本の迷宮

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そして謎は残った 伝説の登山家マロリー発見記

2007-03-19 10:30:59 | ノンフィクション
(1999年12月10日 発行)



<帯に書かれた言葉より>
エヴェレスト山頂近くで消息を絶った2人の登山家の行方を求めて。
はたしてマロリーは登頂に成功したのか?
75年ぶりに遺体発見に成功した米捜索隊が綴った独占手記。
衝撃の新事実・写真満載。



この本は、某図書館の当時の館長さんに教えて貰って読んだ。



 『ニューヨーク・タイムズ』紙の記者に
「何故エヴェレストに登りたいのか」
と質問されて、
「そこに山(それ)があるから」
と答えた。



というエピソード程度は知っていたが、
その時私はマロリーについてそれ以上のことは知らなかった。



だから、人に薦められなければたぶんこの本を読むことはなかったと思う。



この本を手にとって、まず驚いたのが表紙の写真。
ちょっと見ただけでは、マネキンが転がってるようにしか見えないが、
実はこれがマロリーの遺体なのだ。
本の中にはもっとはっきりした遺体写真が載っている。



遺体発見の様子を描写した部分を一部抜粋してみる。

「デイヴ・ハーンはその現場の間近まで来たとき
『今、自分たちが見ている男は、七十五年間もこの山にかじりついていたのだ……
衣服を吹き飛ばされて、体はほぼ剥き出しになり、その肌は色が抜けて真っ白だった。
まるで、ギリシアかローマの大理石の彫像を見ている気がした』
クライマーたちが、その場に全員到着しても、喜びなどいっさいなかった……
無言のまま、古代彫刻に、あるいは立ち、あるいはひざまずいた」


結局、エヴェレスト初登頂に成功したかどうか、という登攀史上最大の謎は謎のまま残ったわけだが、それはそれでいいような気もする。



・・・で、その謎をテーマに書いたのが夢枕獏の「神々の山嶺」。
非常に面白い作品だ。
小説の方は読んだのだが、谷口ジローが漫画にした方はまだ読んでいない。
そのうち読んでみようと思っている。