■七五調 源氏物語■
平成26年3月の刊行開始に先立ち
本ブログに於いて 先行掲載をすることにしました。
正式タイトルは
『古語紛い・腑に落ち・まんま訳 七五調 源氏物語』
です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/fb/d5ee08e81da5abff54e5c3733a3f945c.jpg?random=c0d706a62293f8f3ec6a54b4fc626342)
まずは 現代訳に取り組む事とした趣旨を「はじめに」として掲載します。
■は じ め に■
とある夜夢に 立ちたるは
女房装束 姿なの
才長け見えし 女性にて
何や心痛き 面持ちに
我れの枕辺 座り為し
嘆き言の葉 申すには
『時空飛来の からくり乗りて
今のこの世に 来たりてみれば
私作りし 語りの物を
今風なりに 写して作る
某源氏 様々あるを
とくと眺めて 読み解き見るに
およそ二つの 類と見たり
先ずは私の 元物語
噛みて砕きて 我が物と為し
読み易きにと 編み変え為すの
さながら作者 今人なるは
面白きにも 我が意と為さず
またの一つは 元物語
私作りし 流れに則し
言葉古きを 今にと変えて
忠実なるに 訳してあれど
古言訳す 辞書さながらに
読むに飽きるの 物とぞ見ゆる
さらに二つの 類は共に
私作りし 古きの時代
言わず語らず 分かりしことを
私略して 書かざるなるを
時経るにしも 朧となるや
写筆写筆の 重なる度の
過ち積り 通じずなるを
新た解釈 改変為すの
あれやこれやの 歪みの故に
我が意離れの 語りの流れ
ぎくしゃくなりて 腑に落ちぬ箇所
数多にありて 読み手は惑い
遺志の固きに 読み進みしの
須磨の返りは まだしもなるに
気軽取り組み 紙繰りしなの
桐壺挫折 累々なるを
知りての嘆き 堪え難かりし』
夢中なるの 我れはしも
「如何に為よとぞ 現れし
我れは力の さも無きに」
言いしに女性 答えるは
『すでに分別 為したる通り
私式部の 紫にてぞ
汝が訳せし 万葉歌の
今に易きの 七五の訳で
詠い作者の 思いの全て
捉え心情の 機微鮮やかに
蘇らせし 評判を聞くに
汝に頼めば 我が物語
古語を使いて 七五の調べ
我れの編みたる 展開まんま
腑に落ち訳を 見事と為せば
読み手喜び 嬉々とに読みて
広きに流布 我が意に添うと
時空飛来の からくりに乗り
汝が夢中 出で来せるなり』
「されど長きの 物語
訳す歳月 ただならず
我が身持つやの 気掛かりぞ」
言うに式部は またに言う
『私毎夜に 夢中出でて
元原文を 読み聞かせるに
そなた言葉で 言い換えなせば
すらすら訳の 違いは無しぞ
全て五十四 帖にてあるも
これを十五に 小分けとなして
一つ二月 こなせばなんと
二年半ば 楽々なるに
諾と申せや もう夜が明ける』
斯くなる次第 始めしに
およそ二月 一の巻
物足り無きの 出来なるも
形整い 出で来しを
世に問う恥を ここ晒す
やがてある夜に 来し式部
『言い忘れしの ことあり来たる
汝のもの為す 訳文なるを
読むに一夜に 一巻全て
止まず一息 読み果て為せり
この分なれば 源氏物語の全て
読むに一月 掛からずなりや
正に読み手の 福音にてぞ
斯くて礼にぞ 罷りて来しぬ
さらに一言 付け足すならば
我れの原文 並べて読むに
真の我が意が 今世にまさに
速やか伝え 叶うは固し
これを為すにて 副読本に
使い読み為し 然るの後に
講義入れば 捗り早く
聞き手楽しは 違いも無しぞ
夢と疑う ことこそ無けれ』
斯くて式部の 夢出で来ずに
