だ。
”ひとり宿泊”の困難が予想される。
予約に先立って 万葉紀行の趣旨・「満願ご褒美」の旨
お知らせのFAXを 送信した。
電話では まどろっこしくて 趣旨不伝達の虞を 思ったからである。
「そうゆうことなら」と快諾。

譲り受けたままの施設で 手は加えられていないとのこと。
2000坪の敷地に 数奇屋風の建物。客室数10。
「贅を尽くした」
とは このことか。

黄昏(たそがれ)が迫っていた。
旅装そのままに 歌碑を訪問。
一基は 枯山水の中庭の築山に
犬養先生の揮毫歌。
「たくぶすま 白山風の 寝なへども
      児ろがおそきの あろころ良しも」
配置といい 歌碑の色合いといい 周囲との溶け込み具合といい 申し分なし。

あとの二基は 貴賓室にあるとか。
とくべつに お願いして 通して頂く。
部屋の 東から南にかけて 池を廻らせた 回遊式の大庭園。
南庭の池に架けられた 石橋の傍らに 能登島の歌碑。
「とぶさ立て 舟木伐るといふ 能登の島山
      今日見れば 木立繁しも 幾代神さびそ」

東の庭の池の 中島に 机の島の歌碑。
「鹿島嶺の 机の島の 小螺(しただみ)を・・・・・・」

静寂の中に 凛とした佇まい。
すこし気取って見えたのは 貴賓室と聞かされた精か。

あとで分かったのは 貴賓室は「頭取用の部屋」だったとのこと。
はたして こんな贅沢な部屋に 泊まるの人はどれほどあるのだろうか。
宿泊者があるときは 他の客は 歌碑を見られるのか。

歌碑よ 寂しくないか。

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★机の島ーしただみ

2007年08月28日 | 紀行アラカルト
われはもや 机島来たり 先生の 号泣しとう 机島来たり

万葉紀行 最後の行程は多少難航した。
机島へ渡るすべがない。
かつてあった遊覧船も今はない。
旅館に問い合わせても 船を持っていない。
釣り船のお客は対応しているが・・・・ との返事。

観光協会にTEL。
船を出してくれる宿の調べを頼み
やっとのことで見つけてもらった。
能登島「はまづる」。
場所は能登島曲(机島に遠い)であるが 和倉温泉に船を一艘舫(もや)っているとのこと。
お世話になることとした。

すこし波は高いが 船は船着場を離れ 机島へ。
瀬嵐の先に垂れ下がるような種子島。
その先っぽに こじんまりした机島が見える。
潮の引いたとき 二つの島は つながるそうな。

島に近づいたとき 東方より 全島写真。
南・西を回り込むようにして北の着船場へ。
ポツポツと柱杭が見える。桟橋は落ちてしまっている。
鉤のついた棒で 杭を岩を手繰り寄せて着岸。

ひとり船から下りる。
水べりを廻るように かろうじて通路がある。
道もなく 草ぼうぼうかと思ったが 意外と通りやすい。
西へ回り込んだところに 歌碑はあった。
御影石の表面が 光っている。
「かしまねの 机の島の しただみを ・・・・・・」
のうたが刻み込まれている。
ここで 犬養先生は 奥さんとの渡島を思い出されて 号泣・嗚咽されたらしい。
しばし 歌碑を眺め 歌碑をなで おもむろに写真を撮る。


碑の周りは意外と草の繁茂はない。
よく見ると 草の先が尖っていない。
誰か 少し前に刈り取った人がいるのだ。
歌碑の表面が光っていたのも 磨いたのかも知れない。
歌碑を訪ねる人がいたのだ。
先生は一人ぼっちではなかったのだ。
■しただみ

歌碑の訪問を終え 船に戻ってみると
旅館主人の高木さんが 近づいてきた。
「これが しただみ ですよ」
小さな巻貝が いくつか 手の中にあった。
私も少し拾って 塩揉みしたのを 夕食の膳に出してもらった。
素朴な味だった。
犬養先生も ここへ来たとき 味わわれたに相違ない。

