ある休日の電車の中でのこと
2歳にはまだあと少し・・・と見える男の子が、両親と一緒にシートに座っていました
男の子の手には絵本 ちらりと覗いてみるとカラフルな絵に、英語の単語が書かれてあります。
両親の真ん中にちょこんと座った子どもは、何かを指差し、「スタ」「スタ」と言います 若いご両親は歓喜
「すごい すごいじゃあん 覚えてるよ、この子」
「そうだよねえ そうそう、星はスター、だよねえ 天才」
するとその男の子は、ニコニコしながら・・・
「おし おし おししゃま」と言います。
げげげ どうも、おししゃまは、「おほしさま」のことらしい・・・
意地の悪い私は、心の中で思わず、「天才じゃなーい」と叫びました。
いえいえ、もちろん、微笑ましい親子の様子、幸せそうな親子の時間です 見ていて、心が和みます。幼児虐待のニュースを見たあとで、この光景を見れば、それはそれは「ハッピーな家族」です
でもね、やっぱり違うだろう、と思いました
二兎追うもの一兎を得ず、です。1歳児として、彼がまず覚えるべき言葉は「ほし」です お空でキラキラと瞬いているあれは、「おしちゃま」ではありません
「おししゃま」幼児語だということもわかります。「さ」の音が発音しにくい音であることも充分に承知です
でも、やっぱり1歳児のわが子に、親がまず、しっかりと教えるべきものは「ほし」ではないでしょうか。
外国に駐在中の日本人家庭に子どもが生まれ、当分の間、現地で暮らすことがわかっているような場合、きっとその子は、「現地の子どもの世界」の中で暮らしていく上で必要不可欠な言葉は、その国の言葉であり、自分が生きていく上での手段として、たとえ子どもでも、外国語である現地の言葉を覚えなければならないでしょう そんな場合は、母国語は二の次、です。
しかし、このような特殊な事情がない限り、子どもが生まれれば、親はまずは正確な母国語である日本語を教え、正しく発音できるようにリードすべきです
どんなに世の中の国際化が進んでも、自国語をまともに話せないようでは、国際語である英語を話せたとしても、実際には話す言葉は内容の乏しい、ぬけがらの「音」でしかありません
それに・・・実際には、この子の発音した「スタ」は、「star」でも「ほし」でもなく、今のままでは、「スタ」も「おし」も、どちらも言葉として通用するものではなく、単なる「音」以外の何ものでもありません
その親子の様子を見ていた、私の前に座っていた15,6歳と思しき女の子が二人。中学を卒業した頃に見えました。
あどけなさを残した顔にばっちりアイメイクを施し、虫さされとすリ傷の跡の残った素足にミュールを履いていました。精一杯の「おとな」の演出です
一人の女の子が・・・
「あの前の子さあ、バリかーわいいー スタだってさ。オメーより英語知ってんじゃねーの?ははは、ほんとにかーわいー 私さあ、子ども好きなんだよねえ すっげー子ども欲しいんだ」と言うと、もう一人が、何と
「産めばいいじゃん」
と応えました。
えーっ と思って聞いていると、
「もうウチら16なんだからさあ、結婚だってできるんだよってことはあ、子ども産んだっておかしくないってことだよねえ」
「そうだねえ、かわいいもんねえ 出来ちゃったら、産めばいいねえ」・・・
英語の絵本といい、この女の子たちの会話といい、私は発狂しそうになりました やめろてー、やめろー、やめてくれー こんなに変な世界はいやだあー
どこかが少しずつ狂ってきて、だんだん狂ってきている、ということの認識がないまま、微妙に常識や良識が変化しつつあるのです
日本の国際化の中において、幼い頃からの英語教育は国をあげて奨励され、少子化対策が叫ばれる中、単に「人口、プラス1」が歓迎される???
それは違いますよね・・・
最近、テレビのクイズ番組で流行のテスト。
1風景(自然でも、人がいても良い)の映像の一部が、5秒から10秒間それを凝視していた人が、どの部分が変化したのか?を答える、というテストです。ご存知でしょうか?