平成26年3月の刊行開始に先立ち
本ブログに於いて 先行掲載をすることにしました。
正式タイトルは
『古語紛い・腑に落ち・まんま訳 七五調 源氏物語』
です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/fb/d5ee08e81da5abff54e5c3733a3f945c.jpg?random=c0d706a62293f8f3ec6a54b4fc626342)
まずは 現代訳に取り組む事とした趣旨を「はじめに」として掲載します。
■は じ め に■
とある夜夢に 立ちたるは
女房装束 姿なの
才長け見えし 女性にて
何や心痛き 面持ちに
我れの枕辺 座り為し
嘆き言の葉 申すには
『時空飛来の からくり乗りて
今のこの世に 来たりてみれば
私作りし 語りの物を
今風なりに 写して作る
某源氏 様々あるを
とくと眺めて 読み解き見るに
およそ二つの 類と見たり
先ずは私の 元物語
噛みて砕きて 我が物と為し
読み易きにと 編み変え為すの
さながら作者 今人なるは
面白きにも 我が意と為さず
またの一つは 元物語
私作りし 流れに則し
言葉古きを 今にと変えて
忠実なるに 訳してあれど
古言訳す 辞書さながらに
読むに飽きるの 物とぞ見ゆる
さらに二つの 類は共に
私作りし 古きの時代
言わず語らず 分かりしことを
私略して 書かざるなるを
時経るにしも 朧となるや
写筆写筆の 重なる度の
過ち積り 通じずなるを
新た解釈 改変為すの
あれやこれやの 歪みの故に
我が意離れの 語りの流れ
ぎくしゃくなりて 腑に落ちぬ箇所
数多にありて 読み手は惑い
遺志の固きに 読み進みしの
須磨の返りは まだしもなるに
気軽取り組み 紙繰りしなの
桐壺挫折 累々なるを
知りての嘆き 堪え難かりし』
夢中なるの 我れはしも
「如何に為よとぞ 現れし
我れは力の さも無きに」
言いしに女性 答えるは
『すでに分別 為したる通り
私式部の 紫にてぞ
汝が訳せし 万葉歌の
今に易きの 七五の訳で
詠い作者の 思いの全て
捉え心情の 機微鮮やかに
蘇らせし 評判を聞くに
汝に頼めば 我が物語
古語を使いて 七五の調べ
我れの編みたる 展開まんま
腑に落ち訳を 見事と為せば
読み手喜び 嬉々とに読みて
広きに流布 我が意に添うと
時空飛来の からくりに乗り
汝が夢中 出で来せるなり』
「されど長きの 物語
訳す歳月 ただならず
我が身持つやの 気掛かりぞ」
言うに式部は またに言う
『私毎夜に 夢中出でて
元原文を 読み聞かせるに
そなた言葉で 言い換えなせば
すらすら訳の 違いは無しぞ
全て五十四 帖にてあるも
これを十五に 小分けとなして
一つ二月 こなせばなんと
二年半ば 楽々なるに
諾と申せや もう夜が明ける』
斯くなる次第 始めしに
およそ二月 一の巻
物足り無きの 出来なるも
形整い 出で来しを
世に問う恥を ここ晒す
やがてある夜に 来し式部
『言い忘れしの ことあり来たる
汝のもの為す 訳文なるを
読むに一夜に 一巻全て
止まず一息 読み果て為せり
この分なれば 源氏物語の全て
読むに一月 掛からずなりや
正に読み手の 福音にてぞ
斯くて礼にぞ 罷りて来しぬ
さらに一言 付け足すならば
我れの原文 並べて読むに
真の我が意が 今世にまさに
速やか伝え 叶うは固し
これを為すにて 副読本に
使い読み為し 然るの後に
講義入れば 捗り早く
聞き手楽しは 違いも無しぞ
夢と疑う ことこそ無けれ』
斯くて式部の 夢出で来ずに