NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は ご覧になれません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。
【四月十二日】放映分
★たまきはる 命に向ひ 恋ひむゆは 君がみ船の 楫柄にもが
《死にそうな 思いをしつつ 焦がるより あんたの船の 梶になりたい》
―笠金村―〔巻八・一四五五〕
【万葉歌みじかものがたり】《はや還りませ》
天平五年〔733〕春閏三月
ここ 難波 三津の浜は 人で溢れていた
遣唐使船が 集結している
ざわめきの中 大使 丹比真人広成の手を握るは 笠金村 無事な航海を祈っての 見送りだ
玉襷 懸けぬ時無く 息の緒に わが思ふ君は
うつせみの 世の人なれば 大君の 命かしこみ
《一時も 忘れもせんと 気に懸けて わしが大事や 思うひと
人の世務め 果たすため 天皇さんの 命受けて》
夕されば 鶴が妻呼ぶ 難波潟 三津の崎より
大船に 真楫繁貫き 白波の 高き 荒海を 島伝ひ い別れ行かば
《難波の潟の 三津の崎
梶いっぱいの 大船で 波の立ってる 荒海の 島を伝うて 出かけらる》
留まれる われは幣引き 斎ひつつ 君をば待たむ はや還りませ
《後に残った このわしは 手向けの幣を 祀りして 待ってるよって 早よ帰ってや》
―笠金村―〔巻八・一四五三〕
波の上ゆ 見ゆる小島の 雲隠り あな息づかし 相別れなば
《波越しの 小島を雲が 隠すよに あんたと別れ 溜息でるよ》
―笠金村―〔巻八・一四五四〕
たまきはる 命に向ひ 恋ひむゆは 君がみ船の 楫柄にもが
《死にそうな 思いをしつつ 焦がるより あんたの船の 梶になりたい》
―笠金村―〔巻八・一四五五〕
見送り喧噪の中
急ぎ作りの歌を 広成に託す人がいた
独り息子を 伴の一員として差し出す 母親
秋萩を 妻問ふ鹿こそ 独子に 子持てりといへ
鹿児じもの わが独子の 草枕 旅にし行けば
《秋の萩 妻にしたいと 鳴く鹿は 独り子小鹿 持つという
その鹿みたい 独り子の うちの子供が 旅に行く》
竹珠を しじに貫き垂り 斎瓮に 木綿取り垂でて
斎ひつつ わが思ふ吾子 真幸くありこそ
《竹珠いっぱい 刺し貫いて 神祀り壷 幣垂らし
忌み慎んで うちの子が 無事であってと 祈りする》
―作者未詳―〔巻九・一七九〇〕
旅人の 宿りせむ野に 霜降らば わが子羽ぐくめ 天の鶴群
《宿る野に 霜が降ったら 天の鶴 羽根を広げて うちの子庇え》
―作者未詳―〔巻九・一七九一〕
それぞれの 思いを乗せ 船は一路 西へ
――――――――――――――――――――
【新しい試みです】
「歌心関西訳」の作成過程をご覧ください。
これなら あなたも 訳せますよ。
<訳してみよう万葉集>へ
【万葉歌みじか物語】はこちら
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【四月十二日】放映分
★たまきはる 命に向ひ 恋ひむゆは 君がみ船の 楫柄にもが
《死にそうな 思いをしつつ 焦がるより あんたの船の 梶になりたい》
―笠金村―〔巻八・一四五五〕
【万葉歌みじかものがたり】《はや還りませ》
天平五年〔733〕春閏三月
ここ 難波 三津の浜は 人で溢れていた
遣唐使船が 集結している
ざわめきの中 大使 丹比真人広成の手を握るは 笠金村 無事な航海を祈っての 見送りだ
玉襷 懸けぬ時無く 息の緒に わが思ふ君は
うつせみの 世の人なれば 大君の 命かしこみ
《一時も 忘れもせんと 気に懸けて わしが大事や 思うひと
人の世務め 果たすため 天皇さんの 命受けて》
夕されば 鶴が妻呼ぶ 難波潟 三津の崎より
大船に 真楫繁貫き 白波の 高き 荒海を 島伝ひ い別れ行かば
《難波の潟の 三津の崎
梶いっぱいの 大船で 波の立ってる 荒海の 島を伝うて 出かけらる》
留まれる われは幣引き 斎ひつつ 君をば待たむ はや還りませ
《後に残った このわしは 手向けの幣を 祀りして 待ってるよって 早よ帰ってや》
―笠金村―〔巻八・一四五三〕
波の上ゆ 見ゆる小島の 雲隠り あな息づかし 相別れなば
《波越しの 小島を雲が 隠すよに あんたと別れ 溜息でるよ》
―笠金村―〔巻八・一四五四〕
たまきはる 命に向ひ 恋ひむゆは 君がみ船の 楫柄にもが
《死にそうな 思いをしつつ 焦がるより あんたの船の 梶になりたい》
―笠金村―〔巻八・一四五五〕
見送り喧噪の中
急ぎ作りの歌を 広成に託す人がいた
独り息子を 伴の一員として差し出す 母親
秋萩を 妻問ふ鹿こそ 独子に 子持てりといへ
鹿児じもの わが独子の 草枕 旅にし行けば
《秋の萩 妻にしたいと 鳴く鹿は 独り子小鹿 持つという
その鹿みたい 独り子の うちの子供が 旅に行く》
竹珠を しじに貫き垂り 斎瓮に 木綿取り垂でて
斎ひつつ わが思ふ吾子 真幸くありこそ
《竹珠いっぱい 刺し貫いて 神祀り壷 幣垂らし
忌み慎んで うちの子が 無事であってと 祈りする》
―作者未詳―〔巻九・一七九〇〕
旅人の 宿りせむ野に 霜降らば わが子羽ぐくめ 天の鶴群
《宿る野に 霜が降ったら 天の鶴 羽根を広げて うちの子庇え》
―作者未詳―〔巻九・一七九一〕
それぞれの 思いを乗せ 船は一路 西へ
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