NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は ご覧になれません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。
【四月十一日】放映分
★うつせみの 命を惜しみ 浪にぬれ 伊良虞の島の 玉藻刈り食む
《仕様なしに 伊良湖の島で 波に濡れ 藻ぉ採り食うんは 死にとないから》
―麻続王―(巻一・二四
【万葉歌みじかものがたり】《伊良虞の島の》
「お前さま 一人者かい 自分で 藻刈りなど 召使にでも させれば 良いものを」
「よしなよ あの人は 何も 答えなさらん 都の流され人 らしい」
夕日が 伊勢の海の方に 沈む
浜を 引き上げる 海女の影は 小さくなる
背を伸ばし おぼろな目で 神島を見ている 麻続王
「口は 禍の元・・・」
あれは 壬申の戦の三年後 であったろうか
大友皇子の子 葛野王を お見かけし 思わず『こんな 幼気ない子が 苦労するとは』と 呟いてしまった
それが 天武天皇の耳へと入り 流罪
雪深い 因幡であった
因幡は よかった
国庁があり 役所勤めに 友がいた
不自由ではあったが 食うには困らなかった
直にでも 許されて と思っていたが 配流替え
常陸の 板来
潮風の 強いところであったが
なんと言っても 鹿島神宮のお膝もと 豊かな土地柄とあって なに不自由ない 暮らしであった
親しくなった 神官に 流罪の経緯を聞かれ
『葛野王が 可哀相と 言っただけじゃ』
と 漏らしてしまった・・・
ここ 伊良虞は なにもない
居るのは 田作り民と 網人と海女
地は痩せ ロクな作物は取れない
外海だけに 漁もままならない
あるのは 打ち寄せる 藻だけ
これを 採るしかないのだ
いまでは 習いとなった 苫屋での寝起き
これだけはと 身につけている 筆を取る
(今日の 海女の声 歌にするか)
打つ麻を 麻続王 海人なれや 伊良虞の島の 玉藻刈ります
《粗末衣着てる 麻続王 漁師やろか 伊良湖の岸で 藻ぉ採ってはる》
―麻続王を見た人―(巻一・二三)
(答えて やらねば なあ)
うつせみの 命を惜しみ 浪にぬれ 伊良虞の島の 玉藻刈り食む
《仕様なしに 伊良湖の島で 波に濡れ 藻ぉ採り食うんは 死にとないから》
―麻続王―(巻一・二四)
しかし 伊良虞は 良いところだ
なにしろ 温かい
天気も それに 人も・・・
――――――――――――――――――――
【新しい試みです】
「歌心関西訳」の作成過程をご覧ください。
これなら あなたも 訳せますよ。
<訳してみよう万葉集>へ
【万葉歌みじか物語】はこちら
<万葉歌みじかものがたり>へ
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【四月十一日】放映分
★うつせみの 命を惜しみ 浪にぬれ 伊良虞の島の 玉藻刈り食む
《仕様なしに 伊良湖の島で 波に濡れ 藻ぉ採り食うんは 死にとないから》
―麻続王―(巻一・二四
【万葉歌みじかものがたり】《伊良虞の島の》
「お前さま 一人者かい 自分で 藻刈りなど 召使にでも させれば 良いものを」
「よしなよ あの人は 何も 答えなさらん 都の流され人 らしい」
夕日が 伊勢の海の方に 沈む
浜を 引き上げる 海女の影は 小さくなる
背を伸ばし おぼろな目で 神島を見ている 麻続王
「口は 禍の元・・・」
あれは 壬申の戦の三年後 であったろうか
大友皇子の子 葛野王を お見かけし 思わず『こんな 幼気ない子が 苦労するとは』と 呟いてしまった
それが 天武天皇の耳へと入り 流罪
雪深い 因幡であった
因幡は よかった
国庁があり 役所勤めに 友がいた
不自由ではあったが 食うには困らなかった
直にでも 許されて と思っていたが 配流替え
常陸の 板来
潮風の 強いところであったが
なんと言っても 鹿島神宮のお膝もと 豊かな土地柄とあって なに不自由ない 暮らしであった
親しくなった 神官に 流罪の経緯を聞かれ
『葛野王が 可哀相と 言っただけじゃ』
と 漏らしてしまった・・・
ここ 伊良虞は なにもない
居るのは 田作り民と 網人と海女
地は痩せ ロクな作物は取れない
外海だけに 漁もままならない
あるのは 打ち寄せる 藻だけ
これを 採るしかないのだ
いまでは 習いとなった 苫屋での寝起き
これだけはと 身につけている 筆を取る
(今日の 海女の声 歌にするか)
打つ麻を 麻続王 海人なれや 伊良虞の島の 玉藻刈ります
《粗末衣着てる 麻続王 漁師やろか 伊良湖の岸で 藻ぉ採ってはる》
―麻続王を見た人―(巻一・二三)
(答えて やらねば なあ)
うつせみの 命を惜しみ 浪にぬれ 伊良虞の島の 玉藻刈り食む
《仕様なしに 伊良湖の島で 波に濡れ 藻ぉ採り食うんは 死にとないから》
―麻続王―(巻一・二四)
しかし 伊良虞は 良いところだ
なにしろ 温かい
天気も それに 人も・・・
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