本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

スピンクス (山岸凉子)

2007-08-17 09:37:13 | 漫画家(や・ら・わ行)
「天人唐草」が父親の娘への呪縛であったのに対し、これは母親の息子への呪縛。

-その頃僕は魔女の館に済んでいたー で始まる導入部分は毎度の事ながら、山岸ワールドの扉が開くことを示している。
2・3ページの見開きのスピンクスの妖艶さ!たまりませんわ!!
…で、魔女の館は真っ白で何もない世界。
スピンクスがやって来たり、紙人形がうろついたり…結局息子を溺愛した母親から脱出しようとした少年の話なのだが、少年の感覚を画像化して独特の世界を演出するのには「漫画」という表現法が最適だと思う。
文章のみで、ここまで読者の感性に訴えることが出来るかどうか…。

漫画より小説の方が高尚だと思い込んでいる人達に言いたい。
漫画でもピンからキリまであるように、小説だってピンからキリまであるのです。
どちらも表現方法が違うだけで、ある種の世界を作家(漫画家)が構築しているのです。
漫画だというだけで馬鹿にせずに、漫画にしか出来ない表現法でこういう素晴らしい世界を構築している作品があるということを知って欲しいのです。


…無理かなー?ま、いいけどね。