まどか先生の「ママ達のおやつ」

ママの笑顔は、我が子が幸せであるためのママ・マジック。ママが笑顔であるために、この「おやつ」が役立つことを願っています!

人の心は見えるもの

2012年03月06日 | にこにこ
  人の心は見える、人の心は伝わる・・・私は、常々そう思っています
このことはよく、小学校受験の模擬面接の時にも、大真面目に語ります。思ったことを、心を込めて語ってくださいね、と。なぜなら、アナウンサーや講演者でない限り、立て板に水、で話す必要などないのですもの とつとつと話したとしても、言霊のこもった言葉には、色合いも重さもあり、相手に必ず伝わるものですから

 これから小学校受験の面接に向かわれるお父様、お母様は、書店に並ぶ虎の巻を購入し、そこに書かれたひな型で練習を積まれます。
 歯の浮くような賛美の言葉を並べ、声が裏がえらんばかりに力が入り、前のめりになって語られる・・・でも、そこに「心」が伴っていなければ、それらの言葉は口から出た瞬間にバラバラと床に落ち、何の感動もない言葉達が床に散乱する・・・
 きっと、小学校受験の面接が終わると、先生方は踵が隠れるほどの色と重さのない賛美の言葉達を掃いて・・・苦笑しながら捨てられるのでしょう

 じつは、なぜ急に面接の時期でもないのに、こんなことを言いだしたのか、と言うと。
日曜日、三浦海岸で第30回三浦国際市民マラソンが開催されました 当日はあいにくの曇天。ときどき、ポツポツと雨が降ることもあり、決してマラソン日和とは言えませんでした。海岸線というコースは、海からの風をまともに受け、体感温度は真冬だったことでしょう 三浦海岸の気温5℃。天気予報は、この日はうそつき、でした

 30回の記念大会ということで、何とこの日は「サプライズゲスト」として、高橋尚子さんが招待されていました そうです、キューちゃんの愛称で呼ばれる元オリンピック代表選手のランナーです。
 私は、昔からこの人が嫌いでねえ・・・42,195キロ走った後に、必ず「楽しかったですまた走りたいです」と満面の笑顔で話すのを見ていると、いったいこの人には「疲労」という感覚はないのだろうか?とか、サバンナの動物じゃあるまいし、そんなに「走る」という行為が最上の喜びなんて、どんな感性なんだろう?とか、どうしても思ってしまったわけです
 でも、現役引退し、マラソンの中継車に乗られたり、スポーツイベントで解説をされたりしているのをテレビで観ていると、非常に冷静、かつ的確な解説をされ、表現力も豊かで・・・だから、何というのでしょうか、語られる言葉に「温度」があるように感じるのです・・・
 そんなことで、最近では、少々認識をあらためる?ひどいことは言わない!ようになってはきていました

 この日は、私は応援でした
10キロとハーフマラソンに出る仲間達をスタート時点で見送り、コーチと一緒に歩いていると、高いところに設営された放送ブースの中にいるキューちゃんを見つけました
 彼女は、自分の前をゆっくり進んでいくランナー達に向かって身を乗り出し、「がんばってー」「寒いですからねえ。しっかり体を動かしていってくださいねー」「いってらっしゃーい私もあとから追いかけますよー」「がんばれー」「しっかりー」と、全員がスタートし終わるまで、ずっとずっと声をかけているのです。
 その様子に、とてもひきつけられました。
ビニールシートのようなもので囲われているスペースにいらしたのですが、キューちゃんのところだけ、温度があるというのでしょうか・・・遠目にも、そこだけが違って見えました

 マラソンの大会やトライアスロンの大会に行くと、必ず「MC」の人はいて、スタートの時や折り返し、トランジションの時には声をかけてくれます。
 便利な日本語の「がんばれー」「がんばってー」です。でもね、残念ながら大抵の場合、「ああ、この人、ずっとずっとこうして『がんばれー』ばっかり言わないといけなくて大変だなあ・・・」という気分にしかならない「がんばれー!」を言われるのですよ。そこには、何の温度も重さもなく、「が」「ん」「ば」「れ」という音の羅列でしかない・・・

 でも この日の高橋尚子さんの「がんばれ」は、全く違うものでした。
その後、私は走り終えて帰ってくるお仲間達のために、おでんを温めることに一生懸命で(海岸からの風が強く、カセットコンロの火がすぐに消えてしまうのです)、高橋尚子さんがどうされたのかは知りませんでした。
 そろそろ10キロのランナー達が帰ってくる頃になって、初めて、キューちゃんも後を追っかけて、同じコースを走りに行ったことを知りました。
 そのうちに、10キロの人達が帰ってきて・・・おでんは大好評 吹きっさらしの海風の中、おでん番をした甲斐があったというものです そして、ハーフマラソンの人達も完走し、戻ってきました。

 それから20分。ハーフマラソンの制限時間が迫ってきました。2時間20分。結構、この時間設定は厳しいものがあり、マイペースランナーでは時間内での完走は難しい?と思われる時間です
 私のお仲間も、2名がまだゴールしていなかったので、「制限時間まで、あと3分」という頃になって、コースの沿道に観に行きました。
 すると、たまたま目の前のコース上に、ゴールとは反対方向を向き、一人一人のランナーに声をかける高橋尚子さんがいたのです
 キューちゃんは自分は早々とハーフの距離を走ってきて、ゴールはせず、ゴールまであと7,80メーターというその地点に立ち、ランナー達に言葉をかけていたのでした。
「あと3分。がんばれ、あと少し」「大丈夫ゴールできる!あとちょっと」「走れ!ダッシュダッシュ
「あと2分。よくがんばりましたね。あとちょっとですよ」「すごいです!あとちょっとです」「がんばれ!まだ間に合う!ダッシュ
「あと1分 間に合います!走って」「ガンバレガンバレ!あとちょっと!ダッシュ

 あと30秒、あと15秒、あと5秒・・・という時まで、ずっとずっとランナーに声をかけ、一人一人の顔を見て、必死に叫んでいました
 不覚にも・・・私はその様子をずっと見ていて、涙が出てきました・・・

 この人は、真剣に目の前の人のことを応援してるんだ・・・
 この人は、本心から、がんばれ!と言ってるんだ・・・
 この人は、今自分の目の前を通りすぎる20キロ走ってきたランナー達に、深い愛情を持って語っているんだ・・・
 それが伝わってきました

 彼女の現役時代、「きっとこの人の脳ミソまで筋肉やねんわー」なんて、罵詈雑言で罵倒していたことを、心の中で何度も詫びました。

 たまたま夜、NHKを見ていると、笑福亭鶴瓶さんと一緒に、各地を訪問する番組に高橋尚子さんが出ていました
 岩手県大船渡市を訪れ、高橋さんは昨年の4月、陸前高田市にランニングシューズを届ける前に立ち寄った大船渡の海岸線で出会ったご老人のことを語っていました。
「私はあのおじいさんに会いたい。あの方の言葉に、大きな大きな力をもらい、あの時から、ずっと私はあの方のことが気になっていたんです」と話していました。
 昔の私なら、「ほらほら、また~」みたいなことを思ったのでしょうが・・・
 運よく、そのおじいさんと再開し、手を取り合って喜んでいる高橋さんを画面の中に見ながら、「やっぱり、本当に心のある言葉は、見えるよなあ・・・」と思ったものです

 お母さんがかける朝のひとこと「気を付けて、いってらっしゃい」も、本当にお母さんの心の底からの思いがあれば、単なる慣例的なあいさつ以上の意味を持ち、子ども達にその日一日の勇気と力を与えるでしょうね




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