前回は「ハゲタカは夜 目が見えるのか」という超素朴な疑問を取り上げました。生き物に詳しい子供には一笑されそうだけど、あえて書いてみました。私と同じように感じている読者が5人や10人はおられるだろうと思ったからです。そういう方々は、友人に相談することもできず、ひそかに悩んで(?)いらっしゃるのではないか。ならばここで思い切って自分が疑問をぶつけてみようと思った次第です。「こんなことで悩む者なんていやしないよ。お前ひとりくらいだ」という声も聞こえる気がしましたが、昔から「子供の心を持ちつづけたい」と思ってきた者としての、行動でした。しかし賢明な読者の何人かから、「鳥目というのはニワトリなどの家禽(かきん)を指すもので、ワシやタカのような猛禽は夜間でも目が見える」というご教示をいただいたことを、感謝をこめてご報告いたします。やはり書いておいてよかったです。お騒がせしました。
さてこういうことを書いた最大の狙いはべつにありました。それは「ハゲタカの目が仮に鳥目であったとしても、彼らに「プロメテウスを襲え」と命じたのは、全能の神ゼウスではないか。事前に彼らの鳥目を治しておくくらいわけもないだろう。こんなことであまり頭を使うな!」と思われた方の数はかなり多かったのではないか、この人たちは重大な誤解をしていらっしゃる。その誤解をぜひ修正していただきたい」との願いからです。
「どこが重大な誤解なのだ?」とお思いでしょう。問題は「全能の神」という思い込みです。だがゼウスはけっして全能ではありません。しかし日本のメディアには、そう信じ込んでいる人が多く、テレビ番組のナレーションなどでは、何年たってもこの「全能の神」という表現が使われています。まさに「無知」ゆえの大ミスです。ゼウスは主神ですが全能ではありません。海を支配するのはポセイドンですし、黄泉(よみ)の国はハディスが支配しています。加えて彼の最大の悩みは嫉妬深い妻ヘラの存在です。彼は「きわめて限界付きの力しか持たない権力者」なのです。
こうしたきわめて人間的な支配者をギリシャ人たちは愛してきました。これがギリシャ文明の特徴であり、魅力なのです。それを引き継いだローマも似たような思想の上に立っていました。ユダヤ教や、キリスト教、イスラム教などの「唯一絶対の神」を生まなかったギリシャ・ローマへの共感と支持は、今も世界中に満ちています。ゼウスを勝手に「全能者」に祭り上げているようでは、世界は見えてきませんし、世界の人々とのコミュニケーションもうまくいきません。早く思い込みを捨てて、世界をより正確に見ていきましょう。ギリシャ文明への根本的誤解を正すことも、平和の維持に大きく役立つと私は信じています。
さてこういうことを書いた最大の狙いはべつにありました。それは「ハゲタカの目が仮に鳥目であったとしても、彼らに「プロメテウスを襲え」と命じたのは、全能の神ゼウスではないか。事前に彼らの鳥目を治しておくくらいわけもないだろう。こんなことであまり頭を使うな!」と思われた方の数はかなり多かったのではないか、この人たちは重大な誤解をしていらっしゃる。その誤解をぜひ修正していただきたい」との願いからです。
「どこが重大な誤解なのだ?」とお思いでしょう。問題は「全能の神」という思い込みです。だがゼウスはけっして全能ではありません。しかし日本のメディアには、そう信じ込んでいる人が多く、テレビ番組のナレーションなどでは、何年たってもこの「全能の神」という表現が使われています。まさに「無知」ゆえの大ミスです。ゼウスは主神ですが全能ではありません。海を支配するのはポセイドンですし、黄泉(よみ)の国はハディスが支配しています。加えて彼の最大の悩みは嫉妬深い妻ヘラの存在です。彼は「きわめて限界付きの力しか持たない権力者」なのです。
こうしたきわめて人間的な支配者をギリシャ人たちは愛してきました。これがギリシャ文明の特徴であり、魅力なのです。それを引き継いだローマも似たような思想の上に立っていました。ユダヤ教や、キリスト教、イスラム教などの「唯一絶対の神」を生まなかったギリシャ・ローマへの共感と支持は、今も世界中に満ちています。ゼウスを勝手に「全能者」に祭り上げているようでは、世界は見えてきませんし、世界の人々とのコミュニケーションもうまくいきません。早く思い込みを捨てて、世界をより正確に見ていきましょう。ギリシャ文明への根本的誤解を正すことも、平和の維持に大きく役立つと私は信じています。