「無難で楽な人生を送りたい。はげしい競争に耐えてまで頑張るのはご免だ」と思う若者たち
教育以外の分野で活躍し、定年後大学教授や講師になられた人の多くが痛感していることは、「今の学生には欲がなさすぎる」ということです。もちろん勤務先の大学の名を挙げるなんてことはしませんが、一様にカルチャーショックを受け、新聞や雑誌でそのショックを語り、日本の前途を憂えています。欲のなさが端的に現れているのが、就職志望先の選択です。景気が今よりはるかに悪かった7、8年前よりはだいぶ改善されてきたとはいえ、基本的には学生の意識の底にある思いは、当時とほぼ同じと見てよいと思います。
それは「一流会社に入って、同僚との競争に耐え、苦労して英語を身につけ、海外勤務をするような、緊張多き人生よりも、田舎の小さな信用金庫に務め、両親や祖父母の愛情に包まれて穏やかな一生を送るほうがはるかに幸せだ。たとえ給料は安く、エキサイティングなことは経験できない職場でもかまわない」という、内向き志向というか、競争ぎらい努力ぎらいな人生を送ろうという若者が多かったのです。会社務めの父親が、リストラされて辛い目をしているのを、まじかに見ている経験なども影響していたでしょう。
無難な人生を望んだはずがーー
しかしこうした「無難志向」の末に、刺激や冒険のない職場を選んだ若者も、テレビ・ドラマでカッコイイ俳優が演じる商社マンや、警察のエリート刑事が活躍するのを見ていると、「ああ、自分は消極的すぎた。もう少し生きがいのある人生を選ぶべきだった」と後悔するようになるケースが多いのです。しかし結婚し、子供もできた今となっては、思い切って会社をやめることはできない。かくて彼は一生満たされぬ思いを抱きながら、生きてゆくしかないのです。こうした鬱屈した思いを抱いている人たちが、何十万人も呻吟しているのが日本の現実ですが、マスコミはそういう人々のことは取り上げません。
なんだかんだといっても日本は治安もよく、近所にはコンビニもスーパーもあり、鉄道は発達、医療も整っています。これらが整っていず、犯罪も病気も対策の打ちようがない国々に比べれば、まさに天国ではないかーーと頭を切り替えられる人は幸せです。
さて悔い多き人生を生きている同年配の「元若者」たちよりも、はるかに生き生きとし、充実した人生を送っている「元若者」もけっこういます。この差異はどこから生まれてくるので「しょうか? 人生に対する希望と夢の質、それに面接試験の際の「コメント力」によると私は見ます。つまりは人生と向き合う姿勢の差です。次回はその具体例として、ある女子学生の体験談を書くつもりです。
教育以外の分野で活躍し、定年後大学教授や講師になられた人の多くが痛感していることは、「今の学生には欲がなさすぎる」ということです。もちろん勤務先の大学の名を挙げるなんてことはしませんが、一様にカルチャーショックを受け、新聞や雑誌でそのショックを語り、日本の前途を憂えています。欲のなさが端的に現れているのが、就職志望先の選択です。景気が今よりはるかに悪かった7、8年前よりはだいぶ改善されてきたとはいえ、基本的には学生の意識の底にある思いは、当時とほぼ同じと見てよいと思います。
それは「一流会社に入って、同僚との競争に耐え、苦労して英語を身につけ、海外勤務をするような、緊張多き人生よりも、田舎の小さな信用金庫に務め、両親や祖父母の愛情に包まれて穏やかな一生を送るほうがはるかに幸せだ。たとえ給料は安く、エキサイティングなことは経験できない職場でもかまわない」という、内向き志向というか、競争ぎらい努力ぎらいな人生を送ろうという若者が多かったのです。会社務めの父親が、リストラされて辛い目をしているのを、まじかに見ている経験なども影響していたでしょう。
無難な人生を望んだはずがーー
しかしこうした「無難志向」の末に、刺激や冒険のない職場を選んだ若者も、テレビ・ドラマでカッコイイ俳優が演じる商社マンや、警察のエリート刑事が活躍するのを見ていると、「ああ、自分は消極的すぎた。もう少し生きがいのある人生を選ぶべきだった」と後悔するようになるケースが多いのです。しかし結婚し、子供もできた今となっては、思い切って会社をやめることはできない。かくて彼は一生満たされぬ思いを抱きながら、生きてゆくしかないのです。こうした鬱屈した思いを抱いている人たちが、何十万人も呻吟しているのが日本の現実ですが、マスコミはそういう人々のことは取り上げません。
なんだかんだといっても日本は治安もよく、近所にはコンビニもスーパーもあり、鉄道は発達、医療も整っています。これらが整っていず、犯罪も病気も対策の打ちようがない国々に比べれば、まさに天国ではないかーーと頭を切り替えられる人は幸せです。
さて悔い多き人生を生きている同年配の「元若者」たちよりも、はるかに生き生きとし、充実した人生を送っている「元若者」もけっこういます。この差異はどこから生まれてくるので「しょうか? 人生に対する希望と夢の質、それに面接試験の際の「コメント力」によると私は見ます。つまりは人生と向き合う姿勢の差です。次回はその具体例として、ある女子学生の体験談を書くつもりです。