ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

■訳してみよう万葉集■<その102>諾児なは

2012年11月01日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その102>

●題材歌

うべなは ぬにふなも つくの のがなへ行けば こふしかるなも
                          ―東 歌―(巻十四・三四七六)

●現代訳

① ―

② ― 

③ ―

④たしかに、あの子は私に恋しているらしい。月々が立ちつづけていくと、恋に苦しいことだろう。

⑤無理もない、あの子は今頃私に頻りに焦がれているのであろう。新月がどんどん流れて行くのだから、さぞかし逢いたがっていることだろう。

⑥ ―

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《そやあの児 きっとこのわし れとんや 逢えん日いと 恋しいやろな》


さあ あなたの訳は 如何ですか?



■訳してみよう万葉集■<その101>伊香保ろの

2012年10月29日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その101>

●題材歌
伊香保ろの 沿ひの榛原はりはら 我がきぬに きよらしもよ 一重ひたへと思へば
                           ―東 歌―(巻十四・三四三五)

●現代訳

① ―

② ― 

③ ―

④伊香保山沿いの榛の木の原は私の衣につきやすいよ。お前の心を一重の一途な心と思うと。

⑤伊香保の山の麓の榛の木の原、この原の木は俺の着物に、ぴったり染まり付くようないい具合だ。着物は一重で裏もないことだし。

⑥ ―

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《伊香保山 ふもとはん う染まる わしに染まりや 一途いちずな気ぃで》

さあ あなたの訳は 如何ですか?

さて <その99><その100><その101>を「万葉歌みじかものがたり」にすると・・・

真間ままつぎはし

眺める だけの 時過ごし
  やっと逢うまで 漕ぎつけた

案ずるよりも 生む方がやす
手にしたあの児 可愛かわいてならん

柵越くへごしに 麦小馬こうまの はつはつに 相見し子らし あやにかなしも
柵越さくごしに 仔馬食う麦 一寸ちょっとだけ 一寸ちょっと逢うた児 可愛かわいてならん》
                           ―東 歌―(巻十四・三五三七)
柵越せごし 麦む駒の はつはつに 新肌にひはだ触れし 児ろしかなしも
柵越さくごしに 仔馬食う麦 一寸ちょっとだけ 一寸ちょっと肌触れた児 可愛かわいてならん》
                           ―東 歌―(巻十四・三五三七 或る本)
かみ毛野けの まぐはしまとに 朝日さし まきらはしもな ありつつ見れば
まとに射す 朝日みたいに まぶしいな お前まっすぐ 見続けとると》
                           ―東 歌―(巻十四・三四〇七)
あしひきの 山沢やまさは人の 人さはに まなと言ふ子が あやにかなしさ
山沢やまさわの 村人むらびとみんな 手出すなと 言うて守る児 えろ可愛かいらしで》
                           ―東 歌―(巻十四・三四六二)

可愛いさこうじ 逢いたさ募る
見てて 欲しんや このワシ一人

おとせず 行かむ駒もが 葛飾の 真間の継橋つぎはし やまずかよはむ
《足音の てへん馬が 無いもんか 真間の継橋 来続けたいで》
                           ―東 歌―(巻十四・三三八七)
しも毛野けの 三毳みかもの山の 小楢こならのす まぐはし児ろは か持たむ
三毳山みかもやま 小楢こならみたいに 可愛かいらし児 誰のめし盛る そらワシやんか》
                           ―東 歌―(巻十四・三四二四)

待つはつらいが 逢うのは嬉し
逢えばうたで 別れがつら

遅速おそはやも をこそ待ため むかの しひ小枝こやでの 逢ひはたがはじ
おそうても わし待ってるで しいの枝 かさなるみたい 逢えるんやから》
                           ―東 歌―(巻十四・三四九三)
逢はずして 行かばしけむ 麻久良我あくらがの 許我こが漕ぐ船に 君も逢はぬかも
 逢わんまま 別れん惜しで 渡し場の 船であんたに 逢われんもんか》
                           ―東 歌―(巻十四・三五五八)
伊香保ろの 沿ひの榛原はりはら 我がきぬに きよらしもよ 一重ひたへと思へば
《伊香保山 ふもとはん う染まる わしに染まりや 一途いちずな気ぃで》
                           ―東 歌―(巻十四・三四三五)
白遠しらとほふ 小新田山をにひたやまの る山の うらなな 常葉とこはにもがも
小新田山おにいたで 守り育てる 木やあの児 葉枯らすことう 緑で居って》
                           ―東 歌―(巻十四・三四三六)