■私の写真

 
■「万葉の旅」写真


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★珠洲の海ーわびしさ漂う

2007年08月28日 | 紀行アラカルト
能登島を後に、珠洲へと向かう。
のと鉄道が 2年前の4月に穴水~蛸島間廃線。
穴水からはバスの乗り継ぎだ。
特急バスを使っても 和倉から珠洲鉢ヶ崎まで2時間半。
特急バスは 日に2往復。
生活者にとっても 旅行者にとっても 不便この上ない。
と 思うのは私ひとりか?
生活は 車利用が定着しており 旅行者は レンタカーだ。
免許を持たない 絶滅危惧種の 私には やはり不便。
鉢ヶ崎到着から帰りのバスまで 約2時間。
その間に 先生の撮影場所を探し 写真を撮らねばならない。

撮影場所は 三崎町寺家(じけ)海岸とある。
寺家の集落の海岸は長い。
端から探すしかない。
海岸沿いは 護岸堤防があるばかり。
波の打ち寄せる 砂浜はない。
ちいさな砂地を見つけても 苫家など ありもしない。
それでも 犬養先生のご加護。
苫家とは行かないが やっと 錆びたトタン屋根の船小屋を見つけた。
波の動きを見ながらの撮影。

これが309箇所目の写真だ。

鬱蒼とした森に抱かれた 須須神社では ひぐらしの声が 静寂に沁みていた。

■私の写真 


■「万葉の旅」写真
 

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□メッセージ(2007.8.16~2007.9.1)

2007年08月23日 | メッセージ
■平成19年9月1日
アラカルト<完全踏破:自分へのご褒美>を追加掲載しました
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■平成19年8月25日
309万葉故地、全制覇しました。
能登、「机の島」「珠洲の海」が最後でした。
友人・知人のメール、ブログへのコメント、ハガキによる励ましの後押しで達成できました。
ありがとうございました。
その他にも、かげながら応援頂いた大勢の方々がおられると思います。
ありがとうございました。
何よりも犬養先生のご加護があったと思います。

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■平成19年8月23日
壱岐・対馬を含む、九州(二)の今昔を一挙掲載。
「紀行アラカルト」は後日の掲載にします。
取りあえず、冥界からの脱出のため。
<紀行今昔>へ

■平成19年8月22日
「みみらくの崎」へ行ってきました。
酷暑の中、空・海・浜は静まりかえって、そこにありました。
蝉の声だけが夏の世界を占めていました。
 ☆行く夏を 追うがごとくに 蝉しぐれ☆
20日と21日の夢に、生徒を連れた万葉旅行の犬養先生が出てきました。
冥界に触れたのでしょうか。
そういえば、五島は高校の恩師、故「山本初枝」先生の故里でもありました。

冥界離れのため、早急に整理し、ブログ化します。

■平成19年8月20日
明日、いよいよ五島列島に行きます。
みみらくの崎です。
志賀の白水郎荒雄が対馬へ向けて出航し遭難したのがここだ。
みみらくに行くと冥界の人に会えるという(蜻蛉日記)<「万葉の旅」記載>

■平成19年8月18日(2)

大朗報!!
「犬養万葉記念館」から連絡あり。
お願いした、
”万葉今昔(犬養先生の「万葉の旅」と私の撮った写真を併載したもの)の寄贈”
の承諾がありました。
全踏破にあと少し。
「万葉今昔」309の全作成には時間がかかりそうですが、奮励努力します。
うれしいナ。
■平成19年8月18日(1)
☆犬養万葉記念館で「中村先生じゃないですか?」
☆ちょっと怪訝な顔をしていると「玉出の川上です」
☆「週末にはいつも明日香辺りに来て、写真を撮ってます」
★仕事上ではわからないお互いの意外な側面を見た瞬間でした
★川上さんは、写真で賞を取ったことがあるそうです
★いい「夕日の写真」を!!

■平成19年8月16日
☆8/13~8/15、友人知人に「残暑見舞い」にかこつけてブログ開設を案内
☆早速に、励ましのコメント・メールを頂く
☆勇気を得て、ブログ進化・今昔整理・紀行アラカルトの作成に取り組もう


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