犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(121)昨日こそ

2012年07月04日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【九月十三日】放映分
昨日こそ 君はありしか 思はぬに 浜松のうへに 雲に棚引く
《昨日まで 確か生きてた あんたやに 今日は雲なり 棚引たなびいてるが》
                          ―大伴三中おおとものみなか―(巻三・四四四)

【万葉歌みじかものがたり】しきこの世を》

都離れて めい受けて 任地赴く 人あれば
生まれ故郷ふるさと 親子置き 都出向きの 人も

摂津の国の 班田はんでん役の
書記を勤める 竜麻呂たつまろ丈部はせべ
任務苦労で 気鬱きうつが積もり
精神こころ病み果て 己首おのくびくく
時に上役 大伴三中おおともみなか
憐れ 思うて この歌作る

天雲あまくもの 向伏むかぶす国の 大夫ますらをと 言はれし人は 
《「わしの生国しょうごく 故郷ふるさとの ほまれ言われる 人こそは》 
天皇すめろきの 神の御門みかどに に 立ちさもらひ うちに 仕へまつりて 玉葛たまかづら いやとほ長く おやの名も ぎ行くものと 
天皇すめらみことの おまいの 御門ごもん警護けいごの ご奉仕ほうしと 内のお役目やくめ げて 行く末なごう ご先祖せんぞの 名誉伝えて 行くべし」と》
母父おもちちに 妻に子どもに 語らひて 立ちにし日より 垂乳根たらちねの 母のみことは 斎瓮いはひへを まへゑ置きて 片手には 木綿ゆふ取り持ち 片手には 和栲にきたへまつり たひらけく まさきくいませと 天地あめつちの 神をみ 
《母父妻と 子にさとし 伝えて任地にんち 出た日から あとに残りし その母が 御酒みきつぼ前に え置いて 片手に木綿ゆうを 取り持って 片手和栲にきたえ 捧げ持ち 恙無つつがの無事で 居れよとて 天地てんちの神に 祈りして》 
いかにあらむ としつきにか つつじ花 にほへる君が 鳰鳥にほどりの なづさひむと 立ちてて 待ちけむ人は 
《年月めぐり 日が来たら いとし息子に 逢えるかと がれ待ってる その人は》 
大君おほきみの みことかしこみ 押し照る 難波なにはの国に あらたまの 年るまでに 白栲しろたへの ころもさず あさよひに ありつる君は 
《国から受けた にんのため 難波なにわの宮で 何年も 身着みきのまま 日々ひび過ごし 朝晩あさばんしに 一所いっしょ懸命けめ つとったが 何事や》
いかさまに 思ひませか うつせみの しきこの世を つゆしもの 置きてにけむ 時にあらずして 
《どないおもたか 分らんが この世を捨てて って仕舞た まだまだ若い 身空みそらやに》  
                          ―大伴三中おおとものみなか―(巻三・四四三)
昨日こそ 君はありしか 思はぬに 浜松のうへに 雲に棚引く
《昨日まで 確か生きてた あんたやに 今日は雲なり 棚引たなびいてるが》
                          ―大伴三中おおとものみなか―(巻三・四四四)
いつしかと 待つらむ妹に 玉梓たまづさの ことだに告げず にし君かも
《帰るんを 待ってる妻に 一言ひとことの 言伝ことづてなしに って仕舞しもうて》
                           ―大伴三中おおとものみなか―(巻三・四四五)



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