■訳してみよう万葉集■<その100>下つ毛野

2012年10月25日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その100>

●題材歌

しも毛野けの 三毳みかもの山の 小楢こならのす まぐはし児ろは か持たむ
                          ―東 歌―(巻十四・三四二四)



●現代訳

① ―

② ― 

③ ―

④下野の三毳みかも山の小楢こならのように美しいあの子は、どんな男を夫としてをもつのだろう。

⑤下野の三毳みかもの山に生い立つ小楢こならの木、そのみずみずしい若葉のように、目にもさわやかなあの子は、いったい誰のお椀を世話することになるのかなあ。

⑥ ―

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

三毳山みかもやま 小楢こならみたいに 可愛かいらし児 誰のめし盛る そらワシやんか》

さあ あなたの訳は 如何ですか?




■訳してみよう万葉集■<その99>あしひきの

2012年10月22日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その99>

●題材歌

あしひきの 山沢やまさは人の 人さはに まなと言ふ子が あやにかなしさ
                           ―東 歌―(巻十四・三四六二)

●現代訳

① ―

② ― 

③ ―

④あしひきの山沢に住む人のように人がさわに「まな」(いけない)というあの子が、ふしぎに愛しいことだ。

⑤あしひきの山沢の人びとが、沢中こぞって手出しをしてはいけないと言っている子、その子がむしょうにいとしくてならぬこのせつなさよ。

⑥ ―

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

山沢やまさわの 村人むらびとみんな 手出すなと 言うて守る児 えろ可愛かいらしで》

さあ あなたの訳は 如何ですか?




■訳してみよう万葉集■<その98>真金ふく

2012年10月18日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その98>

●題材歌

真金まかねふく 丹生にふ真朱まそほの 色に出て 言はなくのみぞ が恋ふらくは
                          ―東 歌―(巻十四・三五六〇)

●現代訳

① ―

② ― 

③ ―

④金を作り出す丹生の赤土のように目立っては言葉をかけないだけだ。わが心の恋は。

⑤金を吹き分ける丹生、その地で採れる真っ赤な土の色のように、おもて、そう、あらわに口に出して言わないだけのこと。私が恋い焦がれているこの思いは。

⑥ ―

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

きんつくる 赤土あかつちみたい 表立ち わへんだけや れてるけども》

さあ あなたの訳は 如何ですか?

さて <その96><その97><その98>を「万葉歌みじかものがたり」にすると・・・

●行かくししも●
  
うぶな男も じっとせず 恐る恐るに 声掛ける

つのる思いを 乙女は耐える
我慢出来できんは 男の方か
出向き声掛け 仕様しようとするが
そばに行ったら 心がえる

かみ毛野けの 乎度をど多杼里たどりが 川道かはぢにも 児らは逢はなも 一人のみし
多杼里たどり村 川沿い道で ひょっとして あの児逢えんか 人知られんで》
                          ―東 歌―(巻十四・三四〇五)
かみ毛野けの 小野をの多杼里たどりが 逢はにも なは逢はなも 見る人なしに
多杼里たどり村 道の出会いで 邪魔じゃましに あの児にひょいと 逢われんもんか》
                           ―東 歌―(巻十四・三四〇五或る本)
かみ毛野けの 伊香保のろに 降ろよきの 行き過ぎかてぬ 妹が家のあたり
伊香保嶺いかほねに 降る雪ちゃうが き悩む お前の家の 前うろうろと》
                          ―東 歌―(巻十四・三四二三)
さ男鹿の 伏すや草むら 見えずとも ろが金門かなとよ 行かくししも
《あの児ん るからんか わからんが 前とおるんは わくわくするよ》
                          ―東 歌―(巻十四・三五三〇)
細石さざれいしに 駒をさせて 心いたみ ふ妹が 家のあたりかも
《石道を 馬走らして 胸痛い(可哀想や) 恋し児の家 すぐそば来てて(胸痛い)》
                          ―東 歌―(巻十四・三五四二)
真金まかねふく 丹生にふ真朱まそほの 色に出て 言はなくのみぞ が恋ふらくは
きんつくる 赤土あかつちみたい 表立ち わへんだけや れてるけども》
                          ―東 歌―(巻十四・三五六〇)
人皆の ことは絶ゆとも 埴科はにしなの いし手児てごが ことな絶えそね
みんなとは たとえ付き合い 絶えたかて 石井の児とは つながってたい》
                          ―東 歌―(巻十四・三三九八)
たきぎる 鎌倉山の 木垂こだる木を まつとが言はば 恋ひつつやあらむ
《鎌倉の 枝れの木は 松ちゃうが 松〔待つ〕聞いてたら 焦がれへんのに》
                          ―東 歌―(巻十四・三四三三)