そのテスト。確かに風景の一部はは大きく変わっているのに、なぜかじっと目をこらしていても、ちっともどこが変化したのか?がわからないことが多々あります そして、結果的に回答者も「わかりません!ギブアップです!」ということがよくあるのです。
その後、じつは変化したのはここですよ、と教えられ、確認のために再度映し出される映像を見て、やっと「おおおおお 確かに、変化している」とわかる・・・んです。
私は、現代の日本社会の微妙な少しずつの変化は、まるでこの映像変化のテストのようだ・・・と思えてならないのです
少しずつ少しずつ、でも、確かに変化していっているのに、実際にはほとんど気づかない・・・
人の良識も、人の言語力も、人の子育ての力も、すべてに変化があり・・・それもみな、マイナス方向への変化です
こういうことを憂いているのは、私だけなのでしょうか・・・
2歳にはまだあと少し・・・と見える男の子が、両親と一緒にシートに座っていました
男の子の手には絵本 ちらりと覗いてみるとカラフルな絵に、英語の単語が書かれてあります。
両親の真ん中にちょこんと座った子どもは、何かを指差し、「スタ」「スタ」と言います 若いご両親は歓喜
「すごい すごいじゃあん 覚えてるよ、この子」
「そうだよねえ そうそう、星はスター、だよねえ 天才」
するとその男の子は、ニコニコしながら・・・
「おし おし おししゃま」と言います。
げげげ どうも、おししゃまは、「おほしさま」のことらしい・・・
意地の悪い私は、心の中で思わず、「天才じゃなーい」と叫びました。
いえいえ、もちろん、微笑ましい親子の様子、幸せそうな親子の時間です 見ていて、心が和みます。幼児虐待のニュースを見たあとで、この光景を見れば、それはそれは「ハッピーな家族」です
でもね、やっぱり違うだろう、と思いました
二兎追うもの一兎を得ず、です。1歳児として、彼がまず覚えるべき言葉は「ほし」です お空でキラキラと瞬いているあれは、「おしちゃま」ではありません
「おししゃま」幼児語だということもわかります。「さ」の音が発音しにくい音であることも充分に承知です
でも、やっぱり1歳児のわが子に、親がまず、しっかりと教えるべきものは「ほし」ではないでしょうか。
外国に駐在中の日本人家庭に子どもが生まれ、当分の間、現地で暮らすことがわかっているような場合、きっとその子は、「現地の子どもの世界」の中で暮らしていく上で必要不可欠な言葉は、その国の言葉であり、自分が生きていく上での手段として、たとえ子どもでも、外国語である現地の言葉を覚えなければならないでしょう そんな場合は、母国語は二の次、です。
しかし、このような特殊な事情がない限り、子どもが生まれれば、親はまずは正確な母国語である日本語を教え、正しく発音できるようにリードすべきです
どんなに世の中の国際化が進んでも、自国語をまともに話せないようでは、国際語である英語を話せたとしても、実際には話す言葉は内容の乏しい、ぬけがらの「音」でしかありません
それに・・・実際には、この子の発音した「スタ」は、「star」でも「ほし」でもなく、今のままでは、「スタ」も「おし」も、どちらも言葉として通用するものではなく、単なる「音」以外の何ものでもありません
その親子の様子を見ていた、私の前に座っていた15,6歳と思しき女の子が二人。中学を卒業した頃に見えました。
あどけなさを残した顔にばっちりアイメイクを施し、虫さされとすリ傷の跡の残った素足にミュールを履いていました。精一杯の「おとな」の演出です
一人の女の子が・・・
「あの前の子さあ、バリかーわいいー スタだってさ。オメーより英語知ってんじゃねーの?ははは、ほんとにかーわいー 私さあ、子ども好きなんだよねえ すっげー子ども欲しいんだ」と言うと、もう一人が、何と
「産めばいいじゃん」
と応えました。
えーっ と思って聞いていると、
「もうウチら16なんだからさあ、結婚だってできるんだよってことはあ、子ども産んだっておかしくないってことだよねえ」
「そうだねえ、かわいいもんねえ 出来ちゃったら、産めばいいねえ」・・・
英語の絵本といい、この女の子たちの会話といい、私は発狂しそうになりました やめろてー、やめろー、やめてくれー こんなに変な世界はいやだあー
どこかが少しずつ狂ってきて、だんだん狂ってきている、ということの認識がないまま、微妙に常識や良識が変化しつつあるのです
日本の国際化の中において、幼い頃からの英語教育は国をあげて奨励され、少子化対策が叫ばれる中、単に「人口、プラス1」が歓迎される???
それは違いますよね・・・
最近、テレビのクイズ番組で流行のテスト。
1風景(自然でも、人がいても良い)の映像の一部が、5秒から10秒間それを凝視していた人が、どの部分が変化したのか?を答える、というテストです。ご存知でしょうか?
そのテスト。確かに風景の一部はは大きく変わっているのに、なぜかじっと目をこらしていても、ちっともどこが変化したのか?がわからないことが多々あります そして、結果的に回答者も「わかりません!ギブアップです!」ということがよくあるのです。
その後、じつは変化したのはここですよ、と教えられ、確認のために再度映し出される映像を見て、やっと「おおおおお 確かに、変化している」とわかる・・・んです。
私は、現代の日本社会の微妙な少しずつの変化は、まるでこの映像変化のテストのようだ・・・と思えてならないのです
少しずつ少しずつ、でも、確かに変化していっているのに、実際にはほとんど気づかない・・・
人の良識も、人の言語力も、人の子育ての力も、すべてに変化があり・・・それもみな、マイナス方向への変化です
こういうことを憂いているのは、私だけなのでしょうか・・・