犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(012)たまきはる

2011年05月11日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は ご覧になれません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【四月十二日】放映分

たまきはる いのちむかひ 恋ひむゆは 君がみ船の 楫柄かじからにもが

《死にそうな 思いをしつつ がるより あんたの船の 梶になりたい》
                         ―笠金村―〔巻八・一四五五〕 



【万葉歌みじかものがたり】《はや還りませ》
天平五年〔733〕春うるう三月
ここ 難波なにわ 三津の浜は 人であふれていた
遣唐使船が  集結している
ざわめきの中 大使 丹比真人広成たじひのまひとひろなりの手を握るは 笠金村かさのかなむら 無事な航海を祈っての 見送りだ

玉襷たまだすき 懸けぬ時無く いきに わがふ君は 
うつせみの 世の人なれば 大君おほきみの みことかしこみ
 
一時いっときも 忘れもせんと 気に懸けて わしが大事や 思うひと
 人の世つとめ 果たすため 天皇おおきみさんの めい受けて》
夕されば たづが妻呼ぶ 難波潟なにはがた 三津みつさきより 
大船に 真楫繁貫まかじしじぬき 白波の 高き 荒海あるみを 島伝ひ い別れ行かば
 
《難波のかたの 三津の崎
 梶いっぱいの 大船で 波の立ってる 荒海あらうみの 島を伝うて 出かけらる》
とどまれる われはぬさ引き いはひつつ 君をば待たむ はや還りませ
《後に残った このわしは 向けのぬさを まつりして 待ってるよって 早よ帰ってや》
                         ―笠金村―〔巻八・一四五三〕 
波のうへゆ 見ゆる小島こしまの 雲隠り あな息づかし 相別れなば
《波しの 小島を雲が 隠すよに あんたと別れ 溜息ためいきでるよ》
                         ―笠金村―〔巻八・一四五四〕 
たまきはる いのちむかひ 恋ひむゆは 君がみ船の 楫柄かじからにもが
《死にそうな 思いをしつつ がるより あんたの船の 梶になりたい》
                         ―笠金村―〔巻八・一四五五〕 

見送り喧噪けんそうの中
急ぎ作りの歌を 広成ひろなりに託す人がいた
独り息子を  伴の一員として差し出す 母親

秋萩あきはぎを 妻問つまど鹿こそ 独子ひとりごに 子持てりといへ 
鹿児かこじもの わが独子の 草枕 旅にし行けば
 
《秋の萩 妻にしたいと 鳴く鹿は ひと小鹿  持つという
 その鹿みたい 独り子の うちの子供が 旅に行く》 
竹珠たかだまを しじにり 斎瓮いはひべに 木綿ゆふ取りでて 
いはひつつ わが吾子わがこ 真幸まさきくありこそ

たけたまいっぱい 刺しいて 神まつつぼ ぬさ垂らし
 み慎んで うちの子が 無事であってと 祈りする》
                         ―作者未詳―〔巻九・一七九〇〕 
旅人たびびとの 宿りせむ野に 霜降しもふらば わが子羽ぐくめ あめ鶴群たづむら
《宿る野に 霜が降ったら 天の鶴 羽根を広げて うちの子かばえ》
                         ―作者未詳―〔巻九・一七九一〕 

それぞれの  思いを乗せ 船は一路 西へ


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