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View of the World

世界と日本をつなぎあなたと世界を近づける

諜報活動を「後ろめたい」とか「正義に反する」と思うな

2018-09-25 18:23:32 | 「早期引退が理想」という考え方
 数年前のこと。たしか官房長官の記者会見で、いかにも新人らしい一本気の男性記者が質問しました。「日本も外国にスパイを送り込んだりなんかしてるんですか?」。外国のスパイがヘマをやって、そのために何か国かの人質が、テロリストに殺される事件があり、諜報(ちょうほう)活動というものに批判的な空気が日本のメディアに流れていた時代です。質問した記者の口調は、「スパイ活動などというのは正義に反する」「国家としてこういうことをするのは恥ずかしいことだ」という思想に貫かれていることは、明らかでした。官房長官の困惑した表情は、今でもはっきり覚えています。

 若い記者のプライドを傷つけないために、長官はのらりくらりと答弁し、結局記者に尻尾を掴まれないままにこの質問をかわしましたが、テレビでこれを見た超ベテランの記者たちは呆れ、かつ怒っていました。「一体、どこの世界にスパイを他国に送り込んでいない国があるというのだ、こいつはあまりにも常識がなさすぎる。そのことを自覚せずに、自分の幼稚な正義感を基準にして、こういう愚問を発するとは許せない」「長官もびしっと言ってやればよかったのだ。『独立した先進国で、自国の安全のために外国に諜報員を送り込んでいない国がありますか?』 あったらぜひ教えてください」と。」「しかし問題は彼だけではない。これと大同小異な考えを持った者は、年配記者の中にもけっこう多いのだ」

 ま、こういう反撃に会えば、記者はぐうーの音もでなかったでしょうが、長官は彼の顔を立てすぎました。要するに「甘やかした」のです。永田町でばかり取材していると、こういう愚か者も出来て来るという見本です。世論を担う皆さんには、彼らより数等上の知性と情報の分析力を持っていただきたいと思います。日本が生き延びる道は、それしかないと思っています。

高齢者の勤労に対する日本人の考えー世界の主流とは逆行

2018-09-15 16:48:23 | 「早期引退が理想」という考え方
 日本人の大多数が、「歳を取ってもいつまでも元気で働いていたい」と願っている、と日本政府は考えているようです。「一億総活性化社会」などという標語が、あたかも「正義の味方」であるかのように永田町界隈をのし歩いています。政府のすることには何でも反対する野党もマスコミも、この標語とその基礎になっている理念についてはあまり批判しません。あるいは私の怠慢のために、批判を見落としている可能性もあります。その際には手きびしいご批判をお待ちしています。
 ま、それはともかく。
 この理念に対する大規模な反対はまずないという前提で話を続けさせていただきます。

 日本の危うさは、ある考えが主流派を占めると、どうもそれに反対できない「空気」が社会のあちこちに充満していることです。少なくとも、主流派あるいは多数派に対して、「それは一つの考えであって、この広い世界には、それとはまったく違う価値観もあるのだよ」という声を挙げにくいことです。この標語もその一つですが、誰かが言わなければならないことですから、あえて憎まれ役を引き受けることにします。

 世界の先進各国の人々の考え方は、日本人のそれとは大きく異なっています。彼らが理想とするのは、できるだけ早く一生を安楽に暮らせるお金を貯めて、早く仕事から引退し、余生を好きなことをして過ごすことです。いわゆる「早期引退(アーリーリタイアメント)が彼らの願いであり、そのために頭も体もしっかりしている30代、40代に精一杯働くというのが、社会の暗黙のコンセンサス(合意、共通の価値観)になっています。これは昔からあった価値観でした。日本でも夏目漱石などが活躍した時代には、「高等遊民」というのが一つの理想でした。もっともこうした「種族(?)」というのは、そう簡単になれるわけではなく、場合によっては何世代にもわたる蓄積が必要でした。しかしこうした遊民が、世界の知識人や芸術家と本当に心の通う交流を続けたおかげで、日本が得た精神的な宝というものは、莫大なものがありました。

 ま、そんなに力んで祖国のために国際的な人脈を広げようなどと考えていたのでは、くたびれてしまいますし、ちっとも優雅ではありません。私が申し上げているのは、「いつまでも現役で働いているのが善いことだ」と思う社会は、それなりに結構なことですが、世界には早期にリタイアして、好きな音楽や絵画やお芝居を楽しんだり、クルーズ船上で半年を過ごすような余生を理想とする人々もけっこう多いのだということです。外国人との会話などで、あまりにも「生涯現役礼賛論」をぶっていると、「ああ日本人はやはり我々とは異質なのだ」と思われてしまいます。何事も、世界をよく見て、バランス感覚豊かに行きたいものです。