goo blog サービス終了のお知らせ 

View of the World

世界と日本をつなぎあなたと世界を近づける

驕り(おごり)が招いた鄧小平(鄧小平)の計算違い

2021-12-26 11:56:54 | 超日常的な事への想像力
 今の中国で政府が「功労者」の名前を挙げてその労を讃え、それを政権の支持率浮揚に結びつけようとすれば、思いつく人物は」2人だけです。毛沢東と鄧小平です。しかし毛は経済音痴、技術・農業・国際音痴として人民大衆に多大な犠牲者を出しました。今の社会ではむしろ有害な存在です。では貧しい中国を世界二位の経済大国に伸し上げ、アメリカと世界の覇権を競う存在にまでした功労者は誰か? それは言うまでもなく鄧小平です。1870年代から90年代にかけて、彼はオフィシアルな肩書を何も持たず中国の「最高指導者」として君臨しました。頭の硬直した共産党や政府の官僚たちと違って、自由で柔軟な思考法の持ち主である彼は、先例や法律に縛られずもっと大きな「常識」で物事を判断しました。彼の失敗は中国ではほとんど知られていません。
 それよりも貧しい中国および中国人をとにかく「食べられるようにしてくれた大恩人」という評価です。だが私の言う彼の失敗とは何で、それが皇帝化を目指す習近平の野望とどう関わってくるのか? ずばり言って鄧小平に煮え湯を飲ませ、挫折を味わわせたのは、「ベトナム」です。「あんな小国がなぜ?」とお思いでしょう。私の視点は次回にお伝えします。






無知ゆえに大失敗した中国の指導者たち

2021-12-24 12:37:11 | 超日常的な事への想像力
 中国共産党の創始者で、中華人民共和国のトップとして君臨してきた毛沢東は1960年代に入ると農業の大改革を目指し、「大躍進」を唱えて食料の画期的増産をはかりました。彼が主導した「文化大革命」がほころびを見せ始め、人心は革命に飽き、「理想論や観念論はもうたくさんだ。それより今日の飯を!」という気分が広まる中で、毛の権力は大きく揺らいでいました。焦った毛は農業を大改革し、指導力を取り戻そうとしました。この焦りが大躍進政策を生みました。しかし彼は、どうすれば農作物を増産できるのか、何も知りませんでした。それまで間隔を空けて植え付けていた苗を、「こんな間隔は無駄だ。隙間なくびっしりと植えれば収穫は2倍になる」と決めつけこの哲学を農民に強要したとまで言われます。結果はもちろん惨憺たる大不作・大飢饉でした。この大失敗により飢え死にした人は6000万人にのぼるというのが定説になっています。

  では前回予告した、鄧小平の失敗とは何でしょうか ? 次回にお伝えします。



 

毛沢東の失敗・鄧小平の失敗

2021-12-21 11:39:52 | 超日常的な事への想像力
中国の習近平国家主席は、「終身国家主席」を目指していると言われています。たしかにここ数年彼が力こぶをいれていることを見れば、これはうなずける観測です。しかし彼には赫々たる実績もなければ、カリスマ性も、大衆的な人気もありません。そこで彼は自分の権力維持のために利用して、野望を実現することに全力を挙げているのです。今まで国家およびその支配者である共産党を規定してきた大ルールを変えてしまって、彼が何年でも国家主席でいられる「仕組み」を作り上げることに成功したのです。そこが独裁者の怖いところです。アメリカの大統領は、どんなに支持が高くても、合計で任期8年と決まっています。この大規則を変えた者は第二次世界大戦中のfランクリン・ルーズベルト以外にだれもいません。それほどアメリカ人は「独裁」をおそれているのです。 
だが習はそんなアメリカのルールなどは我が偉大なる「中華民族にはあてはまらない」とばかり、ひたすら「皇帝化」への道を歩んでいます。

彼の野望の前途に懸念があるとすれば、それは2人の大先輩のような「実績とカリスマ性、それに国民的人気」です。2人の大先輩といえば、誰もが思い浮かべるのは毛沢東(もうたくとう)と鄧小平(とうしょうへい)です。だがこの二人にも大きな判断ミスがありました。日本人のあまり気付いていないミス(とくに鄧のそれ)については、次回以降に語らせていただきます。

周主席は「曾国藩の誤算」に学べるか?

2021-12-16 10:54:30 | 超日常的な事への想像力
今どき曾国藩(そうこくはん)などと言われても、何者でなにをした人物かを理解する日本人は100人に1人くらいしかいないでしょう。だが中国の「今」を語るには彼は欠かせぬ存在です。中国人の間での知名度は抜群に高い人です。それもそのはず」彼は清国の総統としてイギリスとの間に「阿片戦争」を引き起こした張本人ですから。19世紀初めごろの清国は、イギリスが持ち込んだ阿片の被害が著しく、大衆は働きもせず、世界がどのように動いているのかを知ろうともせず、一日中阿片を吸って怠けていました。「このままでは国が亡びる」「まさに亡国の危機だ」と心ある中国人は思いました。政治家や外交官は激しくイギリスに抗議しましたが、相手はそうした抗議を一蹴しました。
ここにいたって曾は非常手段に訴えることを決断しました。清国にあるイギリスの阿片倉庫(貯蔵庫)を、ことごとく焼き払うという決断です。いかにも大胆で国際常識を無視した行動でした。この奇襲に驚いたイギリスは、ただちに反撃にでました。武力の差は歴然たるものでした。清国の方は勇ましく倉庫を焼き払ったものの、この紛争をどう収拾するかの戦略もなければ、国際世論に訴えて自国に味方してくれる国を創り出す方策もありませんでした。
結果はどうなったか? 清国は惨敗を喫し、香港を英国に奪われました。その後150年以上も香港の住民は英国風の自由を楽しみましたが、これらの日々は「偉大なる中華民族にとって屈辱の日々であった」と、習近平は言います。しかし戦略もなく、技術もぁ威力もなく戦争をよびこんだ政治家の責任はどうなるのか? 願わくば習近平がこの史実から多くを学び、世界と共に歩く決断をしてほしいものです。


習近平主席の狙いと誤算

2021-12-14 12:38:59 | 超日常的な事への想像力
中国の習近平国家主席は、ここ数年事あるごとに「我が偉大なる中華民族」という言葉を使い、その偉大な中華民族が19世紀以来、欧米列強の風下に立たされて屈辱を舐めてきた。だがそうした欧米流の自由や民主主義が今や行き詰まりを見せている。今こそ我ら中国式の民主主義の優秀性の方が明らかになった。欧米は先進国ぶり我らに説教しようとするな。われらは世界に中国風のやりかたを模範として示すであろう。新疆ウイグル地区や台湾に対しての不当な内政干渉もやめよ。我らは我らのやり方をつらぬき、台湾を武力で併合するであろう」

なんとも恐ろしく、危険な思想です。だがこの発言にはしたたかな計算があり、同時に彼の野望通りには行かない誤算も含まれています。
それらについては、次回以降にお伝えします。