男 うずうず 辛抱しんぼうできん
そう は 思うが 引っ込み思案
考えあぐね  思案の末に
腹をくくるに うらない頼る

かみ毛野けの 佐野田さのたなへの 占苗むらなへに 事は定めつ 今は如何いかにせも
佐野さのなえ なえうらないで 決まったで 心めして 妻問つまどい行こか》
                          ―東 歌―(巻十四・三四一八)


■訳してみよう万葉集■<その97>さ男鹿の

2012年10月15日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その97>

●題材歌

さ男鹿の 伏すや草むら 見えずとも ろが金門かなとよ 行かくししも
《あの児ん るからんか わからんが 前とおるんは わくわくするよ》
                          ―東 歌―(巻十四・三五三〇)



●現代訳

① ―

② ― 

③ ―

④鹿が草群に隠れ伏すように、あの子の姿は見えずとも、あの子の門の前を通って行くのは、よいものよ。

⑤雄鹿が伏している草むら、姿の見えないその草むらのように、姿は見えなくても、あの子の門口を通るのは、それだけで気持ちがいい。

⑥ ―

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《あの児ん るからんか わからんが 前とおるんは わくわくするよ》

さあ あなたの訳は 如何ですか?



■訳してみよう万葉集■<その96>上つ毛野

2012年10月11日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その96>

●題材歌

かみ毛野けの 乎度をど多杼里たどりが 川道かはぢにも 児らは逢はなも 一人のみし

                          ―東 歌―(巻十四・三四〇五)


●現代訳

① ―

② ― 

③ ―

④上野の乎度の多杼里の川沿い道で、あの子に逢いたいな。一人だけで。

⑤上野の乎度の多杼里の川沿いの道、一目につかないあんな道ででも、あの子はひょっこり逢ってくれるといいのにな。たったひとりでさ。

⑥ ―

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

多杼里たどり村 川沿い道で ひょっとして あの児逢えんか 人知られんで》

さあ あなたの訳は 如何ですか?




■訳してみよう万葉集■<その95>何(あ)ど思(も)へか

2012年10月08日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その95>

●題材歌

へか 阿自久麻山あじくまやまの 弓絃葉ゆづるはの ふふまる時に 風吹かずかも

                         ―東 歌―(巻十四・三五七二)

●現代訳

① ―

② ― 

③ ―

④どう思うからとて、阿自久麻山のゆずる葉が開き切らない時に、嵐が吹かないといえようか。

⑤いったいどういう気でじっとしているんだ。阿自久麻山の弓絃葉がまだ蕾の時に、風が吹かないなんていうことがあるものかよ。

⑥ ―

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《気ィ付けや つぼみ時分の ゆづりはに 油断してたら 風吹くかもな》

さあ あなたの訳は 如何ですか?

