犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(003)かくばかり

2011年04月09日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は ご覧になれません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【三月三十日】放映分

かくばかり ひつつあらずは 高山の 磐根いはねきて 死なましものを

《いっそ死の こんなくるして 悩むなら 奥山行って 岩枕して》
                         ―磐姫皇后―(巻二・八六)



【万葉歌みじかものがたり】《わが黒髪に》

磐姫いわのひめは 深く 仁徳にんとくを おもっていた
葛城かつらぎ襲津彦そつひこの勢力を 後ろだてとしたとは言え 熾烈しれつな 皇位継承争いを勝ち抜き 
大王だいおうの地位を得たのは 仁徳の 知力と勇気
私は この世で 一番と言ってよい男の なのだ
でも でも でも でも 
これだけは  せない
私の 留守をいいことに あの手弱たおやかな あやつ 八田皇女やたのひめみこを きさきにするなんて

「姫さま そねみ心も 程々ほどほどが 良うございます」
とつぐときからの 老女が言う
「熊野もうでの帰途 難波の宮に寄らず 山城の この筒城宮つづきのみやはいられては 大王だいおうの顔が立ちませぬ」 
「お迎えの 使いが 再三さいさん られたでは ありませぬか」

【堺市・仁徳陵にある磐姫歌碑】

ついに 仁徳みずからのむかえが来る
平身低頭 諄々じゅんじゅんと説く 仁徳 
手を着かんばかりの 
磐姫いわのひめ 自尊が 許さない
「もう いい  って!」

(なぜ ついて かなかったのだろう
 いいえ  くものですか
 どうして わたしは こうも ・・・)

君が行き 長くなりぬ 山たづね むかへか行かむ ちにか 待たむ
《あんたはん 行ってしもうて なごうなる うちから行こかな それともとか》
                         ―磐姫皇后―(巻二・八五)
かくばかり ひつつあらずは 高山の 磐根いはねきて 死なましものを
《いっそ死の こんなくるして 悩むなら 奥山行って 岩枕して》
                         ―磐姫皇后―(巻二・八六)
ありつつも 君をばたむ 打ちなびく わが黒髪に しもくまでに
《死ぬもんか 生き続けたる あんた待ち うちの黒髪 しろうなるまで》
                         ―磐姫皇后―(巻二・八七)
秋の田の 穂のらふ 朝がすみ 何処辺いづへかたに わがこひまむ
《こんな恋 消えてもえで 霧みたい 行くとこうて ただよう恋は》
                         ―磐姫皇后―(巻二・八八)

愛 深きゆえ 逢わずにえし ふたり
奈良山のふもと 和泉いずみさと 
別れし陵墓りょうぼ 離れて和すか


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