犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(163)古に

2012年12月19日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【十一月十日】放映分

いにしへに ありけむ人も わがごとか いもに恋ひつつ ねかてずけむ
おんなじか 昔の人も ワシみたい 焦がれ恋して 寝られへんのは》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻四・四九七)

【万葉歌みじかものがたり】《浦の浜木綿はまゆふ

 なんとした ことか)
人麻呂は 苛立いらだっていた
文机ふづくえを前に 小半時こはんとき
(ええい 言葉が むすべぬ
 天皇すめらみことの 寿ことほぎ歌 
 身罷みまかびとへの き歌
   次々と 口をついて 出るものを
 女人おみなへの 思い歌
 それ も わが思い歌 となると 結べぬ)
人麻呂は 仰向あおむだおれに 天井を見る
 を つぶる
閉じた目に 軽郎女かるのいらつめ

「抜くのじゃ おのが身から 思いを抜くのじゃ」
もう一人の 人麻呂が ささやきかける

み熊野の 浦の浜木綿はまゆふ 百重ももへなす こころへど ただはぬかも
浜木綿はまゆうの 葉ぁ幾重いっぱいに 茂ってる 思いもやが よう逢い行かん》
いにしへに ありけむ人も わがごとか いもに恋ひつつ ねかてずけむ
おんなじか 昔の人も ワシみたい 焦がれ恋して 寝られへんのは》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻四・四九六、四九七)
 出来たぞ 出来た
 われにも あらぬ うぶな歌じゃ)

 この歌を 贈るとして 返し歌は どうかな)
今のみの 行事わざにはあらず いにしへの 人ぞまさりて にさへきし
《今だけの こととはちごて 昔かて 恋して泣いた 今よりもっと》
百重ももへにも 来及きしかぬかもと 思へかも 君が使つかひの 見れどかざらむ
何遍なんべんも 来て欲し思う あんたから 使い来るたび 見るたびずっと》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻四・四九八、四九九)

(自分で 返し歌まで むか)
人麻呂のほおは ゆるんでいる

喪の明けやらない 人麻呂に 恋のやっこが 取り付いた

未通女をとめらが そで布留山ふるやまの 瑞垣みづかきの 久しき時ゆ 思ひきわれは
《布留山の 瑞垣みずがき古い なごずっと なごうずうっと 思てんやわし》
夏野行く 牡鹿をしかの角の つかも 妹が心を 忘れて思へや
なつ牡鹿しかの つの短いで そんなも 忘れてへんで お前の気持ち》
玉衣たまきぬの さゐさゐしづみ 家の妹に 物言はずにて 思ひかねつも
《バタバタと 出て来て仕舞しもて お前には 何も言わんで 気にしとんやで》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻四・五〇一~五〇三)
君が家に わが住坂すみさかの 家道いへぢをも 我れは忘れじ 命死なずは
 あんた家 うち住みたいで そこへ行く 道忘れへん 死ぬまでずっと》
                         ―柿本人麻呂妻かきのもとのひとまろのつま―(巻四・五〇四)

離れ住む二人の 歌り取りが続く



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