さて <その93><その94><その95>を「万葉歌みじかものがたり」にすると・・・
うけらが 花の●
次なる 歌は 同じくに
 若い男の うぶな歌

乙女一途いちずの 心にくら
若い男も 負けてはらん
垣間かいま見えるは うぶなる男
つたない恋芽 おずおず開く

小里をさとなる 花橘を 引きぢて 折らむとすれど うら若みこそ
《里にある たちばなはなを 折ろおもて 見たら若いで まだ折られんな》
                          ―東 歌―(巻十四・三五七四)
美夜自呂みやじろの 砂丘辺すかへに立てる かほが花 な咲きでそね めてしのはむ
砂丘すなおかに 咲いた昼顔 そっと咲き わしは心で 見ておるよって》
                          ―東 歌―(巻十四・三五七五)

芽生めばえの恋は 早春香り
 知られんと 心に秘めて
大切だいじ大切だいじと 仕舞しもうておくが
伝えたい のは 誰しも同じ

あしひきの 山葛やまかづらかげ ましばにも 得がたきかげを 置きや枯らさむ
滅多めった見ん 日かげかずらや 大切だいじしょう 枯らしたあかん え児やからに》
                          ―東 歌―(巻十四・三五七三)
いかにして 恋ひばか妹に 武蔵野むざしのの うけらが花の 色にずあらむ
《そおおっと 伝えたいんや 恋心 うけらみたいに 目立たんように》
                        ―東 歌―(巻十四・三三七六或る本)
                     (うけら=山野自生の菊科多年草 
                        白または淡紅色の目立たない花が咲く)

伝えたい のは 山々なれど
あの 児気持ちが 確かめられん
人目気になり 気おくれしてる
伝えそびれ は 他人の花よ

左和多里さわたりの 手児てごにい行き逢ひ 赤駒が 足掻あがきをはやみ ことはず
左和多里さわたりの あの児出たが 馬の脚 早よて声掛け 出へんかった》
                         ―東 歌―(巻十四・三五四〇)
ももづ島 足柄小舟あしがらをぶね 歩きおほみ 目こそるらめ 心はへど
《足柄の 小舟ふね漕ぎ回り いそがして 逢われんけども 思てんのやで》
                         ―東 歌―(巻十四・三三六七)
安斉可潟あせかがた 潮干しほひのゆたに おもへらば うけらが花の 色にめやも
《穏やかな 気ィでおったら うけら花 知らん顔して れたんやのに(焦ってからに 顔出て仕舞しもた)》
                         ―東 歌―(巻十四・三五〇三)
へか 阿自久麻山あじくまやまの 弓絃葉ゆづるはの ふふまる時に 風吹かずかも
《気ィ付けや つぼみ時分の ゆづりはに 油断してたら 風吹くかもな》
                         ―東 歌―(巻十四・三五七二)





■訳してみよう万葉集■<その94>いかにして

2012年10月04日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その94>

●題材歌

いかにして 恋ひばか妹に 武蔵野むざしのの うけらが花の 色にずあらむ

                       ―東 歌―(巻十四・三三七六或る本)
              (うけら=山野自生の菊科多年草 白または淡紅色の目立たない花が咲く)



●現代訳

① ―

② ― 

③ ―

④どのようにしたら妻への恋は、武蔵野のうけらの花のように一目につかずにいられようか。

⑤どんなふうに恋い慕ったら、あの子に対して、武蔵野のおけらの花の色のように、表に出すようなことをしないで済ますことができるのであろうか。

⑥ ―

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《そおおっと 伝えたいんや 恋心 うけらみたいに 目立たんように》

さあ あなたの訳は 如何ですか?




■訳してみよう万葉集■<その93>小里なる

2012年10月01日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その93>

●題材歌

小里をさとなる 花橘を 引きぢて 折らむとすれど うら若みこそ

                          ―東 歌―(巻十四・三五七四)




●現代訳

① ―

② ― 

③ ―

④里の中の花橘を引き寄せて折ろうとするのだが、まだ若いので、それが。

⑤小里のある橘の木、その枝を引き寄せて手折ろうとはしてみるが、なんともまだうらっぽの若い木でありすぎて・・・・・・。

⑥ ―

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

《里にある たちばなはなを 折ろおもて 見たら若いで まだ折られんな》

さあ あなたの訳は 如何ですか?



