まどか先生の「ママ達のおやつ」

ママの笑顔は、我が子が幸せであるためのママ・マジック。ママが笑顔であるために、この「おやつ」が役立つことを願っています!

あるコーチの嘆き

2008年11月08日 | う゛う゛ー
 先日、ある有名な水泳のコーチにお目にかかり、お食事をご一緒いたしました
オリンピック2大会連続の金メダルの選手を育てられた方です。大変気さくで、愉快な方でしたが、ご自分のお仕事や選手のお話しになると、言葉を丁寧に選び、最も適切な表現、伝わりやすい表現を選ばれながら、大変熱意を持って話してくださいました
 トライアスロンのお仲間からのお誘いで、今回のお食事に参加させていただき、会の趣旨は、いろいろと泳力アップのお話しを聞こう!というものでしたが、チームメンバーが企業のリーダー達ということもあって、結局は「コーチング」や、人を教育する、というお話しにシフトしていきました
 たまたま、その席には、中学受験の準備塾で最大手の若きリーダーもおいでになり、その話題になってからは、私も、その方も、急にコーチに親近感を深めて、お話しに聞き入りました 

 日付が変わる頃まで、すっかり話しに花が咲き、水泳のお話しも含めて、たくさんの話題で盛り上がりましたが、中でも、私が大変印象に残ったのが、「最良のコーチングをし、それを効果的に進めていくためには、まずはその相手にティーチングの成果、結果というものが必要不可欠である」ということでした。
 
 つまり・・・
ここ数年、世の中では「コーチング」という言葉が定着してきました。学校や企業、さまざまなところのリーダー達は、生徒や部下達を、上手くリードしていくための「コーチング」を学ぶ、という時代になったのです。
 書店に行けば、たくさんのコーチングの本もありますし、そういう講座や、資格などもたくさん出てきました。
 要するに、リーダー達は、こぞって、生徒や部下を伸ばす、成長させる「スキル」を身につけよう、としているわけです こういう背景があって・・・

 このコーチも現在、マスコミを含めて、あちこちから講演や原稿の依頼があり、本業である水泳選手の指導だけではなく、そういう仕事でもひっぱりだこになっておられます
 ところが、その講演や原稿の演目、話して欲しい、書いて欲しいと言われる内容は、多くの場合は水泳に関する話題をメインにするのではなく「人を育てる」という部分、コーチングについて語って欲しい、ということだとか。

 ある時、企業の依頼で講演をすることになり、コーチは、なぜコーチングについて話せばよいのか?とたずねたところ、企業からの答えに驚いたのだそうです。
「そ、そ、そ、それって・・・コーチング以前の問題ではないですか・・・その人を伸ばすというよりは、それ以前に『教えること』をしなければ、伸ばすにも、伸ばす「素」がないではないですか・・・なーんにも教えもしていない社員を、より高いステージにリードすることなんて不可能でしょう???」
 そう思われたのだそうです。
私は、このお話しを聞いて、思わず「うん!うん!」と頷いてしまいました。それは、中学受験塾のリーダーの方も、私と同じ反応でした

 この場合は、企業のリーダーと社員・・・という設定になりますが、私がこのお話を我が事として聞く場合は、企業のリーダーと社員ではなく「親と子ども」に置き換えることになり、また、違う方向から考えると、「私とお母様方」ということになります

 このコーチは、現在は全日本のステージでお仕事をなさり、次のロンドンで開催されるオリンピックに向けても同様ですが、本来は、ご自分のお仕事の母体として、一つのスイミングスクールにコーチとして所属なさり、時間のある時には、そこで小学生のクラス等にも実際に水泳を教えたり、お話しをなさったり・・・ということが今でもあるのだそうです。(金メダリストの彼も、小学生の頃から、このスイミングスクールの生徒だったそうです。)
 そういう小学生や、5,6歳児のクラス時の苦労話、スクールでの親子の様子、親の反応などは、思わず二人(いえ、中学受験塾の方もおいでになりましたので、実際には3人です)で手を叩いて、うんうん!と共感し合ってしまいました

 最近では、ご家庭ではティーチングさえしない、というご両親が多くなったように感じます とにかく、最初から「専門家に外注する」とでも言うのでしょうか・・・親の役割が、どんどんと軽くなっていっているように思えてなりません
 以前、私立小学校の校長先生とお話をさせていただいたとき、とても嘆いていらしたことがありました
 校長先生がお母様方と直接にお話しをする機会があったとき、多くのお母様が・・・
 「今の子ども達はどうも親をなめていて困ります。是非、担任の先生に、子どもたちに厳しく、しっかり躾ていただけたらうれしいです
 というご意見がたくさん出たとか・・・
 校長先生はおっしゃっていました。子供たちを厳しく躾けるのは親の役目。学校には学校の、先生方には先生方の役割はあるのです・・・と。

 確かにそうですね。
人間が自分達より劣っている、と思っている獣の親でも、わが子達にしっかりと生きていくための手段である狩りの仕方や、エサの取り方、走り方、泳ぎ方、etc.etc. そんなことを、きちんと教えていますものね
 ・・・となれば、人間が、一番怠惰で無責任・・・ということになるでしょうか?
 ピアノやヴァイオリンを弾く技術を教わる、泳ぐ技術を教わる、これらは、専門家に教えて頂く他はありません。しかし、そこで習うのは、楽譜の読み方、両手の動き・・・蹴のびの仕方、水中で目を開けること、等・・・これは、技術です。
 けれど、公衆道徳、社会人の卵としてのマナーやエチケット等、これらは技術ではなく、親が、家庭で教えるべきことですね。

 私のお役目も、本当はティーチングよりもコーチングの部分が大きくなればいいなあ・・・としみじみ思ってしまいました


コメント
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