犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(164)田子の浦ゆ

2012年12月22日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【十一月十一日】放映分
田児の浦ゆ うちでて見れば ま白にぞ 富士の高嶺に 雪は降りける
《田子の浦 回って見たら パッと富士 山上やまうえ白う 雪降っとるで》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻三・三一八)

【万葉歌みじかものがたり】田児 の浦ゆ》

 うわぁ 富士のお山だ!」
赤人あかひとは 思わず声を上げた

駿河の国 庵原郡いばらのこおり由比ゆい
狭隘きょうあいな 崖にかる海沿いのみち
足元 に気を集め 歩を運ぶ赤人
やっと険路けんろはずれ 崖のふちめぐる平坦道に
ふと 仰ぐ目に 富士が飛びこむ
 突く 霊峰
まぶしい  雪
威容 に虚を突かれ 立ちつくす赤人
やがて 
胸深く 思いがあふれ 調べとなる

田児の浦ゆ うちでて見れば ま白にぞ 富士の高嶺に 雪は降りける
《田子の浦 回って見たら パッと富士 山上やまうえ白う 雪降っとるで》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻三・三一八)

生まれたばかりの歌を 反芻はんすうする赤人
 思わず出来てしまった歌だ
この歌を生かすには たたえる長歌が欲しい)

天地あめつちの わかれし時ゆ 
かむさびて 高くたふとき 
駿河 なる 富士の高嶺を 
あまの原 振りけ見れば 
渡る日の 影もかくらひ 
照る 月の 光も見えず 
白雲 も い行きはばかり 
 じくぞ 雪は降りける 
語り つぎ 言ひつぎ行かむ 
富士 の高嶺は

天地てんちのできた 昔から 
神々こうごうしいて 崇高けだかしい
駿河 の国の 富士の山
振り仰いで も 高過ぎて
日ぃ隠されて  よう見えん 
 の光も 届かへん
白雲なずみ よう行かん
雪は常時いっつも 降っとおる
語り伝えて  言い継ごう
富士 の高嶺の この尊さを》
                         ―山部赤人やまべのあかひと―(巻三・三一七)

赤人をうた上手じょうずとする 長・短歌の誕生であった



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