■訳してみよう万葉集■<その92>乎久佐男(おくさを)と

2012年09月27日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その92>

●題材歌

乎久佐男おくさをと 乎具佐受家男おぐさずけをと 潮舟しほふねの 並べて見れば 乎具佐おぐさ勝ちめ
                          ―東 歌―(巻十四・三四五〇)


●現代訳

① ―

② ― 

③ ―

④乎久佐の男と乎具佐の助男とを潮舟のように並べてみると、乎久佐の方がすぐれているように思える。

⑤乎久佐男と乎具佐受家男とを、潮舟のように二人ならべてみると、やっぱり乎具佐受家男の方がまさっているようだ。

⑥ ―

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

乎久佐男おくさおと 乎具佐助男おぐさすけおを 比べたら 乎具佐おぐさ助男すけおが え男やで》


さあ あなたの訳は 如何ですか?

さて <その89><その90><その91><その92>を「万葉歌みじかものがたり」にすると・・・

●玉とひろはむ●

あずまたみが 暮らしなか 歌いつづった 東歌あずまうた
んだ歌数うたかず 二百ふたひゃくと 三十みそ余りなる 短か歌
歌の多くは くに言葉ことば 男女で交わす 恋の歌
開けっぴろげで 赤裸々せきららな 歌の多いが 特徴か
中に好事家こうずか 垂涎すいえんの 歌も少しく 混ざりおる
歌いし国を かぞうれば 遠江とおとうみくに 駿河するが伊豆いず 
相模さがみ武蔵むさしに 上総かずさくに 下総しもふさ常陸ひたち 信濃しなのくに 
上野かみつけのくに 下野しもつけの 果ては陸奥むつくに 十二こく

先ず手始めは 可憐かれんなる 乙女の詠う 純情歌じゅんじょうた

純情一途いちず 東国とうごく乙女おとめ
あの人思い たたずむ川原
芽吹き柳の 木陰こかげに立って
 の芽吹きの 春風待つよ

信濃なる 千曲ちぐまの川の 細石さざれしも 君し踏みてば 玉とひろはむ
信濃しなのくに 千曲の川の 小石でも あんた踏んだら もう宝石や》
                          ―東 歌―(巻十四・三四〇〇)
都武賀野つむがのに 鈴がおと聞こゆ 可牟思太かむしだの 殿の仲子なかちし 鷹狩とがりすらしも
都武賀野つむがので 鈴聞こえるで 可牟思太かむしだの 次男じなん鷹狩かりを してはるようや》
                          ―東 歌―(巻十四・三四三八)
美都我野みつがのに 鈴がおと聞こゆ 可牟思太かむしだの 殿の若子わくごし 鷹狩とがりすらしも
美都我野みつがので 鈴が聞こえる 可牟思太かむしだの 坊ちゃん鷹狩かりを してはるみたい》
                          ―東 歌―(巻十四・三四三八 或る本)
青柳あをやぎの らろ川門かはとに 汝を待つと 清水せみどは汲まず 立処たちどならすも
水汲まへんで 芽吹き柳の 川岸で あんたんかと 行ったり来たり》
                          ―東 歌―(巻十四・三五四六)
恋しけば 来ませ我が背子 かきやぎ うれ摘み枯らし 我れ立ち待たむ
いてたら てんかあんた 柳の芽 摘み尽くすまで うち待ってるで》
                          ―東 歌―(巻十四・三四五五)
赤駒を 打ちてさ緒引をびき 心引き いかなる背なか 我許わがり来むと言ふ
《赤駒を 跳ばし手綱つな引き 心る どんな殿御とのごが うちとこんや》
                          ―東 歌―(巻十四・三五三六)
左奈都良さなつらの 岡にあはき かなしきが 駒はぐとも 我はそとはじ
左奈都良さなつらの 岡であわ 馬ても あんたの馬や うち追わへんで》
                          ―東 歌―(巻十四・三四五一)
乎久佐男おくさをと 乎具佐受家男おぐさずけをと 潮舟しほふねの 並べて見れば 乎具佐おぐさ勝ちめ
乎久佐男おくさおと 乎具佐助男おぐさすけおを 比べたら 乎具佐おぐさ助男すけおが え男やで》
                          ―東 歌―(巻十四・三四五〇)

