「安倍ちゃんは戦争をしたがっている」という男
この夏、あるご縁から、今まで話をしたこともない人たちと話す機会がありました。どういう会合かは、いろいろ差しさわりがあって申し上げられませんが、会話内容はまさにショッキングでした。80歳を過ぎたと思われる男性が「だけど安倍ちゃんは戦争をしたがっているんだよね」と言ったのです。「安倍ちゃん」というのは、言うまでもなく安倍晋三総理大臣のことです。私は即座に言い返しました。「核兵器を持たない日本が、一体どこと戦うというのですか?
そんなことはありえないですよ」。本当はこれに加えて「戦争と一口に言うけど、一体何のために戦争するのですか? 戦うメリット(日本が得るもの)って、なんですか?」と聞きたかったのですが、それは言う必要もない自明のことだと思い、口をつぐみました。彼は反論もせず、曖昧な笑みを浮かべていましたが、それから2週間後くらいに、また同じことを言ったのです。つまり「安倍総理は戦争をしたがっている」と。
知的に劣った者を軽視するな
私は「この男は相当重症だな」と思いました。しかし思いは「彼にそう信じ込ませた勢力の脅威」の方に向いて行きました。「これではまるで、小中学生並みの発想ではないか。いやいや、小中学生でもこんなことは信じていないだろう。なんでもいまどきの高校生は、圧倒的に自民党支持だと聞いている。こんなことを信じている高校生なんていないだろう。だがこの男は2度も同じことを言ったのだ。この現実はけっして軽視すべきではない」と。反安倍でこり固まった特定のメディアだけに接し、職場は反米、反保守の職員ばかり、そこへ特定政党が食い込んで集会を開く。そういうことを何十年も続けているとこういう考えの人間が生まれてくるのかも知れない。選挙に勝って少々驕り(おごり)の出ている与党には、ここに紹介したような人間は「まともに相手にすべき存在ではない」と映るでしょうが、それはまちがいです。程度の差はあれ、これに似た現状認識しか持てない国民は結構いると思います。普通の人々の知的能力を買いかぶってはいけません。憲法を変えるためには、こうした層への辛抱づよい説得が不可欠だと思います。