 女心は 純情可憐
 の東西 時代を越えて
みやこ田舎いなかの へだてもなしに
 も通じる 心の歌よ





■訳してみよう万葉集■<その91>青柳の

2012年09月24日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その91>

●題材歌

青柳あをやぎの らろ川門かはとに 汝を待つと 清水せみどは汲まず 立処たちどならすも
                          ―東 歌―(巻十四・三五四六)



●現代訳

① ―

② ― 

③ ―

④青柳の芽がふくらむ川門にあなたを待つとて、清水は汲まないで立っていることよ。いつもいつも。

⑤青柳が芽を吹く川の渡し場で、お前さんを心待ちにしながら、清水は汲まずに、往ったり来たりして足許を踏み平している。

⑥ ―

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

水汲まへんで 芽吹き柳の 川岸で あんたんかと 行ったり来たり》

さあ あなたの訳は 如何ですか?





■訳してみよう万葉集■<その90>都武賀野(つむがの)に

2012年09月20日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その90>

●題材歌
都武賀野つむがのに 鈴がおと聞こゆ 可牟思太かむしだの 殿の仲子なかちし 鷹狩とがりすらしも
                          ―東 歌―(巻十四・三四三八)



●現代訳

① ―

② ― 

③ ―

④都武賀野に鈴の音が聞こえる。可牟思太の殿の次男が鷹狩りをするらしいよ。

⑤都武賀野で鈴の響くのが聞こえる。可牟思太のお館の中つ背様が鷹狩をなさっているらしいよ。

⑥ ―

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

都武賀野つむがので 鈴聞こえるで 可牟思太かむしだの 次男じなん鷹狩かりを してはるようや》

さあ あなたの訳は 如何ですか?



■訳してみよう万葉集■<その89>信濃なる

2012年09月17日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その89>

●題材歌

信濃なる 千曲ちぐまの川の 細石さざれしも 君し踏みてば 玉とひろはむ

                          ―東 歌―(巻十四・三四〇〇)



●現代訳

① ―

② ― 

③ ―

④信濃にある千曲川の小石だって、あなたが踏んだ石なら玉として拾いましょう。

⑤信濃の千曲川の細れ石も、いとしい我が君が踏んだ石なら、玉と思って拾いましょう。

⑥ ―

⑦ ―

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

信濃しなのくに 千曲の川の 小石でも あんた踏んだら もう宝石や》

さあ あなたの訳は 如何ですか?





訳してみよう万葉集(88)士(おのこ)やも

2012年09月13日 | 訳してみよう万葉集
■訳してみよう万葉集■<その88>

●題材歌

をのこやも むなしくあるべき 万代よろづよに 語りくべき 名は立てずして

                           ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻六・九七八)


●現代訳

①大丈夫たるものは、万代の後まで語り伝えられるような功名もせず、空しくこの世を終わるべきであろうか。

②男子たるものが、万代までも語り伝えられるような名も立てないで、空しく死んでなるものか。

③男子たるもの、空しく朽ち果ててよかろうか。末の世まで語り継ぐような、立派な名が立ちもしないで。

④「士」たるものは空しくあってよいはずがあろうか。万代の後に語り伝えられるべき名も立てずに。

⑤男子たるもの、無為に世を過ごしてよいものか。万代までも語り継ぐに足る名というものを立てもせずに。

⑥男たるもの 無駄に一生を 送ってよいものか 永遠に語り継ぐべき名声を あげもしないで

⑦この世に男子と生まれたなら 語り継がれる名も立てず 無為に死んでいいものか

①斎藤茂吉<万葉秀歌>
②森岡美子<萬葉集物語>
③山本健吉<万葉秀歌鑑賞>
④中西 進<万葉集・全訳注原文付>
⑤伊藤 博<万葉集・現代語訳付き>
⑥日めくり万葉集
⑦植田祐子<超訳万葉集>

これらを踏まえて 私はこう訳しました。

丈夫ますらおと 思うわしやぞ のちの世に 名ぁ残さんと 死ねるもんかい》

さあ あなたの訳は 如何ですか?

さて <その87><その88>を「万葉歌みじかものがたり」にすると・・・

【士やも】へ